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月日  作者: 朔芭
5/9

雨上がり3

1人になったクリスティーナは、先程までラインハルトが座っていたよく使い古された飴色に鈍く輝く椅子を見つめていた。

そして、今までそこにあった笑顔を思い浮かべ思いを巡らせた。


変わらないのね、いいえ。あの頃より魅力的な雰囲気で、領主様らしくみえたわ。もう領主様になって2年が経つはずだもの。

そうだわ、ご結婚され爵位を継がれ領主として立つ。あの時、思い描いた未来が現実になり目の前にある。見たことのない奥さまと笑い会うハルト様が浮かぶ。


クリスティーナの眼が潤みポロポロとスカートに染みを作っていく。


悲しくなんてないのに。そんなはずないのに。

傷つく資格も泣く資格もないわ。

あの時に涙渇れるまで泣いたのに、まだ、泣けるんだわ。


でも、嬉しい。二度とお目にかかる事はないと思っていた。


クリスティーナは、声をあげて泣いた。

それは、嬉しいからなのか悲しいからなのか、それとも両方なのかわからなかったけれど、泣いてスッキリしたのか、お茶を入れ始めた。


暖かいお茶を口に含む。


あんなに泣いて恥ずかしい。お懐かしい顔をみて心がおどろいたのよ。なんでもないわ。


クリスティーナは、自分の心を誤魔化した。


落ち着くと、ラインハルトとエドワードの二人で出掛けたことが、やっぱり不味かったのではないかと頭を過る。



「ハルト様にエドを任せてしまったわ。やっぱり、不安だわ。

大丈夫かしら?」


ラインハルトは尊敬に値する人物で、もちろん人柄は信用できる。だが、相手は幼児だ。


クリスティーナは、上着を羽織り、二人を追うことにした。


祭りの出店が並ぶ広場に来たがどこにいるのかわからない。

小さい村だか、年に何度かしかない祭りだ。近所の村々からも集まり結構な人出になる。といっても広場に2、30軒ばかりの出店が出るくらいのものだ。

しかし、クリスティーナは、何の考えもなく出てきてしまったので、どうしようもない。偶然出会うのを待つしかないのだ。


ひとまず、クリスティーナは広場をあるいてみることにした。


右の屋台は、お菓子やジュースを売り、左は布や装飾品を売っている。


歩きながらキョロキョロと見渡すがなかなか

それらしい人は見当たらない。

クリスティーナは

「ふぅ。」


とため息をつき、お家で待っていた方が良かったかしら?もしかして帰ってるかも?

考えを巡らせつつも歩き続けた。


そうしていると、だんだんと以前にラインハルトとした約束を思い出した。


初めてした約束だった。







「今年の星降祭は、一緒に行こう。」




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