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冬馬君の夏休み  作者: だかずお
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川辺でまたの再会


『川辺でまたの再会』



朝、多網は家に帰る支度をしていた


「多網もう帰るの?」


多網は頷く


冬馬君はしばらく多網と一緒に過ごしてたから、帰ってしまうのが何だか寂しかった。


多網は「ありがと 旅行で」と言ってニッと笑う


「多網帰っちゃうのか」と大喜


でも来週みんなで旅行だから、またすぐ会える


旅行は今から本当に楽しみだ


多網は下に降りて行き、正子に挨拶をして帰って行った。


「大喜は今日どうする?」


「俺も帰ろうかな、宿題もまだ半分はあるんだ」

大喜のその言葉で、宿題がまだ全然残ってるのを冬馬君は思いだした


「はぁー宿題やらなきゃ」冬馬君はため息をつく

大喜も結局帰って行った。


久しぶりの一人だなぁと、ぼんやり窓の外を眺めては思った

窓にはまだテルテル坊主がぶら下がっていて笑ってしまった


ずいぶんしぶといテルテル坊主だ、こないだの豪雨にも耐えていたなんて


キャンプに行く前から、あのテルテル坊主はいるんだなぁ、と思って何だか愛しく感じた


机の上には、多網が来た日に手伝ってくれた宿題がひろがっている

それを見て多網が来た初日が何だか少し懐かしくなった。


多網も大喜も帰っちゃたのか、二人が帰った後は家の中が急に静かになった様に感じる


冬馬君は宿題をやろうと机に向かったが何だかやる気がせず、下に降りてくつろいでからにしようと思い下に降りて行く。

リビングルームでお菓子を食べて漫画を読み、更には寝っ転がりながらお菓子を食べてアニメを観る。


最高のひとときの一つであった


二階から正子が降りて来て「あんた算数の宿題やったの見たけど全然出来てなかったわよ」


あれは多網が得意げに手伝ってくれたやつだ 結局出来てなかったのか、冬馬君は心の中で、多網のあの得意げな顔を思っては可笑しくなった


さて、宿題でもやるか

冬馬君は全く終わってない宿題に少し焦りを感じてやることに。

やはり、やりたくない事はどうにもやる気が起こらないものだ

机の前には向かうものの、頭の中でいろんな事を考えてばかりでちっとも宿題は進んでいなかった。何故か普段やる事はない机の上を片付けたりしてちっとも宿題は進まない。


あーやりたくない事やらないで好きな事だけしていたいなぁ。

頭の中では来週みんなで行く旅行などを思ってウキウキしている。

大喜と多網と一緒に行く旅行か、楽しみだなぁ


みんなで一緒に行く旅行は、初めてである


外は青空 まさに夏真っ盛りな日であった


冬馬君は、宿題を全くやらず、夏休みに入ってからの出来事を回想したりして楽しんでいる


みんなで行ったキャンプ


清香との出会いに


犬おじさんと仲良くなった事


多網のプリプリケツ


こないだ危うく死にかけた事


色々な事が沢山あった


今思い返すとどれも楽しい思い出だ


冬馬君は宿題が全然進んでない事に気付き、再びやり始める。

暫くは宿題を頑張っていたのだが、夏休みが終わったらまた学校の日々が始まるのかなどと考えると、冬馬君は少し嫌な気持ちになった。

あーいつまでも夏休みだったら良いのにな。

宿題は思ったよりもはかどり進んでいる、分からない所は適当な事を書き、済ましていた。


きりの良い所でやめて、冬馬君はTVを観にリビングに向かう。

この時間は観たいのないからビデオでも観ようっと、よく録り溜めている、好きなアニメのビデオを観ることに。


TVを付けた瞬間冬馬君は、ハッと驚く

あの清香に似た子が出ているコマーシャルがちょうど映ったのだ。

CMが終わっても暫くは胸がドキドキしていて、暫くポカンとTVの前で立っていた。

本当に自分は清香が好きなんだなぁと実感した瞬間


こんなに胸がドキドキするなんて。

人はどうして恋に落ちるんだろう?

考えても仕方が無いのは分かっていたが、気になりもする


清香に会いたいなぁ


川辺で、あったあの告白したお兄さんも、相手の事これくらい好きだったんだろうか?


その女性に振られたお兄さんを思っては何だか胸がしゅんとする

あのお兄さんともまた話がしたいな

川辺に今日もいるかな?

こないだ偶然再会出来たし、また会えるかもと思い、ビデオを観るのをやめて、直感に従って川に行く事に



今日は暑い日だ、蝉は元気に歌っている。まるで暑さを祝い、喜んで歌っている様


川について辺りを見回したがさすがにお兄さんは、居ないみたい


冬馬君は座って暫く川を眺めていた


夏の川辺は心地良い


暫く座って、ただボーッと川の流れを見つめていた


すると突然誰かが肩を叩く、振り返るとそこには、あのお兄さんが立っていた


「また会ったね、本当に小学生にしては渋い子だね、川を眺めてるなんて」と言って優しく微笑んだ


直感とは不思議なもので、色々あれこれ考えるよりも素晴らしいインスピレーションを与えてくれるなとよく感じた。


「今日居るんじゃないかと思って来ちゃいました」


「僕は、今そこのコンビニでアルバイトしてて終わると、ここに良く来るんだよ」


どうりで良くここにいるわけだ。

冬馬君は何よりお兄さんがそこのコンビニで働いてる事が分かった事が嬉しかった。

これで会いたい時、話たい時にいつでも会えるというのが嬉しかったのだ。


「最近は、こないだ話てた好きになった子とは遊んでるのかい?」

お兄さんはこないだの冬馬君の話を覚えていてくれた


二人は暫く女の子の話で盛り上がる。

本当に優しいお兄さんだ、自分みたいな子供の話を真剣に聴いてまた答え、付き合ってくれる


子供としてと言うより、一人の大人の人間として扱ってくれてる事が嬉しかった


「へーっ、そのCMの子を見て胸がキュンとするのか あはは分かるなそれ」


「本当?」何だか理解者がいた事も嬉しかった


「お兄さんは、こないだ告白した人にはあれ以来連絡してないの?」


「もうキッパリ断られたし、こっちからはしてないよ、向こうからもこないなぁ」と苦笑い


いつか自分も清香に気持ちを伝えるんだろうか?

とてもじゃないけど今の冬馬君はそんな事言える気がしなかった


すると自分達の後ろを三人組の女の子達が通る、それは、冬馬君のクラスメートの女の子達であった


冬馬君は何だか気まずくなり、顔を見られない様に下に向けた


三人組は冬馬君に気付き話かけてくる

「あれっ冬馬君じゃん何してるの?」


お兄さんとかとは違い、やはり、クラスメートなどの前だと何とも喋りづらくなるのだった、何故なのかはよく分からないが。


三人組は暫く話をしていたのだが、一方的に話しては返事があまり返って来ない冬馬君を前に「やっぱ暗いよー何か喋って」と言っては去って行った。


お兄さんに何だか見られていたのが恥ずかしかった


お兄さんはそれを見ていて


「喋りたくないから喋らないんだ」と言って笑ってくれた


きっと、冬馬君という人間を良く理解して分かってくれていたんだろう


何だか胸にわいて出てきた嫌な物がスっととれる気持ちがした


お兄さんと話すと、本当に安心して心が落ちつく気分になる


二人はそれから少し会話をしてから、またね と挨拶をして別れた


冬馬君は少し自己嫌悪の様なものを感じていた

どうしてクラスの人達の前では縮こまってしまうんだろう?

自分を出す何てとんでもない事の様に思えた みんなそうなんだろうか?

これからもずっと人前ではこうなんじゃないか、などとかも考えていた。


冬馬君は少し重くなった気持ちを吐き出すように深呼吸して、家に向かう


夏の夕暮れ時を、時間をかけてゆっくりゆっくりと歩いて家に帰った


空は夕焼けで赤く染まって綺麗だった。蝉はまだ元気に鳴いている


心の中は、こないだクラスメイトに会った時と同じ様に感じた一日だったなぁと思っていた。僕は何も変わってないのかなぁと一人呟きため息をついていた。




つづく


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