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6.おうちへ帰ろう。

13.07.04改稿しました。大筋の順番を時系列順に直しただけなのでストーリーに変化はないかと思います。

(監禁………ねえ。)


こちらを軽く見ていないということは喜んだほうがいいのか、悲しんだほうがいいのか。抑圧的な対応は、わたし個人にそれなりの判断力と行動力があるとあちらが認識しているということだろうし。祭り上げればおだてられるオコサマでないとは思われているらしいが、実働という点ではほぼ無力だぞ、わたし。なんてったって平々凡々な女子だしな。


まあ、とはいっても。


それで黙っているほど、わたしは老成してないし冷静でもないし。


それで安心できるほど、わたしはおばかでもないしとりっぷ補正で最強でもないし。


それで引き下がれるほど、社会人としての矜持がないわけじゃないのですよ。


あの苦悩と苦労と睡眠不足の日々を忘れたわけではない。自分で選んだ自分の職場を、いい人そうではあるけれど赤の他人のためにつぶしてやるほどわたしはお人よしじゃない。


第一立場が定まるまでなんていっているけど定まったところで素直に帰してくれるとも思えない。なんだかんだ理由をつけて長期滞在コースか、その前に城から放り出されてめでたしめでたし(ジ・エンド)だ。それは……ない、とは思いたいが。むこうさんも無闇な攻撃という意味では警戒をといているが、精神的な意味合いでは信用?なにそれおいしいの?状態だしな。



仕事のためにも自分のためにも、おうち帰ろう。


そうと決まればまずは情報収集。


一人暮らしの悪い癖で、考え事をしているとちょいちょい口に出してつぶやいてしまう。部屋の前に立っている護衛(気付いたら、いたの)の騎士さんに記憶をたどりながらの今後の身の振り方脳内会議を聞きとがめられたらしく、何か不自由でもとたずねられたときには今すぐ穴掘って隠れたい衝動にかられました、はい。


「エレアノーラ………キサ様につけられたメイドを呼びましょうか?」


どうやら男の自分には言い出しにくいのではと気をまわした騎士のお兄さん(いわずもがな、である)に申し出られたけれど、本当にたいしたことじゃないのでと丁重にお断りした。こういう親切なところというか、人間らしい好意もあるから憎めなくて困るのよホント。


ちなみにエレアノーラさん、先ほど退出していった手際のいいメイドさんで、混乱に乗じわたしの胸をもみしだいた張本人である。



そしてきっと、ただの美人なメイドのおねいさまじゃない。



そもそも、こういう状況でつけられたメイドさんが、ただのお世話係だとは思えない。護衛とは名ばかりの監視人員が、いかにもひとの良さげなあの騎士のお兄さんというのもおかしな話だ。エレアノーラさんの冷静沈着っぷりもただのメイドさんにしては落ち着きすぎている。そうかんがえれば本命(かんしやく)はエレアノーラさんで、騎士のお兄さんは目隠し(フェイク)だろう。さっき少し鎌をかけてみたが、騎士のお兄さんはそこまで詳しいところを知らなさそうだった。


「長期戦覚悟でさぐるかあ………」


気絶して目が覚めたら、外が暗くなっていた。感覚としてもそんなに寝ていた感じはないし、エレアノーラさんいわく四半日も寝ていなかったらしいので、元の世界(あっち)この世界(こっち)じゃ大した時間軸のズレはなさそうだ。部屋の照明器具を見るかぎり、こちらは夜更かしとは無縁のようだし、今日はもうタイム・オーバーだな。結論付けて、シーツにもぐりこんだ。エレアノーラさんが用意してくれた寝巻きがあったけど、まあいい。眠い。


こうしてわたしの異世界一日目は幕を閉じる。





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