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プロローグ
「おろ?」
扉をあけたらそこは王侯貴族の執務室でした。
いかにもって服の、いや、服というのも軽々しくて躊躇われるような衣装の男のひとが二人、ぽかんと顎を落としたままこっちを凝視している。青年というより少年にちかい男の子を囲んで書類攻め。半泣きの少年はやけにきらきらしい涙をひとつぶ落とし、首を傾げた。
「だれ?」
こっちが聞きたいよ、少年。
思わず言い返しかけた瞬間、いつの間にか満面の笑みになった青年二人が目の前に迫っていた。何それこわい。い、嫌な予感が、
「どれだけこの日を待ちわびたことかっっ」
「エドワードさま!ついに、ついに!お妃さまのご来訪です!」
そしてむんずと腕をつかまれ、引っ張り込まれたわたしの背後、わたしの人生を決定的に変えた扉が、ぱたんと閉まった。
翡翠に行き詰っていたらこの話が浮かびました。大分勢い投稿なのでタイトル後からかえるかもしれないです。
11.09.17 狩乃