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なんとか魔術師かーど〜しよう?  作者: 相生蒼尉
第1章 やっぱりクリーンな世の中が一番

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10/20

第10話 これがボクの魔法です!(胸を張る)



 ボクは寮の自分の部屋でほうきをみていた。


 目の前でキラン、キランと光るほうきにボクが触れる。


 そうするとポトリとカードが落ちる。


「……やっぱりそうか」


 ほうきの横にはまた数字が浮かび、少しずつ減っている。


 落ちたカードを拾って確認すると、昨日のカードと同じだ。

 読めない文字とほうきの絵が描かれたカード。


 だいたい1日で、再びカードが手に入る。

 たぶん、このほうきから明日もカードが手に入るんだろう。


 魔力を循環させて、魔力の本を出す。


 昨日のカードは左のページにはまったままだ。

 なくなってないことに安心する。


 ボクは2枚目のほうきのカードを右のページの枠へと近づけていく。


 少しだけ、怖い。

 これで何も起きなかったら……ボクはいつ、魔法が使えるようになるんだろうか?


 ニーラとナイスクマリーもすでに属性魔法が使えるようになった。


 小さな火を出したり、ほんの少しだけ砂を出したりとか、その程度だけどまちがいなく魔法だ。うらやましい。


 いずれはアロー系やボール系の攻撃魔法が使えるようになるそうだ。すごくうらやましい。


 アリスティアお嬢さまはすでにアロー系の魔法が使えるようになっている。


 うらやましくて……くやしい。

 イセリナ先生の教え子の中ではボクだけがまだ魔法を使えない。


 イセリナ先生は運動が苦手だけど魔法に関しては本当にすごい。

 ボクたちにとってはいろいろな意味で最高の師匠だ。


 ボクも魔法が使えるようになりたい。

 ボクだけがまだ使えないことがくやしくてたまらない。


 だからボクは――。


 パチンと音が聞こえた気がする。

 右のページの枠にほうきのカードがはまった。


 ――その瞬間、頭の中に言葉が浮かんだ。




「『使用ウピヨーグ』」




 変わった言葉だな、と思った。『ウピヨーグ』なんて聞いたことがない。


 でも、そうつぶやいた瞬間、右のページのほうきのカードが一度ピカっと光ってから消えた。


 シュッ。


 そんな音がして、ボクの部屋の空気が変わった。


「……あれ? なんか……」


 空気が綺麗になってる気がする?

 なんか部屋もほこりがなくなったような……?


 勉強用の机やいす、ベッドなんかもキランと光ってみえる。

 なんだかピカピカに磨かれたような……? 窓もか?


 魔力を使った感じはほとんどない。

 使ってないのかもしれないと思うくらいだ。


 ボクは魔力の本を確認した。


 左のページにはほうきのカードが残ってる。

 右のページはほうきのカードがなくなってる。


 それだけじゃなくて……どっちのページも枠がひとつ増えてる!?

 どういうこと!?


 そして、ボクの部屋がなんだかすごく綺麗になってる。


「……これは『掃除の魔法』ってことなのか? ほうきの絵だったし」


 確かに学園長がいってた通りで、本能的に魔法は使えたと思う。


 でも、わからないことも多い。


 左のページと右のページの両方にカードが必要だったのか、それとも右のページだけだったのか。


 どうして左のページのほうきのカードは消えてないのか。


「……次はもう一度、右にはめて使ってみればそこはわかるかも……」


 ……とにかく、たくさんのカードがないと試せない。


 イセリナ先生に魔法をみてもらう時には一応、10枚くらいはほしい。


「他のほうきも……探してみるか……」


 ボクはやるべきことを決めて、自分の部屋を出た。


 そして寮内と学園内でカードが手に入るほうきを5本、発見したのだった。

 もちろん、寮の自分の部屋に持ち帰った。


 一応、イセリナ先生からはほうきを持ち帰る許可をもらってることにする。

 ほうきの本数の制限はなかったはずだから許されるってことで。


 ……その結果、『ほうきマニア』とか『掃除の魔術師』とか『ほうき野郎』とか呼ばれるようになってしまったのは失敗だったかもしれない。


 その話を朝の訓練でエリンから聞かされて、ソードアークに爆笑されてしまった。

 ほうきを持ち帰った理由は誤魔化したけど。


 せめて『綺麗好き』とかにしてほしかった……なんだよ『ほうき野郎』って。






「……イセリナ先生。ボクも魔法が使えるようになったみたいです」

「えっ……?」


 びっくりしたイセリナ先生もかわいい。ごちそうさまです。


 基礎訓練をはじめる直前、ボクはそう申し出た。


 あれから3日間で実験しつつ、ほうきのカードを貯め込んだのだ。

 今は13枚ある。これならたぶん足りるはずだ。


「すげぇなシーアルド! 使えるようになったのか!」

「よかったな、シーアルド!」

「素晴らしいわ、シーアルド。よく頑張りましたね」


 ナイスクマリー、ニーラ、アリスティアお嬢さまからも優しい言葉をもらえた。

 ボクは温かい仲間に恵まれてる。


 ボクたちはシュタイン伯爵領出身者としてだけでなく、イセリナ先生の教え子としての仲間意識もあったのだと思う。


「……どういった魔法でしょうか? いえ……ここではまずいかもしれませんね。どこかもっと広いところの方が……」


 おそらくイセリナ先生は『なんとか魔術師』としての強力な魔法をイメージしてるんだろう。


 そこは申し訳ない気持ちになる。

 強力かというと、そうではないとしかいえない魔法だ。


 掃除だから。


 ……ボクの魔法には威力なんてものはないんです、イセリナ先生。


 威力はないけど、効果はある。

 しかもかなりの効果だと思う。すごく綺麗になるんで。


 おそらくメイドとしてエリンが掃除をするよりも綺麗になる。


「大丈夫です。ここでも使えます」

「でもですね……」

「本当に大丈夫です。ものを壊したりすることはないですから」


 それどころか、ピカピカにしてしまうと思います!


「みていてください。『使用ウピヨーグ』」


 魔力の本の右のページにはめていたほうきのカードが消えて、周囲が一度ピカっとまぶしくなった。


「これは……いったい? 起句は『ウピヨーグ』? 何の魔法なのかしら……?」


「まぶしいわ……」

「なんかすげえ……」

「何が……起きたんだ……?」


 講義室のだいたい4分の1くらいだろうか?


 そのくらいの範囲がピカピカになってる。


 ほこりもなく、空気も綺麗なんだけど……ほこりや空気はすぐに残りのスペースから拡散して混ざってる気がする。


 ……大きな部屋でははじめて使ったからな。こんな感じになるのか。


 おもしろいのは効果の境目だろうか。

 ちょうど境目にあった机のピカピカ具合がおもしろい。


 だいたい半分がピカピカに磨かれたようになっていて、残りの半分はくすんだままにみえる。


「これをみてもらえますか?」

「これって……」


「なんだこれ? 半分だけ新品みたいだな?」

「これがシーアルドの魔法なんだ?」


 ナイスクマリーとニーラが机をぺたぺたと触りながらおもしろがってる。


「……シーアルドくん。この魔法はいったい……?」


「ええと、掃除の魔法でしょうか? ボクの部屋で使ってみたんですけど、すごく部屋全体が綺麗になりました。この講義室は広いので全体が綺麗にはならなかったみたいですけど」


「掃除の魔法、ですか……」


 そうつぶやいてイセリナ先生は考え込んだ。


 真剣な表情も美しい。

 本当に素敵なボクたちの憧れの先生だ。


 でも、アリスティアお嬢さまも難しい顔をしている気がする。


「……やはり記憶にありませんね。どうやらこれは……新魔法です」

「新魔法?」


「ええ。今までに存在しなかった新しい魔法ということになります。『雷光の魔術師』さまの雷魔法も最初はそうだったと聞いています。『なんとか魔術師』の魔法はそれまでにはなかった新しい魔法になるようですね」


「そうなんですか……」


 どうやらボクの掃除の魔法は世界初の新魔法になるらしい。


 掃除の魔法はこれまでに存在しなかった……って、そりゃそうか。


 貴族のお屋敷だとメイドさんとかが掃除してるし、平民の家ならそこに住んでる人たちが自分で掃除をするのが普通だ。


 魔法を使って掃除をする必要は特にない。


「厳密には記録に残っていない古代魔法として存在していた可能性はあります。それでも、現代においてこれは新魔法と呼んで差し支えないものでしょうね。起句となっている『ウピヨーグ』という言葉もわたしははじめて耳にしました。おそらく『掃除』という意味をもつ古代神聖語なのではないかと」


 なるほど。

 よくわかってないくらいの大昔にはあったかもしれないけど、そんなことはわからないから新しい魔法とするってことだろうな。


「とりあえず、今からカーインド学園長のところにいきましょう。すぐ会えるといいのですけれど……。ああ、みなさん。シーアルドくんのこの魔法についてはまだ秘密にしておいてくださいね。誰にも話してはいけませんよ?」


 ボクたちは慌てている感じがするイセリナ先生に続いて、学園長室へと向かうことになった。


 このスピードで移動すると、たぶん、イセリナ先生はどこかでつまずくだろうと思う。


 誰がイセリナ先生の近くを歩くのか、ボクとニーラとナイスクマリーが目で互いに争ったことはいうまでもない。






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