Cesario-5
「――……あの、御用とは何でございましょう、エール様。」
まさか王女自らおいでいただくとは思ってもみませんでした。
今日は私の休日の水曜日でございます。私は朝の五時に起床し、朝の鍛錬――つまり、庭園の一角を使わせていただいて魔法の修行するのですが――を行った後、朝早くからすみませんと言いながら食事をとって、家政婦の彼女を誘ってお茶を飲みました。
そしてその後の午前七時半頃に突然、ノックがしたので開けて出てみると……そこには小さな王女様がいらっしゃり、私に「話があるんだけど」とおっしゃったのでございます。
「……もうすぐ学校に行かなくちゃいけないから、詳しい話はまた夕方にするわ。とにかく、ちゃんと時間は空けておいてよね!」
そう口早におっしゃると、王女はくるりと背を向けて、廊下をずんずん歩いて行かれました。しばらく私は何のことか考えましたが、やはりよくわからなかったのでしばらく休むことにしました。どうにも今日はあまり動く気がしなくて、朝の鍛錬もいまいち調子が上がらなかったのです。
ところ変わってダイニングでは、二人の兄妹がなにやら話している。
「――というわけだから、お兄様、協力してよね!」
「……な、何言ってるのかわかってんのか、エール……。」
リードは頭を抱える。妹の「いい考え」を聞いた彼は、あまりの大胆な作戦に驚き呆れた。普段は割と冷静な方のはずのエールがとんでもないことを言い出したのだ。
「わかってるわよ。私はもう本当の“エール”になれるのでしょう。」
「……お前なあ……。ん? ていうかそれ、デュランは知ってるのかよ。」
「……それはいいから、お兄様、ちゃんと伝えたわよ!?」
リードは何か言いかけたが、係りの者が二人を学校に行く時間だと呼んだので、その話はそれきりになってしまった。リードは微妙な気持ちで車に乗り込んだ。
「……道理で気が重いわけですね……。」
就任四日目にして、生理が来てしまいました。とりわけ生理痛が重い方ではないのですが、どうにも生理中の一週間は気が沈むことが多いのです。まるで腹に鉛の玉を仕込んでいるような気分になるのでございます。
さて、困ったことに私は男と思われている身でございます。自ら望んだものではございませんが、やはり明かすべき身分ではないでしょう。それが生理となっては、ええ、全く好ましいことではございません。
私は重い身体を半ば引きずるようにして、自分の荷物の入った大きな鞄をクローゼットから取り出しました。こんなこともあろうかと思い、普段から買い溜めておいて正解でした。私はその中から新品の袋を破り、中身を一枚取ってから鞄を閉めて、もう一度クローゼットの奥にしまいこみました。掃除に来てくださるとおっしゃるのを無理にお引き止めしたのも、あまりこういった「プライベート」を知られたくなかったのもあります。……もちろん、自分のことは最低限自分でしたいというのもございましたが。
私は憂鬱になりながら、お手洗いの扉を開けました。




