獣銃士トライアングル
僕らは仲良し3人組だ。
いつまでも、このまま3人で過ごしていたいと思ってる。
でも、大人になったら、
きっとバラバラになってしまうんだ。
鳴り止まぬ怒号と銃声。それを追うようにこだまする落雷とその刹那に鳴る雨音。
爆煙と爆炎に呑まれる街を見ながら、僕たちは近くの森へと逃げていく。
「王と子供達を先に逃がせ!」
「もうすぐそこまで追手が来ています!急いで!」
「喋ってないで早く行け!戦える物は残れ!少しでも時間を稼げ!」
大人たちを背に。戦火を逃れ、鬱蒼とした森に入る僕たち。
僕たちを追うのは敵国の使者を名乗る大人たちだった。僕たちは走った
走った。足が痛くても、息が切れても、僕たちは走った。
そして僕たちはいつしか森を横切る大きな川に行く手を阻まれた。
「どうしよう王様。私たち川渡れないよぉ」
「うーむ。あの木を倒せば橋に出来るかもしれんすまんが今のワシにそんな力は残っておらんすまぬな。」
「任せてよ王様。ランドール!手を貸して!」
「おう!任せろ!」
「「うぉぉおおおおおはあああああ」」
2人の普通の衝撃はギリギリ木を倒す程度の力を有していた。
「っっしゃあ!」
「やったぜ!」
「おおぉ!なんという。お主ら、素晴らしいぞ!」
「「「「ダルちゃんもラグちゃんもすごーい!」」」」
倒れる木を見守る一同から、一時的に上がった歓声を尻目に、次の瞬間、木が倒れる音よりも遥かに大きな爆音が僕達を襲った。
「きゃああああああ!!」
「な...なんじゃ!」
音がした方を見ると、全身黒い服を着た怪しい人が煙の中から出てきた。
「手間かけさせるなよ…大人しくしてくれんなら痛みは感じさせねえからよぉ」
黒ずくめの男は怒りの混じった不敵な笑みを浮かべながら、王の元へ近づいていく。
王が殺されれば皆も危ない。見てるだけでは居られなかった。
「ま....待て!!」
「あぁん?...おいガキ、痛いのが嫌なら大人しくしてな。今はそこのジジイにお話をおおがあぁ!」
王を、みんなを守る。そう思うのと同じかそれ以上早く。僕はこの人を殴っていた。
「ダルダ君!?な....何をしておる!?」
「ダル君!?危ないよ!!」
「おい...クソガキ......利口にしてれば生かしたまま連れてってやろうと思ったが、死にてえみてえだな!」
理由は分からない、でもその瞬間。
確かに僕は、この世界の時間よりも早い時間を生きていた。
「うぐはああ...クソ....なんなんだお前..」
雨粒が、男の動きが、周りの音が、砂埃が。さっきより遅くなっている。
「何が起きてる?!なんで当たんねえんだ!」
攻撃を、雨粒を潜り抜け相手に拳を振るう。その時の僕は、全ての時間軸よりも早く、的確に動いていた。
「クソがぁあ....覚えとけよクソ王、そしてクソガキ...てめぇだけは絶対に殺す..」
黒い煙と共に、今度はゆっくりと消えていく男。どうやら何とかなってしまったようだ。
「ダ...ダルちゃん...」
「ダルダ君...君は....なんという...」
「王!王よ!いらっしゃいますか!」
程なくして、護衛の兵士達が追いついてきた。
「王!ご無事で何よりです。子供たちも、無事で良かった」
「うちの子は?!ダルちゃんはどこ!?」
「ちゃんと....あそこにおるぞ...」
「ブツブツ.....ブツブツ...」
「ヘンデルゼン・ダルダーニャン君!」
「あいつはきっとまた来る。急いで隠れ家を探した方が良いと思うよ。」
「あいつ?あいつって誰のことだ?」
「さっき黒い服の人が王様を襲ってきたんだ。きっとまた王様を狙ってやってくるよ。」
「黒い服の?そいつはどこに行った?」
「消えた。覚えとけよって...だから準備しないと...」
「そうか....よし...王よ。取り急ぎ、安全な地帯に集落を作るべきかと。進みましょう」
「うむ。そうだな」
僕が戦わなきゃ...もっと強くならなきゃ。
「ダルダーニャン君」
「なんですか?王様」
「安全な場所を見つけたら、少しお話をしたいんだ。いいかな?」
「はい。わかりました」
あの時僕がいなかったら、僕が戦えなかったら、そんな残酷な事は考えたくない
いざって時に、僕が王を、皆を守らなくちゃ。そう誓ったのはその時だった...
初心者故至らない所があると思いますが、よろしくお願いいたします。今後も投稿していく予定です