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積年の想ひ~突然~ 店長サイド

「なぁ……」


いつも待ってた、あの人を。

さりなという女を待っていた。


あのビルの前で、天パの男がさりなという女の太ももにキスを落としていたところを目撃したのだ。


「何ですか?」


さりなは見たところ女子高生。おれはコンビニの店長。


さりなに、劣情を抱いていたんだ。


可愛くて、しょうがなかったんだ。

いつもいつも、天パの男とこのビルの前で居るよな……。


欲しいよ、さりなちゃん。

誘拐なんてないと思った?


天パの男と釣り合うなら、アフロの男とも釣り合うよな?


「……可愛いな、君。いっつも天パのあいつに可愛がられとん?」


肩を抱き寄せ、路上でスリルのあるようなことをする。


「……と、ともだち関係っ……ていうかどうしてそれを」


「いつも見とるわ、あの窓から」


ビルの2階の窓をさしたおれ。

身体をゆったりなで、安心感のあるようにさわさわ撫でた。


「や、やめてくださいっ!」


「天パのあいつ来たら脅してやる。まぁ来んといいけど」


おれはさりなをビルまで誘導した。

危ないことをするためにさぁ……。


ビルの207号室で、おれはいっつもいる。

そこの窓からいっつもさりなと天パを眺めていた。


あの窓が死角やって、気付かんかったん?


「あの天パも、無防備や……」


207号室に入って、さりなとふたりっきり。


「あの、やめてください」


鍵を開けようとしても強い力で、ねじ伏せる。

逃げさすものか。


「こんなことして許されるっ……ん!」


おれの太い手が彼女を封印する。

可愛らしいけど、だめ。

逃がしてあげない。


いっつも眺めて、さりなを想うおれは、汚いだろう。


でもせめて、この積年の想いだけは形にしたかった。いびつであろうとも、わい、であろうとも。


「やめっ….」


身体でもがこうにもかなわなく、このアフロのおれが今さりなに襲いかかっている。


「……んん!」


「だーめ、おとなしくしよっか」


制服に汚い手でベタベタ触るのもおっさんの特権。


肌に触れたら罪だ。女子高生というブランドをグダグダにしてしまう。


「……可愛いんやって、ほんま。餌食になるん、これでも分からん?」


「知るものですか……や、やめてくださいっ!」


ぐちゃぐちゃにした。

可愛いさりなのプライドを。


「……えっへへー。もう助け来ないからね?」


「は、離してっ」


腰で激しくおれの腹を攻撃したさりな。

おれは、うっ……と声をあげ、倒れた。


「ご、ごめんなさいっ!」


さりなは謝ったが、おれは許せず、さりなの足をつかんだ。


玄関で引きずるさりなの足。さりなは早く離して欲しいみたいな顔をしているが、最後にこれは言わせて欲しい。


「おれは諦めんで」


積年の想いは、ドロドロに展開していくと自分で勝手に思っている。

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