旅行最後の日
『旅行最後の日』
朝方誰かが肩をたたいた。
見ると頭にタオルを巻いた多網
部屋はまだ暗く、窓の外の波の音が、旅行先のホテルに居る事を思いださせた
「どうしたの多網?」
「朝風呂」
冬馬君はそいつは良い!と思い、さっそく大喜も起こす事にした。
「大喜、起きてお風呂行こうよ」
「いっ今何時?」
時計を見ると朝の5時だった
大喜も眠い眼をこすり立ち上がる
「俺も行く」
三人は大人たちを起こさない様に、タオルを持って風呂場に向かった。
ホテルの廊下はまだ朝早かったのか、シーンとしている。
風呂のある階に降りて行き、風呂の引き戸を開くと、目の前には広々とした広大な海。
そして、朝から熱気を出してる温泉
霧のように見える湯気の中に朝日を浴びて、海と露天風呂が浮かびあがった。
「うわーっ」
3人は、お風呂に飛び込んだ
「いやーこの景色の、朝一の露天風呂最高だね~」冬馬君のまんねんの笑み。
大喜も多網もこの露天風呂が、相当気に入ってる様だ
「あー明日もこの風呂入りたいね」と大喜
「今日帰るから、しっかり浸かっとかないと」冬馬君は空を見上げる。今日も快晴だ。
三人は海を眺めながら暫く温泉に浸かっていた。
最高に気持ちの良い朝のひと時だった。
「あー、まだまだ居たいね」名残惜しい冬馬君
「うん、後一泊でも良いから出来たら最高だなー」ため息をつくように大喜がつぶやく
多網は頷き こいた プリッ 可愛い音に三人は笑った。
部屋に帰り、七時過ぎに朝食を食べる場所に向かい、朝ごはん。
昨日の夕食と同じ場所だが、朝はバイキング形式になっていた。
子供達は はしゃいでお皿にこれでもかと料理をのっけて大喜び。
異様な食欲を見せたのは多網だった。
明らかにもう食べれないだろうと言う程の料理を、皿にのせ、苦しそうな顔をしてるのに、まだ食べようとしている。
「まだ食べるの多網?」と大人たちもビックリだった。
朝食を済ませ部屋に戻り、チェックアウトの支度をし始めた
「こないだまで、これから旅行だ、なんて言ってたけどあっという間に帰る時ね」大喜のお母さんが言った。
子供達は、今日帰る事、もうすぐで夏休みが終わり学校が始まる事などを考えて、少し切なくなった
「あーもう夏休みも、すぐ終わりかぁ」
部屋から海を見下ろしながら冬馬君は言った。 ふうーっ ため息が自然とでてしまった。
支度をし終えて、チェックアウトして車に向かう。
今日は伊豆をドライブして、帰るというプランらしい
車に乗り、三人は泊まったホテルをいつまでも、後ろを振り向き眺めていた。
「また来たいなぁ 」
「バイバイホテルくん」みんなは手をふっている
「ああ、来たばっかりの時は良かったなあ」冬馬君が言った。
子供達は名残りおしいよう。
いつまでも手をふっていた。
車は走り、伊豆の景色を眺めながら清々しいドライブは続く。
海が見えるのは良いなぁと、景色を見ながら冬馬君は思った。
走ってる最中、美味しそうな定食屋さんを見つけて入って食べた。
とっても美味しくて、みんなに大好評だった、ここでも多網は良く食べる。
「良いとこ選んだね」と車の中で大喜のお父さんが言った
一同は観光スポットなどを見て伊豆半島を車で周り、途中行った観光スポットの吊り橋では、大喜が恐がり中々渡れなかったが、冬馬君と多網は大丈夫だった。
お土産屋さんにも寄り、冬馬君と大喜は、ちゃんと清香とアミにお土産を買った。
多網もおまんじゅうをきみ子に買っていたみたい。
いくつか奇妙な博物館があって冬馬君は気になったが。
ぐるっと周って再び熱海に戻って来た頃には、辺りは暗くなっていた。
「思ったより遅くなったね、これから帰るよ」車の中で大喜のお母さんが子供達に言った
今、目の前には旅行に来た日に入った海が、見えている。
ああ来たばっかりの海に入ってる日に戻りたいなと、心の中で冬馬君は思う。
夕陽をあびる海にバイバイと心の中で挨拶した
楽しい旅行だった。
まだまだ居たかったなぁ、ああ、帰る時は少し切ない気持ちになる
夏休みも、もうすぐ終わってしまうというのがあったから余計かも知れない。
再び目を覚ましたのは大喜のお母さんに起こされたからだ。
「あんた達、もうすぐ家に着くよ」
「えっ?もう?」
「もうすぐ多網の家に着くから多網準備しといて」
ああ多網と今日はさよならなんだ
寂しくなった。
夏休みはもうすぐ終わるし、
夏休み中にもう多網に会えないだろうな、とも思った
玄関先に多網の両親も出て来て、大人たちは挨拶している
「多網面白かったね、夏休み中、色々ありがとう」冬馬君と大喜は車の窓を開けて叫んだ
多網はニッと笑い
黙って親指をあげて、こちらに挨拶していた 多網も二人と別れるのが寂しそうに見えた。
「じゃあねー」車は走り出す
多網の居なくなった車の中は、先ほどまでとは違う感じだ。
「ああ、多網帰っちゃったね」窓の外を見つめ冬馬君はつぶやく。
車の中で大喜は両親にお願いしていた
「今日、冬馬の家に止まっていいでしょ」
「今日は、もうみんな疲れてるからウチに帰りなさい」
冬馬君も、大喜に泊まって欲しかったので「大丈夫だよ疲れてないよ」と必死に説得している
二人の熱意に負け大喜のお母さんは正子に携帯で電話した
正子が何と言ってるかは分からなかったけど大喜のお母さんは「そう悪いじゃん」と言っている
冬馬君と大喜は今日も一緒に過ごせる事を知った
「やったー」
大喜も冬馬君の家に降りて
その夜は夏休み最後の一大イベント
清香達とのデートの計画を練る事にした。
「まだ今日も、寝ながら語れるなんて、最高だね」冬馬君は言った
大喜も「最高だ」と言って二人は冬馬君の部屋に向かう。
夏休みもいよいよ残り後三日だった。
楽しい夏休みも、ついに終わりに近づいていた。
今日は楽しかった旅行の余韻を残しつつ二人は夜を過ごすだろう。
つづく




