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ヒロインがいっぱい  作者: 翡翠
第一章
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2

 誕生日パーティーが終わり、部屋に戻って一人になった瞬間。

 ダッシュで鏡に向かい、改めてヒロインを小型化した美幼女姿の自分を確認し、喜びの舞が炸裂したのはご愛嬌ということで。

 いや、だってね? 自分のハマってたゲームのヒロインに転生とか、どんなご褒美!? って思うじゃない?

 それこそ限りなくブラックに近い企業で過労死するまで頑張った甲斐があったというものでしょうよ。

 神様、本当にありがとう!


 ーーその後、ゲームが始まる学園入学までの十二年間、記憶漏れのないように各攻略キャラのイベントノートを作成し、ハッピーエンド後の事も考えて苦労しないようマナーも勉強もしっかりと頑張りながら過ごしてきた。

 だってね、ゲームでも物語でも『ハッピーエンド』で終わる時、その時点までは確かにハッピーかもしれない。けどその先は?

 恋に浮かれて何も学んでいなかっ(サボって)たら、絶対に苦労する。

 勉強もマナーも一朝一夕で身につくわけじゃないから、努力なくして成功なしとはよく言ったものよね。

 数々のトラブル発生(イベント)に備えた妄想(シミュレーション)を繰り返し、準備は万端。

 そして入学前夜は待ちに待った入学式(ヒロインデビュー)に胸を踊らせ、まるで遠足前の子どものように眠れず、羊の数を数え続けていたというのに。

 シュネーヘル王国に属する貴族の約八割が通うとされる、アグレリア学園の真新しい制服に包まれた私が嬉々として向かった先にはーー。

 冒頭のように、私と同じピンクブロンドの髪の美少女達があられもない姿で揉めていたのだ。

 いや、これはない。ここまでのトラブルはさすがに想定外なんですけど!?

 これ全部ヒロインなの???

 呆然と佇む私と同じように、皆が何事かと足を止めてそれを見ている。

 完全なる見世物となっている美少女達(ヒロインズ)だが、本人達はそれに全く気付いていないらしい。

「まあ、何てみっともない」

「淑女のすることではありませんわね」

 ヒソヒソと囁き声が聞こえてくる。

 そりゃそうよね。入学式から何やっちゃってんの彼女達。

 これを目撃した人達は今後絶対彼女達に関わらないようにするだろうし、でも楽しい話題として(・・・・・・・・)あちらこちらで面白おかしく吹聴するだろうし、きっと今後の人脈作りには苦労するでしょうね。

 ……なんて他人事のように眺めていた私だったけれど、とんでもなく重点的なある一点を失念していたのだ。

 そう、とっっても残念なことに、ここにいる私も、彼女達と同じピンクブロンドの髪とアクアブルーの瞳の令嬢であるという事を。

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