第一話 「禁断の森 邪神の封じられし社」
『東の森には邪神が封じられた社があるから、決して近づいてはならない』
子供の頃、親代わりである村長にそんなことを言われた記憶がある。
他にも、嘘をついたら邪神に攫われるぞ、だとか、嫌いな食べ物を残したら邪神の贄にするぞ、だとか、何かと理由をつけてその邪神という単語は村の大人達の口から出てきた。
邪神の効果はてきめんで、俺は嘘なんてつかなくなったし、嫌いな食べ物だって頑張って飲み込むようになっていた。
我ながら、よくもまぁそこまで綺麗に騙されたもんだと思う。
けれども、それは仕方のないことだったのかもしれない。無知で、大人の話をすぐ鵜呑みにしてしまうような子供に、邪神の話はあまりにも恐ろし過ぎた。
言いようのない不気味さと、得体の知れなさ。
見た事も、その力を振るわれたこともないのに、なぜかその存在を信じされる何かが、邪神にはあった。
それでも、当時の俺は気になって仕方なかったのだろうと、今になってそう思う。
そんな恐ろしい邪神は、一体どのような姿で、どのようにして封印されたのかと、普段は寡黙な村長に邪神の話を必死になってせがんでいたから。
子供に聞かせる話じゃないと、最初は村長も教えてくれなかった。
けれど、何日もかけて必死に話を聞きたいと粘り続けたら、渋々と村に伝わる伝承を話してくれた。
【邪マナル神 地下ヨリ出デル】
【疾風ガ如ク空ヲ舞イ 大病ノ元 産ミ落トス】
【万物ヲ粉ニシ 大笑イ 手足ヲ折リ取リ マタモヤ笑ウ】
【死霊ヲ率イテ陽気ニ行脚 大軍ノ足音 地鳴リガ如シ】
【大地ヲ蝕ム黒キ風 生ケルモノ 死ニ絶エル】
【絶叫ハ子守唄 嘆キハ賛歌 怨恨ノ視線モドコ吹ク風】
【滅シテ壊シタ暴君モ ツイニハ眠リ 大イビキ】
【起コスナ起コスナ 静カニ歩ケ】
【寄ルナ寄ルナ 目ヲ覚マス】
この伝承を聞いた夜、俺は1人で厠に行けなかった。
背後からいきなり邪神の手が伸びてきたらと思うと、布団から出ることができなかったのだ。
そのことを、村長は笑わなかった。真顔で、俺もガキの頃はそうだったと言った。茶化してこなかったのは、たぶん今も村長の中では邪神の恐怖が渦巻いているからなのかもしれない。
でもそれは何も村長だけの話じゃない。村の大人たちも、邪神の話になると途端に真顔になる。見たことのない邪神でも、近くに封印されていて、しかも伝承が残っているとなれば、笑い話になんて到底できないのだろう。
村人全員から恐れられている邪神。
そして、そいつが封じられている森。
―――俺は今、その中を進んでいた。
「はぁ……」
ため息をつきながら、ただ歩く。
ずっと前に、ため息をつくと幸せが逃げていくよと、マルシアの姉ちゃんに言われたことがあったけど、そんなものとっくの昔に逃げている。幸せが欠片ほどでも残っていたのなら、俺は今、こんな目に遭っていない。
なぜ俺がこんな目に遭っているかというと、全ては村のガキ大将であるザークの翼から羽を抜き取ってしまったことが始まりだ。
もちろん、わざとじゃない。何かに躓いた拍子に誤って抜き取ってしまっただけだ。けれど、ザークはしてやったりとした顔をして、俺に邪神の秘密を解き明かしてくるように命じた。逆らうわけにもいかず、俺はこうして森の中を進んでいる、というわけだ。
今思えば、全部仕組まれていたことだったのかもしれない。あの乱暴者のザークが、日頃から大事にしていた羽を抜かれて取り乱さないわけがない。ザークの取り巻き達の顔だってにやけてたし、初めから俺に邪神の謎を解かせようと企んでいたとすれば辻褄は合う。
(……まんまとはめられたってわけか)
いつものことだ。翼も牙も爪も、エラも甲殻も、不思議な力だって持ち合わせていない俺は、毎日のようにザ-ク達に『出来損ない』と笑われ、殴られ、こういう扱いを受ける。いくら獲物を取ってこようが、いくら良い道具を作ろうが、それでも俺の呼び名が変わることはなかった。
そういうことがある度に、姉ちゃんがかばってくれたが、いじめは一向に止むことはなかった。ほんの些細なことでも吊るし上げられ、それを理由に罵倒される。
我慢できずにやり返したことはあった。けど、その後で袋叩きにされた。やり返せば、その何倍も大人数で痛めつけられた。俺は周りの連中と比べて力が弱かったから、素手ではどうしようもなかった。
殴られて、殴って、蹴られて、蹴って。
何度も繰り返す内に、いつの間にか俺はやり返さなくなっていた。
無駄だと気づいてしまったのだ。いくらやり返そうが、この扱いは死ぬまで永遠に続く。逆らえば逆らうだけ傷つけられる。『出来損ない』と、罵られる。
それなら最初から反撃なんて考えないほうが、痛い目はあまり見ないで済む。
だから、今回も俺はザ-ク達の言うことに逆らえずにいた。禁じられている森に入るのには抵抗があったけど、袋にされることに比べれば大したことなんてなかった。
明日の狩りの準備もある。早く行って、早く帰ろう。
そんなことを想いながら落ち葉や小枝を踏み抜き、俺はとにかく前へ進み続けた。
「ん」
進んでいるうちに、見えた。
社だ。
苔むした屋根に、腐りかけの柱。
これだけオンボロになるまでに相当な年月を要することは、簡単に予想がつく。しかし、そんな風になっていても、立ち入りがたい雰囲気と、言いようのない威圧感はしっかりと感じ取れる。森に入った時の比じゃない。
どうやら、ここがそうらしい。
邪神の封じられた、社。
幼い頃から刷り込まれてきた邪神の恐ろしさが、今になって甦ってくる。
本当に立ち入っていいのか?
入ったら、すぐに殺されて終わりじゃないのか?
逃げるための言い訳が、どんどん頭の中に積み重なってくる。
どんな猛獣の狩りでも、ここまでの恐怖は味わったことがなかった。緊張と恐怖で口の中が急速に渇き、嫌な汗が全身から噴き出してくる。
(……邪、神)
口の中にないはずの唾を、思わず飲み込んでしまう。
本来なら、ここで引き返すのが正解なのだろう。ザーク達にはこっぴどく殴られるかもしれないが、それだけだ。立ち入りがたい雰囲気を醸し出している社の中に入らなくても良くなるし、何よりも邪神への恐怖から解放される。とても魅力的な選択肢だ。
けど、俺は足を踏み出した。
引き返したほうが絶対にいいとわかっていながらも、俺は歩みを止めなかった。
せっかくここまで来たんだ。邪神そのものを見たいとまでは言わないが、せめて手掛かりくらいは欲しい。それさえあれば、ザ-ク達も納得してくれるかもしれない。
それに、俺だって邪神の正体が知りたい。もちろん、恐くないわけじゃない。それ以上に知りたかった。幼い頃からずっと抱いてきた疑問を解き明かしたかった。
(……よし!)
決心し、俺は社の扉に手を掛けた。
錠などの、扉の開閉を拒む無粋なものは何もない。あとは開けるだけだ。
力を入れ、扉の取っ手を引く。
腐っているためか、扉の一部がボロッと崩れてしまうが、構うことなく開ける。
(……なんだこりゃ)
薄暗い社の中を覗いた瞬間に思ったことがそれだった。
てっきり、邪神を象った禍々しい像が祀られていたり、封印のための札がそこら中にベタベタと張られていたりと、不気味極まりない空間が広がっているものとばかり思っていただけに、これは予想外だった。
あれだけ入るまでに葛藤していた社の中にあったものは、床に設置されている鉄で出来た扉、ただ1つだけだった。あとは本当に何もない。像も、札も、俺の想像しているものなど何1つ置いていなかった。
ここに何もないのなら、ここを開ければきっと何かあるはず。
迷うことなく、床の錆びついている鉄板の持ち手を握った。もう恐れはない。
ゆっくりと力を加えながら、俺は鉄板を持ち上げた。思ったよりも重量がある。先ほどの扉のように持ち手が壊れてしまうんじゃないかと思ったが、無事に開けることができた。
「地下か……」
鉄板の先にあったのは、地下へと続いている石造りの階段だった。いきなり降りてみるほど大胆にもなれず、まずは頭だけ突っ込んで様子を見てみることにした。
まず驚いたのが、その広さと深さだった。今いる社よりもずっと広く、そして先が見えないほど深い。洞窟が回転して穴にでもなればこうなるのかと思った。
ただ、洞窟と決定的に違うのが、石か何かで形成されている壁だ。近くの壁を試しに触ってみたが、それは石とも土とも違う、今までに触ったことのない物だった。
戸惑いながらも、次は階段に注目する。
筒のように伸びているこの空間の壁から、まるで生えているような形で下へと続いている。螺旋階段というやつだ。
ほんの少しだけ身を乗り出して、下の様子を伺ってみる。暗くて見えないどころか、階段の終わりさえ見えない。かなりの深さがあるらしい。
そして、何よりも気になる小さな音。耳を澄ませてみると、威嚇のために出す獣の唸り声とそっくりな低い音だった。風の音だと信じたいが、ひょっとしたら邪神を守っている奴の物かもしれない。姿かたちは想像できないが、邪神に関係のある生き物だとすれば恐ろしく強いはずだ。
というか、そんなのに出てこられたら絶対死ぬ。
大きさや、凶暴さなどの問題があることは確かだけど、一番は地形の問題だ。階段上なんて狭い場所で戦闘になったら、よほど弱くて小さい獣でないと勝てっこない。飛行してたら尚更だ。俺の攻撃なんて絶対当たらない。一方的に嬲られて終わるだけだ。
行くか。それとも止めるか。
「……行くしかないな」
ここまで来て、ここまでやっておいて、今さら引き下がれるわけがない。
毒を食らわば皿まで。
村長の教えを無視してまで社まで来たんだ。絶対に何か突き止めてやりたかった。
それに、まだ生き物が中にいると決まったわけじゃない。仮にいても、見かけた瞬間に逃げればいい。戦いになっても、逃げることだけを考えて戦えばいい。それでも駄目なら―――まぁその時はその時だ。たぶん、何とかなる。
腰を上げて、階段を降りていく。
最初の方は外の明かりが階段を照らしてくれたが、降りていくにつれてどんどん足元が見えなくなっていった。
松明でも持ってこればよかったと後悔したが、今は昼間だし、こんな所に潜ることなんて想定していなかったから仕方がない。しんどいことになりそうだが、そのまま降りるしかなかった。
壁伝いに、見えにくい階段を一段一段降りていく。踏み外して真っ逆さまに転落すれば、まず間違いなく命はない。老朽化で階段が崩れていたとしても同じことだ。
そうならないよう、慎重に、慎重に降りていく。
つま先で次の段を確認し、徐々に体重をかけ、そして次の段へと移る。
傍から見ればさぞ馬鹿馬鹿しい光景だろうが、それでも安全には代えられなかった。
(やっぱり、下に何かいるのか……?)
下へ降りれば降りていくほど、入り口で聞いた音が大きくなっていくことに気がついた。最初は生き物か風の音だと思っていたが、どうも違う。少なくとも生き物じゃない。何度も聞いた獣の唸り声とは違い、その音にはまるで生気が感じられないのだ。
この音の正体は何なのかと考えようとして、止めた。
考えずとも、最下層まで辿り着けばきっとわかるはずだ。
生き物でもない風でもない、この音の正体が。
(……それにしても、深すぎないか?)
降り始めてからしばらく経ったはずだ。真新しいものが見つかるどころか、上からの明かりもすっかり届かなくなってしまった。足元はちっとも見えなくなり、手探りで階段を下りる作業が永延と続いた。
降りても降りても、一向に変化が目に見られない。暗闇と階段だけがこれでもかというくらい続いている。音が相変わらず大きくなっていくのだけが幸いだった。それさえもなかったら、本当に終わりがないと思っていたかもしれない。
音だけを心の支えに、俺はひたすら降りた。一番下まで降りていけば、絶対に何かがわかるはずだと信じていた。邪神でも、それを守る獣でも、見たことのない物でも、そこに居さえすれば何でもよかった。そんな確かじゃない希望だけが俺の脚を動かしていた。
「……ん」
それからすぐのことだった。
何も見えなかった階段の先から、うっすらとした弱々しい緑色の明かりが見えた。初めて見るその怪しい光は、不気味さ以上の期待を感じさせるものがあった。
階段を降りていく速度を上げ、俺はただひたすらにその光を目指した。安全確認や不意打ちの警戒を怠ってはいけないのはわかっているのだが、どうしてもはやる気持ちを抑えることができない。
見たかった。
皆が恐れている邪神を、誰よりも先に見たかった。
さっきから、うるさいくらいに心臓が跳ねている。それが恐怖によるものなのか、極端な期待によるものなのかわからない。光へと進んでいる歩を止めるものでなければ、それでよかった。
階段を降りて行けば降りて行くほど光は強くなり、足元がはっきりとしてくる。そこからはもう小走りで階段を駆け下りていく。時折、つまずいて転げそうになったが構いやしなかった。光へと向かうその行為に、俺はただ夢中になっていた。
降りて、降りて、降り続けて……最下層へと辿り着いた。
そして俺は、この階段を降りる前から聞いていた音と、心の支えだった緑色の光の正体を見た。
「なんだ、こりゃ……」
思いもよらなかった物体に、圧倒されてしまう。
階段の先に待っていたのは、うっすらと錆ついている棺のような鉄の塊だった。ぼんやりとした緑色の光も、ずっと聞こえていた例の音も、こいつから出ている。少なくとも獣ではないようだから、いきなり襲ってくるようなことはないだろうと、胸をなでおろした。
ひとりでに光り、ひとりでに音を出すこの塊は、まるで生きているかのようだった。もちろん、鉄が生きているなんて話は聞いたことがないし、ましてや光を放つ鉄なんて見たことがない。そもそも、そんな素材自体がないんだから、人が作り出せる代物じゃないことは断言できる。
それなら話は簡単だ。人が作り出した物でないとすれば、こいつは邪神が作り出したに違いない。調べてみれば、邪神について何かわかるはずだ。
恐る恐る近づいてみる。
遠くからでは良く見えなかったが、表面には何か文字のようなものが刻まれてあった。力任せに刻んだのか、ひどく乱雑なものだ。俺たちが使っている文字とは違っているから読むことはできないけど、どことなく必死さが伝わってくる刻み方だった。
視線を下に落としてみる。
てっきり塊の一部だと思っていたが、植物のツタのような管が床に伸びているのを確認できた。まるで木のようだと思った。ひょっとしたら、ここから養分か何かを吸い取っているのかもしれない。
「こんなもんか……」
一通り見て、あらかたの情報は手に入れることができた。次に俺がやるべきことは、この鉄の塊に触れることだった。
ただ、素手で触るのはいくらなんでも抵抗があった。手袋か何かあればよかったのだけど、今は持ち合わせていない。邪神を怒らせてしまうかもしれないが、足を使うことにした。
つま先で、塊を軽く蹴る。
響くような軽い音がした。これが本当に鉄の塊だったら、こんな音が出るわけがない。おそらく、中が空洞になっているんだろう。もしかしたら、何か入っているのかもしれない。
「……でも、どうやって開けるんだこれ」
問題がそれだった。見る限りでは、取っ手のようなものも、蓋のような物も見当たらない。
道具を使って壊せば、と考えたが、こんな鉄の塊を壊すとなれば相当大がかりな道具が必要になる。それをたった1人で、しかもあの真っ暗闇の階段を降りながらここまで運んでくるのは無理だ。
しばらく悩んで、もう少しだけ調べてみることにした。
ひょっとしたら、何かの拍子で中を見ることができるかもしれない。
もし開かなかったら、その時はまた何か考えよう。
そう決めて、とりあえず塊の周りを回ってみることにした。用心深く、少しでもおかしいところはないかと目を光らせる。
1周しても、おかしな所は見当たらない。それならばと、次は全体を叩いてみることにした。
先ほどと同じように、つま先で下の部分をつつき回してみる。これもまた特に変わった所はなく、最初と同じように響くような軽い音が鳴るだけだった。
残るは上半分だけ。つま先では届かないから、手を使うしかない。
少しだけ躊躇したが……勇気を出して手を伸ばした。
鉄の塊に、俺の指が触れる。
その瞬間だった。
耳をつんざくような激しい音が、辺り一面に鳴り響いた。
「う、ぉおおおおおおおおおおおおおお!!」
すぐさま手を引っ込め、その場から飛び退く。
わけがわからない。いくら蹴っても大丈夫だったのに、ちょっと指先が当たっただけでなぜこんなことになるのか、さっぱりわからない。
ビービーとやかまし過ぎるその音は、一向に鳴りやむ気配を見せてくれない。
むしろどんどんひどくなっていくような気さえする。
警告しているのか、それとも単純に怒っているのか、それすらわからない。
「■■●■■●■■●●●●。■●■●●●。■■●■■●■■●●●●。■●■●●●……」
音に混じって、女の声が聞こえてくる。
が、なんて言っているかさっぱりわからない。
妙に落ち着いた声色で、同じような言葉を淡々と繰り返している。
それが何だか不気味で怖かった。
「……どう、なってんだ、これ」
突然のことですっかり俺は混乱してしまって、その場から立ちすくんでいた。すぐに逃げ出せばよかったのだけど、足に根が張ったかのように動いてくれなかった。
そうこうしているうちに、鉄の塊から、プシューと火にかけたやかんのような音がして、表面がゆっくりと扉のように開いた。隙間から冷気が勢いよく飛び出し、俺の体を包み込んだ。
視界が真っ白に染まり、何も見えなくなる。
それが、恐い。
今、あの鉄の塊はどうなっているのか、何が入っているのか。
不気味なくらいに頭が回り、恐怖でさらに体が固まる。
徐々に視界が開けていき、表面が開いている鉄の塊が露わになる。
睨んだ通り、やはり中は空洞のようだった。
その中に、何やら白い布切れのようなものが見えるが、遠くからではよくわからない。
勇気を出して、近づいてみる。
ゆっくり、ゆっくり……。
そして俺は、鉄の塊の中にある物の正体を知ることになる。
「おん、な……?」
鉄の塊の中には、すぅすぅと寝息を立てている女が居た。
白い布切れを纏ったその体には、翼も、牙も、爪も、エラも、甲殻も付いていない。
『出来損ない』と罵られた俺と、同じ姿をした女だった。
「もしかして、こいつが……?」
伝承を残し、村人から恐れられている邪神。
強力すぎるほどの力を携えた、邪な神。
間違いない。俺は……。
その邪神を、解き放ってしまったのだ。