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第五話 現実世界

気づいたらユニークユーザーが110人になってました(^^)

別作品も考えているので感想やレビューお願いします。

エデンの外界

第五話 現実世界


トモヤが現実世界の話を語り終えた翌日、レイとトモヤは「オラクル」を探すため動き出した。現実世界の荒廃した光景、そしてレイが語る仮想現実の真実。そのどちらも理解しきれないトモヤだったが、二つの「現実」が存在するのではないかという仮説に行き着き、レイに協力することを決意していた。


学校が終わると、レイとトモヤは再び歪みを探し始めた。屋上でトモヤが体験した歪み――それがオラクルにつながる唯一の手がかりだと考えたからだ。


「レイ、前に俺が歪みを見た場所に行ってみようぜ。」

トモヤは確信を持って提案する。


歪みの残滓が残っている場所を二人で調べ始めた時、不気味な感覚が漂い始めた。すると、周囲の空間が薄暗くなり、レイとトモヤの前に仮想空間の文字が立体的に浮かび上がる。


「あなたたちは、何を求める?」

重々しい声が響き渡り、その声と共に現れたのは漆黒のフードをまとった「オラクル」だった。目元は見えない。むしろ顔全体が見えない。これは暗いからだけだろうか。


「お前がオラクルか?」と問いかけるレイ。

オラクルは黙ったまま二人を見つめ、こう言った。


「決断できたか?ならばお前たちの覚悟を示せ。私の元で試される準備ができた者のみが“レヴナント”となる資格を得る。」


そう言うと、オラクルは手をかざし、空間に光のゲートを作り出した。

「この先で、お前たちの力量を見定める。」


レイとトモヤは顔を見合わせ、覚悟を決めてゲートをくぐった


ゲートを抜けた先には、広大な訓練施設のような空間が広がっていた。そこには武装した数名のレヴナントが待機しており、オラクルの命を受けて二人の試験を担当することになっていた。


「これが“レヴナント”の基地……?」トモヤは周囲を見渡して呟く。


オラクルが二人に説明を始める。

「お前たちにはまず、模擬戦闘を行ってもらう。お前たちの実力値を測る。そのために必要な装備を選べ。」


レイとトモヤは訓練官に案内され、それぞれの戦闘服と武器を受け取った。

レイは鋭い刀を選び、トモヤはARや拳銃を手にした。

それらはどこか近未来なデザインで手にした瞬間に使い方が脳に伝わってきた。


「似合ってるじゃん、レイ。」トモヤは冗談めかして笑うが、レイは真剣な顔のままだ。

「油断するなよ。これから模擬戦闘が始まるんだからな。」


「へいへい」


レイとトモヤはまた異なるゲートを潜り、広いバトルフィールドに立たされる。周囲には廃墟を模した施設などがある。目の前にはレヴナントの隊員たちが数名並び、模擬戦闘の開始を待っていた。


「お前たちには、模擬戦闘として実際にレヴナントメンバーと戦ってもらう。」


おそらく俺たちが持っている武器は間違いなく本物だ。見たことのないデザインだが、本物ということはわかる。模擬戦闘といえどレヴナントメンバーを傷つける気はない。


「おい、それだとお互いに戦死者が出るかもしれないだろ。どういうことだ。俺たちは殺し合いをしにきたんじゃない」


オラクルは目元が暗くて見えないがこちらを向いて、


「安心しろ。お前たちが戦う者たちが使うのは、実弾ではない。それに何より、お前達の力じゃレヴナントのメンバーに傷ひとつつけられない。」とオラクルが淡々と言う。


「……そうかよ…」


反論したい気持ちもあるが、結果で示すのが一番だ、と頭を落ち着かせた。

緊張を隠せないまま刀を構え、トモヤも手の中の武器を握り直す。


模擬戦闘が始まると、レイとトモヤの目の前に現れたのは、2人のレヴナントのメンバーたち。

女性の方は鋭い目と黒い戦闘服を身にまとい、腕を組んでいる。

男性の方は明らかにやる気がなさそうに大剣を抱きながら座っている。


「新人二人か……面白い。」

彼女は冷たい微笑を浮かべている。

男性の方は

「めんどくだい……」鼻詰まりをしているのか明らかに鼻声で眠そうだった。


あまりの二人間の温度差に、風邪をひきそうだ。


「始め!」という声と共に、レイとトモヤは体制を整える。


レイは刀を構えて、男性の方の様子を伺う。完全に油断というかやる気がなさそうで攻撃するのが申し訳ないと感じてきたところで、


「ねぇなんで僕がやらなきゃいけないのぉ」

「オラクル様のお達しだよ。ほら、飴あげるから」

飴……?今度は俺たちと前の二人の温度差で風邪をひきそうだった。


「やだぁ…戦いたくなんてないよぉ〜〜」

「じゃあ君は見ててね〜」

「うぅ…」


「ごめんね。」

女性はこっちを見たかと思うとそう一言いい、次には戦闘体制に入っていた。

「行くよ。」


深呼吸をし、身体が浮いたかと思った刹那、


_______突風が吹いた。それと同時に腹付近に激痛が走った。

目の前の女性はいつのまにか消えている。

刀を離してしまう。それほどの衝撃だった。


「レイ…?」

トモヤは後ろで急に倒れたレイに驚き、体制をさらに整える。そこでしっかりと敵の動きを見て、反撃をする、

_____はずだった。


トモヤが消えた。いや、見えなくなった。

見えなくなるほどまでに吹き飛ばされたのだ。


レイは前で腕を組んで立っている女性に刀を構え、腹を押さえながら臨戦態勢に入る。


だが、刀を振るうたびにかわされ、逆に痛烈な反撃を受ける。


一方のトモヤは、吹き飛ばされたが戦闘服のおかげでまだ戦えそうだ。

(どうにかして、戦績を出さないと…。俺は決意はしたものの、レイとは立場が違う。そうだ、もう一人のほうは!?)


「うわぁ…なんであんなに本気でやってんだよぉ〜…」

失礼だがこいつの方がどうにかなりそうだ。

トモヤは銃を構え、撃った。

間違いなく照準の合っていたその銃弾は当たるはず___だった。

その銃弾は逸れ、消えた。そして、その男性も消えた。

「どこに…?」

「舐めんな」

そう聞こえたのはおそらく立てなくなるほどの衝撃を頭から喰らったあとだろうか。


=====トモヤ リタイア====


「全然歯が立たない……!」レイは焦っていた。

刀が全く当たる気がしない。

渾身の一撃を喰らわそうと、一気に力を加え、大ぶりをする。

もちろん当たらなかった。

女性は

「違う。そうじゃない。」と言うと、腰が綺麗に入った一撃を喰らわしてきた。


横腹付近にそれを喰らってしまったレイは自分の視界がぼやけてきるのを感じた。

(まだ……まだいける!!)

倒れるのを抑え、レイはもう一度刀を振るった。

当たった……?刀が動かない。体も動かない。視界が薄れていく。


考えることすらできなくなってしまったレイはその場に倒れる。

だが、彼女の頬からは血が一筋出ていた。


その場が一瞬静まり返る。周囲のレヴナントたちも驚きを隠せない。


「よくやった。」彼女は傷に触れながら静かに微笑む。


「お前には素質がある。だがまだまだ未熟だ。」

彼女はそう告げ、立ち上がれないレイを見下ろした。


模擬戦闘は終わり、レイとトモヤは自分たちの未熟さを痛感していた。


「お前たちには才能がある。」司令塔は二人に向かって言葉を続けた。

「これから訓練を積み、レヴナントとしての力を磨くのだ。」


オラクルも現れ、静かに頷く。

「悪くない動きだった。お前たちはこれで“レヴナント”の一員だ。真実を知る道はここから始まる。」


その言葉に、レイとトモヤは拳を握りしめた。

「俺たちは、もっと強くなります。」

彼女はふっと笑うと

「生意気言うな。」と言って部屋を出て行った。


二人は新たな仲間と共に、レヴナントとしての第一歩を踏み出した。



模擬戦闘を終えた二人の前に、赤い目をした少女が現れる。

彼女は純粋な笑顔を浮かべながら、軽く手を振った。


「こんにちは!今日から一緒に訓練するんだね!」

少女の明るい態度にトモヤは拍子抜けし、「よろしく……?」と呟く。


彼女の名はアカリ。レヴナントの一員であり、次の訓練で彼らの指導を担当することになっているという。


「まあまあ、私がいるから安心して!怖いことはないよ!」

トモヤはその言葉に少しだけ安心しつつ、「不安しかないけどな……」と小声で呟いた。



模擬戦闘を終え、二人はそれぞれ自分の未熟さを痛感していた。

レイは刀を見つめ、「俺たちにはまだやるべきことがたくさんある」と呟く。


一方のトモヤも、自分が体験した現実世界の荒廃を思い出しながら、こう言った。

「レイ、俺たちがやらなきゃならないのは、この世界の真実を知ることだ。それを掴むために、どんな訓練でも受けてやる。」


レイはその言葉に頷き、「頑張ろう」と握手を交わした。


次回予告 帰還者アスカ

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