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なんとか魔術師かーど〜しよう?  作者: 相生蒼尉
第2章 なんとか魔術師のセンパイ

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第24話 運命の……? 再会……?



 面会のあと王城に泊ったボクは、前回と同じように客室を綺麗にしてから学園都市に戻った。ちなみに前回と同じ部屋だった。


 帰りの馬車も学園長と同乗した。誰かボクに同情してください。


 でもまあ、キイマカリーについていろいろと勉強になった。

 キイマカリーというか主に『雷撃の魔術師』の話だったけど。


 学園長によると、もともと『雷撃の魔術師』サラマン・イスクはあんな人ではなかったらしい。

 平民出身で、腰が低くて……って、別人すぎる。正直なところ学園長の話には疑問しかなかった。


 ……それがあんなに傲慢な感じになる? ならないよね?


 キイマカリーでは大きな力を持つようになって性格が変わったといわれてるみたいだけど……学園長はそうではないと考えてるらしい。

 本当のところはどうなんだろうか?


 でも、理解できるところもある。


 正確な数はわからないけど、いくつかの貴族家を潰して……サラマン・イスクは国の命令に従わない魔術師になった、という話だ。


 平民が貴族家を潰すって何!?

 あの人、ヤバすぎるよね!?


 それでもサラマン・イスクを支持する貴族家もあるみたいだから、そのへんはうまくやったんだろうと思う。


 でも、そこまでやらないと……強力な魔法の持ち主は結局のところ国の奴隷みたいにされてしまうのかもしれない。


 強い魔術師って、そういう存在なんだと思う。


 ボクは……うーん。

 掃除の魔法しか使えないから、そもそもこの国がボクをどう扱うつもりなのかはまだわからない。


 たぶん、魔法学園を卒業するまでは様子見なんだろう。


 学園長を家庭教師状態にした3時間にわたる『雷撃の魔術師』の物語はそこそこ楽しめたのでよしとする。


 ある意味で真実の『平民の英雄』なのではないだろうか……?






 残り時間の少ないイセリナ先生の基礎訓練を受けて、一度寮に戻って食事だ。


 それからまた学園へ向かって、今度はイセリナ先生の研究室で掃除の魔法の研究になる。こっちはボクひとりだけだ。


 ……イセリナ先生と一緒にいる時間が多くて幸せ。


 イセリナ先生があんまり身分ってものを感じさせないようにしてくれてるからなんだろう。

 一緒にいて安心できる。本当にいい先生だと思う。


 でも、研究の方はうまくいってない。

 ボクの方がイセリナ先生よりも魔力量が多くなってしまったため、イセリナ先生による掃除の魔法の分析はなかなか進まない。というか、無理なのかもしれない。


 自分より魔力量が多い人の魔力の動きをみるのは難しいらしい。


 ……ボクがちゃんと魔力視を使えるようになった頃には、ボクより魔力量が少ない人しかいなかったからよくわからないけど。


「……うぅん。やはり光の魔力はよくみえませんね」

「学園長の勘違いだったとかは……」


「それは考えられませんよ。お忙しそうですけれど、カーインド学園長に一度頼んでみた方がいいかもしれません」


 そこでボクはひらめいた。


「……あの。イセリナ先生がやっていたみたいに、ボクが魔力量を偽装すれば……」

「あ! 確かにそれなら……いえ、しかし……魔力量の偽装を教えるのは……」


 イセリナ先生が喜んだ直後に考え込んでしまった。

 落差が激しいな。


 魔力量の偽装は……騙す技術だ。

 誰を騙すのか、何のために騙すのか、という部分を考えないようにすればとても有用な技術のはず。


 だからこそ、その部分をふまえると教えてはいけないというのも納得できる。

 それともボクが知らない法律的な何かの制限があるのか……ありそうだ。


「……その方法については検討させてください。わたしでは決められない部分がありますので」

「はい」


 ボクは素直にうなずいた。

 イセリナ先生を相手に素直にならない学園生はいない。いたら許さん。


 ボクの魔力量が増加したという事実。


 おそらくイセリナ先生がボクの魔力をみるのがますます難しくなったのは、ダンジョンでトゲネズミをたくさん倒したからだ。


 正確にいうなら、倒した結果として新たなページを開いたから……かもしれない。


 ……例えではなくて、魔力の本の新しいページが開いたんだけど。


 まずは5ページ目。

 これはわかりやすかった。


 ページの上にカードの枠がひとつ。

 これは半円がない取り外せないタイプ。


 そこから下向きの矢印があって、ページの下にカードの枠がふたつ並んで、その間に「+」がある。

 こっちの枠はふたつとも小さい半円があるからカードの取り外しが可能だ。


 つまり、4ページ目と逆になってる。


 上の枠に星型マークのあるなぞのカードをはめ込んで、起句の『枝葉ラムスエトフォリス』を唱えると……下のふたつの枠にほうき10本のカードが2枚、出てくる。もちろん、なぞのカードは消える。


 このページはカードの「分解」という方がいいかもしれない。

 そうすると4ページ目の方はカードの「合成」か。


 一応、ほうき1本のカードで実験したけど、ほうき1本のカードはこの上の枠に入らなかった。

 枠にはめ込むことができない場合はそのページの機能を絶対に使えないってことだろう。

 ほうき1本のカードは分解できない最小単位の掃除の魔法ってことかもしれない。


 ……トゲネズミを1匹だけ狙って倒せないけど、まあ、別にそれはいいか。1匹だけを倒す方法は別のところで見つかったから。


 このページがありがたいのは、カードが消えてなくなるタイミングを伸ばせるところだ。


 4ページ目で合成するとカードの寿命がリセットされて延びるから、たぶん分解してもそれは同じはず。

 なぞのカードが消えてなくなる前に分解してほうき10本のカード2枚にしておけば、そこから数日でもう一度合成してなぞのカードにすればいい。


 ……ほうき1本のカードとほうき3本のカードについてはある程度あきらめる必要があるけど。


 まあ、最強のなぞカードを常に数枚はもっておきたいからうまくこのページを使いたい。


 6ページ目はなかなか面白いページだった。


 ページの中心に半円付きのカードの枠がひとつだけある。ど真ん中だ。

 もちろんカードの取り外しが可能。


 起句は『試用イウディチウム』だ。


 何が面白いのかというと……カードを使ったらどうなるのかが頭に浮かぶっていう効果がある。

 そして、カードは消費されずに残る。取り戻せる。


 掃除する瞬間的な映像が見えて、綺麗になった結果がわかるだけだから……頭に浮かぶ映像が面白いわけじゃなくて、そういう映像が頭に浮かぶということが面白い。


 ……魔力は消費してる。なぞのカードでの実験でそれはよくわかった。


 そして、一番面白かったのは……ボクの魔力がどういう風に使われるのかがわかったことだ。


 なぞのカードを『試用イウディチウム』で実験すると……その広大な範囲を実はボクが決めてるってことがわかった。


 あの学園都市近郊実習用ダンジョン浅層魔物消滅事件の時のボクは無意識で最大範囲を指定していたらしい。

 だから大惨事になった。


 ボクの魔力は、どの掃除の魔法のカードでも……カードを『使用ウピヨーグ』する時に極小で消費される。ほとんど使ってないくらいだ。


 その代わりってわけじゃないけど……範囲指定にはそれよりもちょっとだけ魔力を消費する。

 消費するといっても……『使用ウピヨーグ』よりは多く使ってるけど大した量じゃないって感じ。


 でも、範囲指定によって最大範囲よりもせまい範囲を指定すると魔力の消費はさらに少なくなる。


 ……イセリナ先生によるとボクの魔力量そのものが多すぎるから、ボクが少ないって思ってる感覚はそこまで信用できない気もする。


 それで実験してみたら……ほうき1本のカードで寮の部屋じゃなくて、ボクの服だけを綺麗にすることができたわけで。


 ボクはこれを洗濯魔法と名付けた。

 ちなみにボクの体を範囲指定するとお風呂魔法になります。


 ……うん。面白がってるのボクだけかもしれないけど、面白かったんだよ、うん。


 そのうち、「掃除魔法の応用ができるようになりました!」とか、イセリナ先生に紹介できるかもしれない。


 でも、たぶん、やらないかな。


 ボクは掃除の魔法しかできない。

 表向きはまだ魔法が使えない。


 これがボクにとって、もっとも都合がいいかもしれない。

 そういう可能性を知ってしまった。


 あの人……『雷撃の魔術師』サラマン・イスクを知ったことで。


 強力な魔法を手にした場合、めんどうくさいどころじゃない。

 戦場で自分の命をかけつつ、他人の命を大量に奪うようになるかもしれないなんて考えると……。


 怖すぎるだろう……。


 コンコンコン。


「あら、誰かいらっしゃったようですね?」

「え……?」


 イセリナ先生の言葉で、ボクは我に返って研究室のドアの方を向いた。


 確かに誰かがノックしてる。


「はい、どなたでしょうか」

「シェンエントだよ」

「シェンエント教授? どうぞ、お入りください」


 ドアが開いて、シェンエント先生が顔をみせた。

 中に入るつもりはないようだ。


「この前、シーアルドくんが教えてくれた未解読の古代神聖文字があっただろ? あれが解読できそうだから、帰りに私の研究室に寄ってくれないかい?」


 ……この前のって、あれか。2ページ目の一番上にあるやつ。


「こっちが終わってからでいいですか?」

「もちろん。では、待ってる」


 まだいくとはいってないんだけど……まあ、いいか。


 相変わらず自分勝手な先生だなぁ――。





 ――なんて甘かった。自分勝手どころか、下手したらこの先生って反逆者なんじゃないか?


「やあ。また会えましたね、シーアルドくん」


 帰りに立ち寄ったシェンエント先生の研究室には、王城で会った時とは別人のように礼儀正しく話す『雷撃の魔術師』サラマン・イスクがいたのだった。






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