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0092・運営ダンジョン終了




 ボス部屋を抜けて階段を下り、一番下にある魔法陣を登録する。16階は作られていないからだろう、階段の下に魔法陣があるだけで何処にも進む場所が無かった。僕達は登録だけ済ませて脱出する。


 師匠の家のソファーのある部屋に戻ってきたら、目の前に突然ウィンドウが出た。



 ―――――――――――――――


 第一次運営ダンジョン15階踏破おめでとうございます

 全プレイヤーの中で初めて攻略された為、スキル【昏睡眠】を授与します

 第二次運営ダンジョンに更新されるまでお待ち下さい


 ―――――――――――――――


 ―――――――――――――――


 <特殊スキル> 昏睡眠


 非常に深く眠る事によりHPやMPなどを高速で回復する。スキルレベルによって回復量と速度は増加するが、寝ている間は五感が遮断され完全な無防備になるので注意。戦闘中に使用する事も可能だが、死んだとしても自己責任である。尚、完全に回復するまで目覚める事はない


 ―――――――――――――――



 使えると言えば使えるスキルだ。セーフティエリアでしか使えないだろうけど、代わりに高速回復するならむしろ優秀だと言える。錬金術も何だかんだといってMPの消費は大きい。素早く回復出来るなら、それだけ多くの物を作れるしレベルを上げやすくなる。


 今は夕食を食べてログアウトしなきゃならないけど、明日からはゆっくりするつもりなので使ってみよう。とりあえずインベントリの中を整理して、要らない物はプレイヤーマーケットに流してしまうかな。


 ………うん? 石とか木とか売ってる人が居るな。後はこれ、何だろう? ツノウサギの角? おそらく天使の星のモンスターなんだろうけど、こんな角を何に使うんだろうね。鋭角牛の角と比べても小さすぎる。幾らなんでも個数がないと使えないなー。


 ああ、成る程。細工物に使うのか。紐を使ってアクセサリーにする訳ね。色々あるけど、プレイヤーマーケットも充実してきた……と思ったら、どちらの星の地域でも供給過多になると値崩れするのか。でも星の平均価格だと殆ど下がらないと。


 そして星の平均価格で取り引きされるプレイヤーマーケットの方が高く売れる訳ね。それぞれの星の方が高く売れる事も多いけど、需要と供給のバランスを考えなきゃ駄目、と。何かNPCとプレイヤーとで争いになりそうだ。そんなイベントが用意されてる気がしてきた。


 とにかく僕は迂闊な事をしないでおこう。周囲に面倒な連中こと<羅門会>が居るけど、あいつら碌でもない狩り方しそうだし、揉め事を起こさないで……うん?。



 ―――――――――――――――


 ブラックリストに入れているクラン:羅門会が解散しました

 自動でブラックリストが解除されます


 ―――――――――――――――



 あれ、<羅門会>が解散したの? ………このゲームのPKが厄介な事に気付いて止めたかな? とりあえずクラン単位でブラックリストに入れている場合、クランが解散されると自動的にブラックリストが解除されるんだね。初めて知ったよ。


 これはアレだ、個人を指定してブラックリストに入れた方がいいな。手間だけど仕方ない。クランが解散してもゲームをやめたとは限ってないしね。クランロンダリングでもされたら延々と嫌がらせし放題だろうし。


 おっと、ファルに呼ばれたので食事に行こう。今日は夕食を食べたらログアウトだ。



 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



 2000年 8月21日 月曜日 AM8:21



 今日も朝からログインするんだけど、そろそろシズも夏休みの課題をやらせないと駄目だね。何というか、殆どやってない気がする。僕なんてもう終わってるんだけど、シズはやっている気配が無いんだよ。


 最近はレベルが上がりやすいからか追いついてきてるし、夜中に相当やりこんでるんだろう。廃人のようにやりこんでも強くなれるってタイプのゲームじゃないと思うんだけどねぇ……。基礎スキルも含めて、妙な引っ掛けを用意してるゲームだからなぁ。


 雑事を済ませてログインした僕は、お腹の上のギンをどけて身を起こしたら、プレイヤーマーケットの売却金を取り出す。


 木箱の中にお金を入れ、いつものように入ろうとするギンを出して蓋を閉める。ギンと遊んでいるとファルが呼びに来たので、ギンを連れて食堂に移動した。



 「相変わらずギンってば、コトブキの上で寝てるのよねえ。私の上で寝ても良いんだけど?」


 「………」


 「ガン無視されてるね。まあ、猫って一度気に入ると執着するって言うし、そんなものなんじゃないの? 犬もお気に入りのシーツを洗ったら見向きもしなくなったっていう話を聞くし」


 「そんなものであろうの。猫は気まぐれなどと言うが、なんだかんだといって規則性はあったりするものよ。生物であるが故にな、無軌道で無秩序では居られまい。そうあれる者は間違いのう狂っておるからの」


 「まあねえ。無秩序ってそもそも生き物に耐えられるモノじゃないし。気が狂うどころじゃ済まないわよね、精神崩壊を起こすだろうし、起こさないと無秩序の中には居られないわ」


 「そこまでして居るべき場所でもないしのう。それはそうと、神のダンジョンに行っておったそうじゃがどうであった?」


 「面倒だったわよ。最初の方はコトブキがアスレチック? とか言うもので楽しかったけど、その後は普通の平原。次は草を結んだトラップのある草原で、最後はアナジゴクが居る荒地だったわ」


 「アナジゴクとはまた珍しいの。あの鬱陶しい穴掘り魔物をわざわざ用意するとは、神どもも何を考えておるのやら」


 「しかも最後は<妖精>が姿を隠している玩具のオーガと戦わされたわよ。コトブキが見つけてくれなきゃ、延々と勘違いして戦わされ続けてたわ」


 「グレムリンみたいな見た目の妖精だったけど、見えない割には魔力反応があるのでおかしいと思ったんです。それで石球を投げてみたら直撃して。結局2球投げたら勝てましたけど」


 「まあ、妖精は然して強くもないからの。それに、その見た目だと悪戯妖精であろう。オーガだと思って戦うと、延々と無駄な攻撃をし続けるようになるという事じゃな。まったくもって神の性格の悪さが滲み出ておるわ」



 それに関しては誰も何も答えず他の雑談に切り替えて食事をし、終わった僕はソファーのある部屋へと戻る。トモエはダンジョンに行ってレベル上げ、午後からは戻ってきて細工をするらしい。僕は朝から錬金術のレベル上げだ。


 木箱を開けてからプレイヤーマーケットを呼び出し、購入しながら物作りをしていく。カシイの丸太やクリンの丸太を買い、後は適当な被覆するのに都合の良い石系を買っていく。


 丸太を武器の形に【変形】し、それに石を被覆して完成。それをプレイヤーマーケットに流す。そうやって作っている最中にふと思いつき、こんな物を作ってみた。



 ―――――――――――――――


 <棍棒> 浄石と木のメイス 品質:8 レア度:2 耐久240


 木の棍棒の先が球型になっているメイス。その球に浄石を被覆してある為、アンデッドに対して浄化効果を発揮する特殊なメイスとなった

 攻撃力10 破壊力3 浄化(弱)


 ―――――――――――――――



 浄化効果のあるメイスか……メイスを使っている近接戦闘職って多いみたいだし、これは売れるだろう。そう思ってプレイヤーマーケットに流したら、一瞬で売れた。売り出して20秒も経ってないよ? 流石に早過ぎない?。


 そんな事を考えていると「早く次のを出せ」という書き込みがあったのでブラックリストに入れる。単に売り出していない浄石を使った物だから、浄石自体がもう無いんだよね。そもそも【クリア】が使えるから浄石を持たなくていいし。


 さっき使ったのは保険で持ってただけの物だから、数個しかなかったんだよ。まあ、無理に作る必要もないか。そう思い、角なども使いながら様々な武器を作っていく。


 僕以外にも錬金術で武器を作っている人は居るみたいだが、やはり最初の僕と同じように低品質で苦しんでいるみたいだ。ま、地道に頑張るしかないんだよねー。


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