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宇宙人

冬の夜の空気と一緒に入ってきたのは、ちょっと信じられないくらい綺麗な人だった。


白いニット。ケーブル編みのざっくりした感じで、肩のあたりがすこし開いて肌が見えるデザイン。タイトなミニスカートに黒いショートブーツ。ショートボブの髪が外の風で少しだけ乱れていて、それすら様になっていた。


モデルさんかな、とぼんやり思った。だって足が長い。顔が小さい。なにより深夜のコインランドリーに来る人の華やかさじゃない。


あたしは無意識にダウンの前を合わせた。


その人は両腕に洗濯物を抱えて——カゴとかじゃなくて、そのまんま抱えてきていて——空いている洗濯乾燥機の前で立ち止まった。両手がふさがってるから蓋が開けられないみたいで、洗濯物と蓋を交互に見ている。


……気がついたら立ち上がって、蓋を開けていた。


「ありがと!」その人は当然みたいに洗濯物を放り込んで、パネルを覗き込んだ。「ねえ、これってどうやって回すの?」


ああ、やっぱりこういうとこ来ない人なんだ。


「あ、えっと、そこにコインを入れて、温度はそのボタンで選べます。中温で大丈夫だと思います」


出た。あたしの「いい人」の声。


「ありがと!」


二回目のありがと。その人はにこっと笑って、言われた通りにボタンを押した。なんの迷いもない。あたしのことを当たり前みたいに信用してる。初対面なのに。


洗濯乾燥機が回りはじめると、その人はあたりを見まわして——ベンチはあたしの隣にしかなくて——ストン、と座った。一席空けるとかなかった。密着はしてないけど、「空いてるから座る」、それだけ。


「ここ、あったかいね。洗濯機の熱が溜まってるのかな」


そう言いながら、ブーツの踵で床をとん、と鳴らした。


「かもですね」


あたしはいつものモードで相槌を打っている。にこにこして、適度に共感して、深入りはしない。完成されたモード。たいていの人はこれで満足してくれる。


でもこの人——なんなんだろう。こっちが相槌を打っても、なんか、ぜんぜん噛み合わない。ずっと自分のペースで喋ってる。


なにこの人。宇宙人?

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