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まあいっか
部屋に戻って、ダウンを脱いで、パンプスを脱いだ。
玄関のたたきに揃えた黒いエナメル。右の踵の、いつついたかわからない傷。白い光に照らされて、小さく光っていた。
——まあいっか。
口に出して言った。いつもの口癖。いつもの「まあいっか」のはずなのに、なんだろう。ちょっとだけ——ほんのちょっとだけ、いつもと違う気がした。なにが違うのかはわからないけど。
あたしは裸足のままフローリングを歩いて、ベッドに座った。イヤホンはまだつけたまま。「編みかけの私」をもう一度再生した。
明日は土曜日だ。来週はまた面接がある。
明日の朝——なに着ようかな。
それだけ、ちょっとだけ、自分で決めてみようと思った。




