第三話 真実への扉
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翌朝、レイは異様に早く目を覚ました。昨夜の端末の「65」のエラーコードと謎の声が頭から離れない。
「……なんなんだ、あの数字。」
再び端末を起動してみるが、エラーは表示されず、普段通りの画面が映し出されるだけだった。
「気のせい……だったのか?」
そう自分に言い聞かせるが、胸の奥に広がる不安は消えない。
学校では、トモヤと軽い雑談を交わしながらも、レイの頭の中は「65」のことでいっぱいだった。授業中、ノートに無意識で数字を書き殴る。
65, 65, 65……
突然、教室の天井のスピーカーから微かに雑音が聞こえた。ノイズが途切れると、昨夜の端末で聞いた声が再び響く。
「和泉レイ……」
レイは驚いて周囲を見回したが、他の生徒たちは何も気づいていない様子だ。
「放課後、東棟の屋上に来い。話すべきことがある。」
声はそれだけを告げ、ノイズと共に消えた。
放課後、レイは指定された東棟の屋上へ向かった。普段は施錠されているはずの扉が、なぜか鍵もなく開いている。
「……誰が待ってるんだ?」
屋上に出ると、そこには誰もいなかった。ただ、中央に古びた端末が不自然に置かれているだけだ。
レイが端末に近づくと、自動的に画面が点灯し、青白い光が周囲を照らした。
「和泉レイ、よく来た。」
明らかに機械的だった。声に温度がなく、冷淡という言葉がぴったりなそんな声だ。
「お前は……誰だ?」
「私はオラクル。この世界の監視者にして、真実を知る者だ。」
「監視者?何の話だ?」
オラクルの声は冷静だったが、どこか人間らしい温かみも感じさせた。
「君が生きているこの場所は現実ではない。仮想現実の中だ。」
「……は?」
レイは信じられないという顔をしたが、胸の奥で感じていた違和感がその言葉と結びつく。
「この世界にはバグが存在する。完璧に見える日常こそが、その証だ。そして君は、そのバグに気づける存在だ。」
「俺が……?」
「君は特別な目を持っている。この仮想世界の歪みを見つけられる。そして、君のような者たちが集うグループがある。」
「グループ?」
「“レヴナント”――失われた現実を取り戻し、現実の世界に帰りたいと願う者たちだ。」
レイはその名前を反芻する。
「君をレヴナントに招待する。そこで君はこの世界の真実を知り、選択することになる。」
「選択?」
「この世界を守るのか、あるいは壊すのか。」
「……なんで俺なんだ?」
レイの問いに、オラクルは答える。
「君が“オブリス”を見たからだ。オブリスは、この世界の歪み、バグだ。」
「オブリス……?65という数字もバグの一つか?」
「厳密には違う。65について後々説明をするが、君のような者がいなければ、この世界の真実を暴くことはできない。」
端末の画面が一瞬だけ暗転し、赤い文字が浮かび上がる。
「もし君がレヴナントの一員となるなら、オブリスを探せ。それが君の次の指針だ。」
「オブリス……」
家に帰る途中、レイは頭の中で「レヴナント」という言葉を反芻していた。自分が本当にその一員になれるのか、いや、なるべきなのか。
ふと、道端の広告看板に目を向けると、またしても一瞬だけ「65」の数字が浮かび上がる。
「……これもオブリスか?」
部屋に戻ると、窓の外から視線を感じた。見下ろすと、遠くのビルの監視カメラが自分を追っているように思える。
「やっぱり……誰かが見ている。」
レイは震える手で端末を握りしめた。
「俺は……」
レヴナントの一員となるか、何も知らなかったことにするかその考えはその日中に決まることはなかった。
次回 蟶ー驍??