いつも、おばあちゃんと
ボクはおばあちゃんと2人で暮らしていた。おばあちゃんが大好きだった。
おばあちゃんは誰にでも優しくて、小さなボクにも本当に温かく接してくれた。
おばあちゃんとの思い出は、本当にたくさんある。
いつも、おばあちゃんと一緒だった。
春、一緒によく公園に遊びに行ったっけ。桜が綺麗な広い公園。ボールで遊ぶのが好きなボクのために、一緒にボールで遊んでくれた。おばあちゃんはあんまり得意じゃなかったけれど、とっても楽しかったよ。おばあちゃんとのボール遊びが一番楽しいよ。
夏、ボクもおばあちゃんも暑いのが苦手で、一緒に縁側で涼んだよね。そのうち、ついウトウト眠くなっちゃって、2人でお昼寝してたっけ。あのときのお昼寝は、気持ちよかったなぁ。おばあちゃんと一緒のお昼寝が一番好きなんだ。
秋、紅葉が好きなおばあちゃんは、よく紅葉を見に近所の公園に連れて行ってくれたね。ベンチに座って紅葉を眺めたり、木の実やどんぐりを見つけて遊んだね。公園でのお散歩はいつも楽しかった。おばあちゃんとのお散歩にまた行きたいな。
冬、雪がたくさん積もったとき、ボクは大喜びしたんだけど、おばあちゃんは雪かき大変そうだったね。手伝ってあげられたら良かったんだけど、いつもいつもごめんね。でも、そんなときもおばあちゃんはずっと笑顔だったよね。おばあちゃんとコタツで温まったこともあったよね。
1年中、ずーっとおばあちゃんと一緒。おばあちゃんとのたくさんの思い出、ボクは全部覚えているよ。
でも、別れは突然だった。おばあちゃん突然家で倒れちゃって。
ボク、救急車の呼び方とかわかんないから、とにかく叫んだ。
誰か、誰か気付いてって。近所の人が気付いてくれたときにはもう遅かった。
亡くなったおばあちゃんに会いに、親戚の人とかがたくさん家に来た。
みんなみんな泣いていた。みんなみんなおばあちゃんが大好きだったから。
「この子、おばあちゃんの傍から一時も離れようとしないのね。この子もおばあちゃんが死んじゃったの、寂しいのかな。」
それを聞いて、ボクは一言
「わんっ。」とだけ答えた。
「あら、お返事してくれたの?賢い犬だねぇ。」
人間はいいね。悲しい時に、涙を流すことが出来て。
ボクだって、本当はすごく悲しいんだよ。ボクだって、おばあちゃん大好きだったんだよ。
ごめんね、おばあちゃん。ボクは涙を流せないから、ただ、傍に寄り添うよ。
いつまでも おばあちゃんと……。