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Cesario-6

〈注釈〉

※1…普段はいがみ合っている二人だが、その実まるでそっくりということ。

 まさかゴミ袋の中を覗くなどということはないでしょう、ひとまずわたくしはなるべく工夫して包装の紙を処分しました。このようなことに気を遣わなくてはいけないなど、本当に危うい生活をしているものでございます。


 さて、私は読書などをして休日を満喫し、そして日が傾いた頃、内線でアルバ氏からのお呼び出しがございました。

「――はい、かしこまりました。すぐに。」

なんと、国王陛下と謁見することになったのでございます。陛下は今日ご公務からお帰りになったばかりでお疲れのはずですのに、私に挨拶をしたいと仰せになったそうでございます。なんと有難いことでしょう。

 しかしそれだけではございません。改めてソフィ王女殿下もご紹介してくださるそうでした。今朝おっしゃっていた「話」というのも、もしかしたらその場でついでにお話しなさるおつもりやもしれません。


 私は覚えたての城内地図を思い出しながら、なんとか一人で応接間にたどり着きました。

「デュラン=コナー、参上いたしました。」

そう申し上げますと、ドアが開きました。

「……失礼致します。」

私が顔を上げますと、あの国王陛下が私をご覧になって、微笑んでいらっしゃいます。そしてそのお隣には王子もいらっしゃいました。

「おお! 君がデュラン君か!」(※1)

「お初にお目にかかります、デュラン=コナーと申します。お会いできて光栄です、陛下。」

いつかの王子のように、陛下は私の手を握ると、それをぶんぶんと上下に振りました。テレビの向こうで拝見した陛下の印象とは大分違いますので、私は少し困惑しました。

「……気にするなデュラン。親父はいつもだいたいこんな感じだ。」

私の表情から読み取ったのか、王子はそうおっしゃいました。

「……はあ……。」


 陛下は目元が王子によく似ておいででした。白髪混じりの黄褐色の髪は、きっと昔は王子のようなダークブロンドだったのでしょう。たしか国王は今年で五十七歳になられると記憶しておりますが、印象はそれよりお若く思えます。


 「こんな感じとは何だリード。私はデュラン君に挨拶しておる! お前は黙っとれ。」

「……けっ。」

どうやらお二人の仲は淡白なようでございます。もっとも王子はまだ高校生ですから、お父上との関係はこれくらいが普通なのやもしれません。

「いやあ、リードから聞いておりますぞ。まったく、こやつも“絶対にデュランでなくてはダメだ”と散々駄々をこねておりましてな、私どもを困らせたものです。ははは……」

「なっ、親父!!」

「そ、それは恐れ入ります……。」

この様子を見て、アルバ氏は可笑しそうに笑っていらっしゃいました。


 「あの、王女殿下は……?」

そういえば、先程からお姿が見えませんでした。陛下もお気付きになったように仰せになりました。

「ああ、エールはそろそろ来る頃ですな。」

そのとき、ドアが勢いよく開き、私も陛下も王子も驚きのあまり飛び上がりました。

 「……おお、エール! よく来てくれたな。」

真っ先に王女の方へ飛びつきあそばしたのは陛下でした。しかし王女は

「お父様、暑苦しいから寄らないで。」

と、なんと陛下を一蹴したのでございます。


 「……ううう……エールがまた暑苦しいって言った……。」

「へ、陛下、お気を確かに!」

アルバ氏が必死で陛下を慰めておいでです。その様子をご覧になって、王子は溜息一つ、こうおっしゃいました。

「……コレもいつものことだから、気にすんな。」

「……そ、そうなんですか……。」

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