3.何でもいいから早く。
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増える数字に、戦々恐々としている狩乃です。
13.07.04改稿しました。大筋の順番を時系列順に直しただけなのでストーリーに変化はないかと思います。
名乗りをうけたわたしが名乗り返すと、片膝をついたままだった両脇の二人が彼、エドワード王子の横に立った。アッシュグレイのふわふわした髪に菫色の瞳で、どうかすると女の子にも見えてしまいそうなエドワード王子の横に彼らが立つと、王子の華奢さが目立って仕方ないなあとわたしは思った。
「先ほどは驚かせてしまい申し訳ありませんでした」
淀みない仕草で何か印を切って頭を下げたのは、終始敬語を崩さなかった方。僧服に近いような儀礼服のすそは長く、結わずに垂らされたままの黒髪は女性と見紛うような長さだ。う、うつくしい。繊細で完成しきった美貌。
「当国シスカ神殿神官長の、レフィリアル・ラ・ヴィエンカと申します」
第一王子付き筆頭文官もつとめさせていただいております、と恐ろしい美形の彼は続けた。視線でつ、と片割れの方を見やり、王子に気さくそうだったその青年をうながす。
「悪ふざけがすぎて申し訳ない」
あくまで真面目な顔をして謝った後、にかりと笑って胸に手を当て、一礼する。気さくな兄ちゃんという風情だがなかなかどうしてあなどれない。
「王立騎士団所属第一王子付き筆頭武官、アメリバルド・キーシーカー」
朗々とした名乗りは、ふつーに格好良い。
聞いてとった情報を整理するのに忙しいわたしに、レフィリアルさんはわりかし容赦なかった。
「貴女も混乱しているご様子だから、時間をとって休ませて差し上げたいのはやまやまなのですが、こちらとしては一刻も早く貴女に状況を理解していただきたい」
はい、わたしもいろいろお聞きしたいことがあります。例えばこの状況とか。さっきのひとたちとか。お妃ってナニ?とか。………お妃様のご来訪というくらいだから、多少は予測がつくけれどね………うふふ……あれ、なんだろ。これ、なみだ?
「ちょっと待って、レフ。それは、」
「エドワードさま。これはゆずれません」
王子の制止にもがつがつかぶせてくるレフィリアルさん。なにそれつよい。エドワード王子はわたしを気遣うような視線をよこしてくれたけれど、もうとにかく何でもいいからこの状況の説明を受けたいです、わたし。
不意に自分で気づく。
意外とわたし、この事態にめちゃくちゃ動揺している、らしい。
ちょっといきなりのシリアスな雰囲気でした。
もうちょっと落ち着けば、ラブコメ………にはなりませんがほのぼのはさせられるかと思います。
側近組はまたベタに神官と騎士ですね。こうみえて(どうみえて?)王子ラブです。