星の降る夜2
ラインハルトが馬を湖でやすませ、湖面の水で手や顔を清めていると葉の船に紙が乗ったものがながれてきた。
周りを見回すと、静かな湖畔に人陰はなく湖面は凪いでいた。
反射的に手に取ると、まだインクの乾いていない文字で まだ見ぬあなたへ とある。興味をひかれ文を開けば、女性と推測される文字で誰かへ宛てた手紙のようだった。
まだ見ぬあなたへ
はじめまして。私はクリスティーナよ。
びっくりするかもしれないけれど、貴方は私の運命の人よ。私たちは、これからどうやって出会うのかしら?街中で?
お見合いかしら?これは夢がないからなしだわ。
どんな出会いをするのかは、あなたにお任せするわ。きっととびきりロマンチックな出会いだわ?
あなた…名前は…なんにしましょう?う~ん、とりあえずレインね?
ねぇ、レインは何色の髪をお持ち?眼は2つよね?わたしも眼は2つよ。
早く貴方に会いたいわ。
クリスより湖の恵みと共に。
ラインハルトは、笑っていた。嘲笑ったのではなくなんだか胸が暖かくなるようで自然と笑みが溢れた。きっとこの手紙の差出人は読まれるとは思わずに、流され自然に返ると思い葉の船に浮かばせたのだろう。そうラインハルトが目星をつけたときまた、手紙の船が流れてきた。それを手にいれ読むと今度は父母へ甘えるような内容であった。今度も可愛らしさで口角が、上がる。益々、興味を流れの先へ行って見ることとした。
暫く歩き背の高い草木に前を阻まれた頃、人の気配がした。そうっと覗けば、柔らかな栗色の髪を半分だけ結った真っ青な絹リボンが風に揺れていた。そして、そのリボンがゆっくりと横へと動くと白い肌が光り輝き、美しいサファイアの眼が煌めいていた。
ラインハルトは、一瞬息の仕方を忘れていた。