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暗殺少女の理想郷  作者: 白銀悠一
第六章 壊れる世界
106/129

圧倒的善意

「ハァ……はーッ」


 息が荒い。疲労が溜まっている。休息が必要である。

 認識としては自覚している。だが止まってはいられない。


「すぅ……は……ッ」


 もう一度息を整え、空中を猛スピードで移動する。

 重力使いの元異端狩り、ナンバー356は全速力で目的地へと向かっていた。

 彼女が早急に向かわなければならない場所。それはアミカブル王国である。


(……私を救ってくれた、ひと。そのひとは情報を伝えなければならないと言っていた)


 自分の身を犠牲に、自分を救ってくれた恩人。結局その人物が誰なのか356は知ることがなかった。

 だが、コードネームは知っている。コードネームシャドウ。無能者ながら異能者に負けず劣らずの戦闘力を持っていた男。

 そんなある意味超常的な存在である男が、死んでも問題なかった自分を助けた。理由不明。意図も不明。

 しかし、その男の死は無意味ではない。356は生き、敵に関する情報を持って、海の上を飛んでいる。

 彼女が重力使いであることが幸いだった。宇宙へ飛んでいかず、かといって地面に張り付く事がない丁度いい重力で、彼女は浮かんでいられる。目的地へと進むことが出来る。


「……情報提供……する。でも、本当にアレに勝てるの……」


 不可思議な力で宙を舞う騎士は自問する。常識の範囲外である異能者でさえ、自らの常識を疑ってしまうほどの異能者。まさに“王”という名がふさわしい統制者である。

 圧倒的な力を持って、世界を支配する。王であり、神。世界の理すら書き換えられるように思える。

 それほど強大な相手に対する情報をある人物に渡せとシャドウは言っていた。

 その人物なら、勝てる。……らしいのだが、356にはにわかに信じられない。


(そんな人物がいたなら、無能派にマークされていたはず。そうならなかった、ということは情報が秘匿されていたか、もしくは……)


 改変されていた。そうとしか考えられない。

 そして、356の予想は的中していた。方向性こそ違うものの、神崎成美クイーンは兄であり救い人である神崎直樹が平凡な人間であると書き換えていた。

 だが、彼女は血の繋がらない兄に対しての不必要な干渉は避けた。そんな彼女の良心……甘さがこのような事態を引き起こし、同時に直樹に事態を打開する力を与えた。何たる皮肉である。

 異能ちからを与えながら、正体を隠す。そんな都合の良いことが出来るはずがない。

 しかし、それを出来ると思った少女がいた。そして、当然の帰結としてクイーンは死に、戦争が始まった。

 そのような戦火が世界中でまき散らされているのを尻目に、356は平和の国に向かう。あの国も今はまだ無事だと信じたいがいつまでもつかはわからない。

 人々はこの事態を戦争だと思っていない。殺戮だ。一方的な虐殺を人々が望んでいる。

 だから、その障害は全力で叩き潰す。傷つけ、犯し、人としての尊厳を最大限に奪って――最も、相手を人だと思っていればだが――殺しつくすのだ。

 相手をいつになったら殺せるかとうずうずしていた両派閥が人を殺す自由を手にした今、自由に責任が付属していることなど一切考慮することなく、その力をがむしゃらに振るうだろう。

 正直なところ、356は戦争を否定していない。戦争は平和への足掛かりである。戦争の後には、必ず平和がついてくる。

 つまり生き延びれば、後は平和を享受するのみなのだ。殺したがりが掃討され、後は戦争という悲劇を嘆く生者だけが残る。

 だが、あの男が生きていれば前提が覆されてしまう。全てを想い通りにされてしまう恐れがある。

 それは避けなくてはならない。


(高速移動。行かなきゃ。伝えなきゃ。情報を。敵の異能の正体を)


 故に、356は動く。己が恩人に報いるため。

 戦争が終わった後訪れる平和……そこに自分の居場所を作るため。




 キィ、というドアの軋む音がする。

 心の痕跡をトラッキングしていた直樹達は、地下道から地上へと再び戻ることとなった。

 数時間ぶりに浴びた日の光だというのに、全く心地よくはない。目前で、争いののろしが上がっていたからだ。


「チッ。さっきよりも悪化してんじゃねーか」

 

 エリーが毒づく。

 勝者の咆哮。敗者の絶叫。唸る戦音。あらゆる音とあらゆる声が、煙と炎の中から聞こえてくる。


「ひどい……」


 炎が思わず呟く。直樹も口には出さないが同じ気持ちだった。

 ひどい。ただただひどい有様だ。奴らは何がしたくてここに立っているのだろうか。

 そんなに人を殺したかったのだろうか。殺す覚悟も殺される覚悟もとうに終え、戦場で獣のように相手を殺戮している怪物達。

 ここにいる全員が、人と人が愛し合った結果として産まれ、色んな人間と関わり、多くの事柄を学んで成長していった。無限に近い可能性を持ち、偉大な人物に成り得たかもしれない人々。だが、その多くの人間は持っていた才能を人殺しに用いることを選んだ。

 彼らが悪いだけではないことは、直樹も、横に立つ炎も、もしかしたらエリーでさえもわかっているかもしれないことだった。

 人は人に影響を受ける。流されたりもする。アメリカ人であるエリーはともかく、日本人である直樹と炎にはより身を持って知り得ることだ。

 十人の内、九人が人殺しを平静と行っていれば、いつの間にか自分もソレに違和感を覚えなくなってもおかしくない。

 子どもの頃から、自分とは違う人間は敵だと教えられれば、何の疑いもなく信じてしまうだろう。

 そして、反発すれば異端者として処刑される。なら、どれだけ嫌だろうと、そう成るしかない。そうしなければ、生きることが出来ない。

 直樹も炎も、幸運だった。運よく善い人間に巡り合い、人殺しを強制されずに済んだ。

 ずっと孤独に戦っていた少女に、見守られて生きてきた。

 だが、もうそんな庇護はない。崩壊したダムのように争いが噴出している。

 ならば……ひどいと思うのなら、拳を握り行動を起こすしかない。


「……行くぞ」


 その言葉はもしかすると自分に言い聞かせたことばなのかもしれない。

 直樹は二人と自分にそう告げると、心の痕跡を辿りながら戦場へと身を走らせた。

 疾走しながら、念じる。成美の異能で。両軍に向けて、指揮官は誰だ? と。

 なかなか思うように行かず苦悩していた無能派と異能派のコマンダーは、突然頭に鳴り響いた声にひどく驚いた。

 何事だ!? と口揃えて狼狽する双方の指揮官に向け、直樹は一方的に告げた。


「戦闘を止めろ。これは頼んでる訳でもお願いしている訳でもない。通告だ。……もしやめないってんならぶん殴って止めてやる」


 だが、そんなことを言って止めるなら、戦争など端から起きはしない。最初から次に行うべき行動は、決まっていた。


「二人とも、援護してくれ」


 そう言うや否や、直樹は上空へと跳び上がる。

 右手には水鉄砲を構え、左手には雷を充填させた状態で。


(炎は怒るなって言っていた。エリーは動けとも言っていた。たぶん、二人の言っていたことは正しい。でも、そう簡単に納得出来ることじゃない)


 人の死とは理不尽である。あらかじめ決められた予定通り死ぬということはまず有り得ない。

 いや、もしかすると運命やら世界の理とやらには何かしら記載されているのかもしれないが、人がそれを知ることはない。

 なのだから、理不尽な、突発的な死に対して憤るということは間違っているのかもしれない。

 誰一人、想い通りにいかないのだ。なら別に、そのことで無駄にストレスを感じることなく、人は死ぬものだと納得し、流してしまえばいいはずだ。

 だが、そんなことは出来ない。人には感情があるからだ。

 下手をすれば人の死よりも理不尽で、不可解極まりないこころ。それがある限り、直樹は納得しない。

 現状拡散している惨状も。殺されてしまった仲間達に対しても。世界の悪意の権化なのかとも思えてしまうあの男についても。


「これ以上、誰も殺させてたまるか」


 静かに、覚悟を口にする。しかし、その言葉は理想論ですらない。今こうしている間にも、多くの人間が死んでいる。口に出した瞬間、もう手遅れの段階に世界はある。

 だが、とても力を感じさせることばだった。たったひとりの少年の、たった一言のことば。

 平凡でいて、普遍的なそのことばは、世界中の悪意を吹き飛ばす善意と成りうる。


『えぇい! ふざけるな! 何も知らない子どもが!!』

『撃ち方はじめ! まずイレギュラーを吹き飛ばせ!』


 前の敵と撃ち合っていた対異能部隊の銃口が、直樹へと向けられる。

 直樹の後ろでは、様々な種類の異能者が、直樹を倒そうと異能を発動していた。


「直樹君!!」「おい……ッ!!」


 勝手に突っ込んだと思いきや勝手に絶体絶命に陥った直樹を援護するべく、炎とエリーが似通った異能を発動させる。

 しかし、間に合わない。直樹は説明しなさすぎた。

 360度からの攻撃が直樹に向けて放たれる――刹那。

 彩香の透視異能によって、敵の居場所を感知していた直樹が、右手を無能派に、左手を異能派に向ける。

 鋭すぎる高水圧カッターと、眩い雷光が、敵地へと奔った。

 響き渡る轟音。叫ばれる悲鳴。

 次の瞬間、戦場は静かになっていた。


「え……」「んなバカな……」


 炎とエリーが茫然と呟いた。

 廃墟にいた悪意にあてられた兵士達は、直樹の善意によって行動不能となっていた。

 怪我人はいる。しかし、死者はひとりもいない。


「……無茶しちゃダメだよ!」

「ごめん。でも、出来ると思ったんだ」


 降りてきた直樹が炎に謝る。だが、炎は本気で心配していたようで、なかなか怒りが収まってくれない。

 仕方ない、と直樹はその頭に手を置いた。


「……っ」

「大丈夫だよ、俺は。正直、心の方が心配なんだ。あいつは隠れるのが久瑠実よりも得意だからな……痕跡を見つけるのにも一苦労なんだ」


 たぶん無意識なんだろうけど、と直樹は苦笑しながら付け足す。

 急に頭を撫でられ、返す言葉を失った炎は、直樹に対して何も言わなかった。

 だが、小さく独り言は呟いていた。


「私は心ちゃんより、直樹君の方が心配なんだよ」


 正確には二人とも、それを言うなら、仲間達全員が心配ではある。

 だが、色恋抜きにして……直樹が死んでしまうような予感がするのだ。

 それを今口にしても、直樹は大丈夫だ、というだろう。だから、炎は胸に秘める。

 いつでも直樹の元へ飛び込めるよう、覚悟を決める。


「今……何か?」

「ううん、何でもないよ」


 炎は自分でも驚くほど自然に嘘がつけた。

 そんな少女の決意の傍ら、直樹の本気を初めて目の当たりにしたエリーは愛銃片手に何だコイツと驚いていた。


(おいおい、さっきの……私を打ち破った時よりもずっと“強い”じゃねえか。色んな異能を複写出来るとは聞いていたが……私の異能をプレゼントしなくても問題なさそうだ)


 そも、エリーはあくまで銃弾レーザーはくれてやるといったのだ。まだ、完全に身も心も許した訳ではない……のだが、正直、ここまで真っ直ぐなバカ相手だと、こっちも色々とやってあげたくなってくる。

 自分でもバカか私はまだ出会って一日も経ってねーんだぞと突っ込みたくなるが、元より彼女の本質はお節介焼き、である。いつも後輩に自慢の愛銃で仕留めた牛のステーキを振る舞ってやったものだ。喰えたものじゃないです、と抜かす奴がほとんどだったが。


(……しかし、ホントにこれで平和になるのか? 私としては別に戦争が続いてもかまやしねえ。もちろん、終わってくれても構わんが。たったひとりの少女を助けることが世界の救済へと繋がる……どうもきな臭くてしょうがない)


 むしろ、そのバカさ加減がエリーが仲間になった理由にもなっているわけだが、それでも不可解なことはある。


(それは本当に“この世界”をどうにかしてくれるってことかねぇ。もうどうしようもない気がするんだが)


 だが、狭間心について賞金情報以外はロクに知らないガンマンが黄昏たところで答えは出ない。

 どうにでもなれ。

 そう呟いたエリーは、地面に目を落とし慎重に心を追って行く直樹とその背中を真剣な眼差しで見つめる炎を追いかけて行った。






『オーディンの準備はどうかね?』

「問題なく。衛星軌道上で待機中。いつでも発射可能です」

『良し。……ではさっそく撃ってしまおう』


 ロシア地下2000mに建築された大規模シェルター兼臨時作戦司令室の中で、髭の生やした恰幅のいい男が椅子に踏ん反り返っている。

 男はご満悦な表情を浮かべると、モニター越しにオペレーターへと呼び掛けた。

 具体的な説明のない命令に、オペレーターが困惑な眼を司令へ向ける。


「どこへ……ですか?」

『あ? ああ、そうだなぁ……うん。敵本部』

「……では座標調整を行います。しかし、よろしいのですか?」

『ああ? なぜだ?』


 ブリーフィングで何度も説明していたことを聞き返す棚ぼたの司令官に、オペレーターは嘆息混じりに口を開いた。


「……敵本部も、ここと同じく地下シェルターにあります。能無し共ですが、一応、元は我らと同じ種族。最低限の頭は回るようですね」

『ほぉ。それで?』

「衛星軌道上にある衛星兵器オーディンは、複数の電撃異能者を搭載し、そのエネルギーを充填して地上を吹き飛ばします。まさに、神のいかずち、ということです。しかし、敵拠点が地下深くに存在するため、電撃の効果が薄くなってしまいます」


 もし敵本部が地上に構えられていれば何も問題なかったのだが、生憎、敵は異能派の真似をし、地下深くに引きこもっている。故に、衛星軌道からの雷撃では、地上に雷が到達した時点で拡散してしまい、地下深くの拠点に大きな打撃を与えることが出来ない、という単純な論理なのだが、モニターの中の我らが総司令官はあまりよく理解出来ていないらしい。

 案の定、お冠の様子で怒り出した。


『何だそれは! 私は聞いていないぞ!』


 当然である。ブリーフィングの途中、偉大なる司令官は睡眠をとっていた。


『異能者なのだから、物理法則に従わずに敵地を焼き払えるはず! 中のガキどもに出力を上げろと伝えろ!』


 実は無能者なんじゃないかなどと噂される異能派の能無し、リッフェル司令官に対し、オペレーターは懇切丁寧に説明を続けた。


「威力向上のため、中に眠る雷撃ユニット全員の脳を物理的に接続しています。異能を発動することは出来ますが、個々の異能力を上げることは不可能です」

『えーい……くそっ。じゃあ、フィンが言っていたろう。日本を吹き飛ばしたらどうだ?』


 フィンとは、実戦部隊の指揮を執る直接戦うタイプの司令官だ。今も戦場へ赴き、激戦の中を自ら先陣を切って命令を出している。

 このタヌキとは違い何倍も優秀な人物である。作戦指揮のほとんどはフィン司令の受け売りだった。


「日本は……わざわざ吹き飛ばす必要がない場所です。オーディンには使用可能限度があることをお忘れではありませんよね?」


 生体兵器なので、三回も撃ちこんだら内部のユニットは死亡する。戦地に出れず、他の仕事も熟せなかった弱者の寄せ集めなので致し方ないが。


『わ、わかっている。言ってみただけだ。なら、アミカブルを吹き飛ばしてしまえ。目障りだろ』


 やっとまともな指令が下りた。オペレーターは安心しながらコマンドを入力する。


「了解しました。目標地アミカブル王国。座標合わせ所要時間……一時間十五分……っ!? これは」


 急に鳴り響く警告音に、オペレーターとリッフェル司令官が困惑する。

 報告しろ、という命令にオペレーターは瞬時に応えた。


「何かが急速に本基地へ接近中……しかし、これは……異能者……?」


 オペレーターの読みは当たっていた。すぐに、司令部の巨大モニターにその影が映る。


『よーう、皆さん久しぶり。俺だよ、俺』

『キング……貴様か……何用だ』


 地面を砕きながら潜ってきたのは、王とまで呼ばれる強大な異能者キングだった。キングというよりは王子という若さの少年は、あーそれなーと、身近な人間に語りかけるように話し始める。


『俺のすげーいい視力が、オーディンがアミカブルに向かってるのを捉えてな、もしかするともしかするのかなーなんて思って確認しに来たんだよ。で? どんな感じ?』


 なぜか黙りこくる司令の代わりにオペレーターが応答した。


「ご指摘の通り、オーディンはアミカブルに向かっていますが、問題が?」

『問題しかねーよ。あの男のお友達は俺が直接やるって決めてんだ』

「……返答の意味がわかりかねますが……」


 戸惑うオペレーター。今こそ司令官の威厳を発揮する時、とでも思ったのか、リッフェルが声を上げた。


『……これは私が下した命令だ。軍規にも従わないヤツは黙っていてもらおうか!』

『あ? てめえ今なんつった?』


 キングの様子が急変する。オペレーターはキングの気持ちがよくわかった。

 地上に出ていた司令官がシャドウに殺され、棚ボタで最高司令官に昇格したリッフェルにそんなことを言われる筋合いはない。


『おいおいおいおい。どっちが上かわかってねーのかよ。今までの司令官はよく弁えていたぜ? そもそも異能派は力こそ正義じゃねーか。なら最強な俺が一番ってのは常識だろ』

『……く。今までの奴は貴様を甘やかしていただけだ! ここでえらいのは私だ! 貴様ではない!』


 子どもみたいなやり取りを見せられたオペレーターは失笑し、かける言葉もなかった。

 だが、次の瞬間絶句する。怒ったキングが上空に手を向け、黒い弾を発射したからだ。

 すぐに、画面が赤くなる。シグナルロスト。オーディンの反応が消滅しました。


『な――』

『ぶっちゃけお前らイラナイんだよ。俺一人だけいれば、この惑星ぶっ壊せんだからよ。派閥なんか作る意味も全くないわけだ。全員死ぬんだから』

『な、何を言ってる……! 我々の目的はこの星から無能者を一掃すること!!』

『“お前ら”のな。俺じゃない』


 キングは現異能派最高司令部へと右手を翳す。どうなるかは、この場にいた全員が、予想出来ていた。

 無能派が開発したであろうあらゆる殲滅兵器から身を守るため、強固に構築された地下基地が、あっという間に空洞へと姿を変えた。


『本部。定時報告はどうした? 例えそちらが安全でも報告は怠るなと命令したはずだが……。誰か答えろ』


 もはや受け取る者がいない通信を、フィンが送信する。いつの間にか自分が最高司令官に格上げされた事実について、彼はしばらく気づけなかった。

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