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1.聞いてません、ええ断じて。


わたしは何の変哲もないただのOLだ。


唯一少し変わっていることといえば、母方の祖母がそれなりの資産家で不動産をいくつも所有しているということだろうか。彼女はかなりのやり手で博打に強い。万馬券をあてたりちょこちょこパチンコでフィーバーしたりして貯めたお金を投資して着実に増やし、ひとりで一財産築き上げた。


『卒業祝いに持っていくと良いわ』


在学中の部屋は用意してあげられなかったものねえおほほほほなんて笑ったおばあさまに、新しくはないけれど良く手入れされたメゾネットをひとつぽんといただいてしまったのはかれこれ三ヶ月前。忙しさにかまけて三ヶ月間一度も部屋の掃除もしていなかったとかそれどうなの。女失格のわたし22歳であります。ごめんなさい、おばあさま。


と、いうわけで一念発起した土曜日の午後。


部屋を掃除しつつ、あらためて三ヶ月住んだこの部屋の調度にうっとりする。


「もー………何でこんな趣味が良いの……おばあさま惚れるわ」


建て付けのロフトベッドも棚もセンスが良いし、壁紙も素っ気無くない、まさに調度良い可愛らしさ。派手になりすぎず地味すぎないを家具で実践するのは難しいのに、ホントにあのひと只者じゃない。住み始めたばかりというわけでもないのにいちいちここが可愛い、あそこが萌えると発見が増える。ていうかわたしの趣味に合致しすぎだろうよ。


おばあさまがあっさりとくださったこの(誰名義になっているかは怖くて聞けない。いやホントマジで)メゾネット、いちおうタダというわけではない。共同スペースのことはお任せするわねと言付かっている。つまり、メゾネットの環境美化につとめればタダ住まいの対価を払えるということだ。


花壇に水をやって、週1で掃き掃除をすれば、新卒社会人には分不相応な綺麗で広い部屋に住めるなんて、親類縁者の特権というべきほかはない。


そういえば、隣の空き部屋もたまに掃除してくれるとたすかるわーとか言われていたな。


思い立ったが吉日というか思い立った日を逃せばずるずる出来なくなるのはわたしの悪い癖なので、預けられていた合鍵を手にお隣の部屋へ向かう。自分の部屋はあらかた綺麗になって、あとは洗濯物を干して鏡を磨くだけだ。


「とりあえず、窓開けて空気良くして―――」


掃除機かけて、水ぶきもしようか、いちおう。水周りチェックして、クローゼットも開けて中の湿気とばして。指折り数えて鍵をあけた。ドアの色目もわたし好みで素敵と思いながら。



で、アレ(・・)である。



げにおそろしきはこんなときもつっこみを忘れない自分の(サガ)である。


え、ちょ、そんな。この部屋空き部屋だっておばあさまおっしゃってたよね!?この扉いつの間に『どこでもドア』機能なんてつけてるのハハハって笑えねえええええ!


驚いたあまりに声には出ず、こころの叫びにそれはもう見事なエコーがかかった。



名義とかメゾネットとかは読み流していただけるとありがたいです。実際メゾネットがどんなものかはよく分かっていないです。一般市民の一人暮らしにはちょっとリッチなお部屋ぐらいに考えていただければと。


短めに、さらっと読める程度で切っていこうと思います。

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