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異世界流挨拶

そういえば、CD借りてたなあ。

いつまでだったかな…

豆腐の賞味期限が切れるなぁ

今日は麻婆豆腐でいいよね?

ねえ?

………………




「………あれ?」

目が覚めた。

ゴソゴソ両手を動かしてみる。

あ、布団の上だ。サラサラのシーツの感触。

弾力のある布団の感触。

「ふぁ〜」

全力で背伸びしてみる。良く寝た。ホント良く寝た後のスッキリ感がある。

今、何時だろ………

枕元にあるケータイを探す。

寝るときはいつもココに置いてる。

………

あれ?

ないな………

うつ伏せになって枕を動かしてみる。

ないな………

ベットの下に落としたかな………

「よいしょ」

覗いてみる。

ないな…………


………………………


てゆーか、

ベット?

え?

何でベット?

私たしか、畳の部屋に布団敷いて寝るタイプの人だったハズなんだけど………


グルグルグルグル


どう見ても、どの角度から見てもベットだった。

しかもキングサイズ。真っ白な天蓋付き。

何これ………


部屋の中を見回してみる。


………?

誰の家?

いや、ホテルですか?


白を基調としたアンティーク風家具で統一されたヨーロピアンな部屋。

間違いなく私の部屋ではない。


フゥ


落ち着いて、落ち着いて考えて。

ココはどこ?どこのホテル?

あ、旅行?旅行に来てたんだっけ!

奮発してグレード高い部屋借りちゃった〜みたいな。

いやグレード高すぎない?スウィートぐらい広いよこの部屋。しかも1人で?超寂しいわ。


パタン


え?何か、ドアの閉まる音がした?

振り向くと、見覚えのある女の子が驚いた顔で立っていた。


「あら、あらら?」

その顔は………

「お姉さん!!」

タックル並みの勢いで飛びついてきたのは黒い髪のポニーテールの女の子。思い出した。今日はセーラー服じゃない。ピンクのワンピース。

「えっと、あ、おはよう」

かわいい女の子に抱きつかれて嫌な気はしない。

「もう、起きないかとおもったぁ」

心底安心したように泣き始めた彼女に、申し訳なさでいっぱいになった。

「ごめんね。大丈夫だからね」

トントンと背中を撫でる。


「おはよう。朝から情熱的だなぁ。君たちの世界ではそれが朝の挨拶なのかな」

雰囲気ぶち壊しの間延びした声。

これは、危険人物だ。

急いで彼女を背中に隠す。

「ノックぐらいしなさいよ」

見覚えのあるイケメン。そして、変態。

「したんだけど、返事がなかったんだ」

ガシッ

「返事がない時はそのまま帰るのが常識でしょ。ってか近い!」

いつの間にか至近距離で両腕掴まれてる。

「君が言ったんじゃないか。まず挨拶をって」

「この距離でどんな挨拶するのよ」

グギギギ

全力で彼の顔を押し返す。前科一犯ヤロー。

「さっき君達がしてた。アレが君達の世界の挨拶なんだろ?」

あの感動の抱擁を勘違いしたのか。

「同性限定よ。………チョット、待って」

引っかかることがある。

「君達の世界って、何?」

「……………」

すっと力を抜いた彼は、それまでの雰囲気とは一変して、その場に膝をついた。昨日の金髪碧眼のイケメンのように。

「メシア、お待ちしておりました」


だから、そのメシアって誰よ。

って聞きたいのに、その動作に見とれて声も出ない。


「昨日、殿下が言ってた事、聞いてた?」

顔を、上げた彼はニヤリと笑う

からかわれたんだとわかった。

「聞こえたわ!でも私は、メシアなんて名前じゃない」

「名前じゃない。救世主だよ。君達はこの世界を救う為に呼ばれたんだ。ここは異世界」



救世主、

世界を救う、

異世界、


チンプンカンプンだけど、一つだけわかった。

だからあの時、言ったんだ。


「異世界の味、かな…」









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