0090・運営ダンジョン14階まで
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<アナジゴク> 魔物 Lv2
蟻地獄ではなく穴地獄という名前の魔物。穴に落ちる獲物を待ち、穴に落ちるとすぐに噛みついて引きずり込む。多くの者は落ちた段階で足に噛みつかれる為、脱出するのが難しく恐れられている
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「うわぁ……アナジゴクってネーミンスセンスも然る事ながら、速攻で足に噛みつくって何さ。この魔物、トラップとしては酷すぎない?」
「ああ、アナジゴクね。確かに厄介ではあるんだけどねえ、コイツの穴ってちょっと膨らむのよ。膨らんでる所はコイツの居る穴だし、このダンジョンはともかくとして珍しい魔物ではあるの。一部の地域にしか居ない筈」
「へー……まあ、外はともかく今はダンジョンだよ。そしてこの階に居る事は間違い無いからね、皆も注意してほしい。進む方向に穴があったら注意するから、注意したら止まるように」
そう言って、僕は穴の中に【ダークボール】を連発する。ここ最近【浄化魔法】ばっかり使ってるから、【闇魔法】のレベルも上げておきたい。とはいえ【ダークウェーブ】も使うのでレベルは上がってるだろうけど……うん?。
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※スキル【闇魔法・下級】が規定のレベルに達しました
【闇魔法・下級】に【ダークウェーブ】が追加されます
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随分時間が掛かったけど、ここで初めての範囲魔法かぁ。既に知っているとはいえ感慨深い……んだけど、フレンドリーファイアを起こしやすい魔法なんだよねー。何か覚えた魔法を連発して、周囲に迷惑を掛けるプレイヤーが続出しそう。
「どうしたのよ? 立ち止まったままで。倒せたんだから、さっさと先に進むわよ?」
「ああ、ごめん。ようやく【ダークウェーブ】の魔法がスキルで使えるようになったんだよ。ある程度したら他の稀人も使えるようになるだろうけど、フレンドリーファイアを起こしそうだなって思ってさ」
「フレ……? ああ! 同士討ちの事ね。まあ、それはよくある事よ。咄嗟に使ってしまって他のメンバーに被害を出し、それで大喧嘩をしてパーティーの解散とかね。範囲魔法は気をつけて使わないと」
「まあ、だからこそ前に出て使ってるんだけど」
「それでもコトブキは前に出て戦うから使いやすい筈よ。普通の魔法使いなんて、後ろにいる癖に範囲魔法をブッ放すからねえ。【火魔法】ならまだしも、【闇魔法】とか【光魔法】だと碌な事にならないわ。後、【風魔法】も」
「そうなんだ、おっとストップ。そこに穴がある」
「そうよ。【風魔法】と【闇魔法】「ギシャァッ!??」に【光魔法】はウェーブ系の範囲魔法なのよ。だか「ギュバァ!?!!」ら気をつけて使わないといけないの」
「ふーん。まあ、終わったから先へ進もうか」
どうも他の魔法は着弾地点で爆発するような魔法らしく、自分を中心にした範囲魔法ではないらしい。コレにも一長一短があって、着弾前に消されてしまうと何も起きないんだそうだ。魔法を消すって何? と思ったが、割と普通のテクニックだとラスティアは言う。
「【魔力操作】の応用よ。他人の魔法に干渉して「ギシャァッ!??」魔力を散らすの。そうすれば魔法として現界できなくなり自動で消えるって事。名前「ギュベァ!?!!」はそのままで【魔力干渉】というスキルなんだけど、どのみち基本である【魔力操作】と【魔力感知】を高めるしかないわ」
「本当に色々ある「ギシェェッ!?!??」んだね。まあ、まだまだ先の話だから急ぐ事はないけど、今から習得するスキ「ギュブゥ!?!!!」ルはセーブしておかないといけないかな?」
「カタ」 「テキトウ、ブッコロシ……」 「ブル」 「ク……」
ファル達が微妙な感じだけど、そもそもトラップ系の魔物は見つかったら終わりだよ。罠に嵌めるから強いのであって、罠に嵌まらなかったらこんなものさ。ハイ・トラップボックスと何も変わらないよ。
12階に下りる階段も見つけて下りたが、12階も変わらず。アナジゴクしか居ない荒地もどうかと思うが、【罠発見】のスキルが無ければ地雷原のような場所か。そう思うと怖い場所だなぁ、と思いつつもサクサク進む。
そして13階。アナジゴクの穴は見えるが、他の魔物が出始めた。しかし、これはどう考えればいいんだろう?。
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<チキン歌手♀・下級> 魔物 Lv7
チキン戦士と対を為す、雌のチキン。強烈な咆哮の如きダミ声を出す事で有名であり、最悪の騒音を喚き散らす。その声の所為で周囲の魔物に居場所がバレてしまい、追い掛け回される者は後を立たない
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<ウインドピッグ> 魔物 Lv11
【風魔法】を操る豚の魔物。威力は高くないものの衝撃は当然あり、他の魔物との戦闘中に嫌がらせの如く魔法を使ってくる。肉質は普通の豚と変わらない
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<ロックセンチピード> 魔物 Lv10
岩のように硬い甲殻をしたムカデの魔物。甲殻は硬いものの魔法に弱いという弱点がある。なのでそこまで怖れられてはいないが、麻痺毒には注意しよう
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こいつらにアナジゴクも追加されるので面倒な形になっている。いつの間にかアナジゴクの近くに誘導される、何て事がないようにしないと。そう思っているとチキン歌手♀と目が合った。
「ボエェェェェェェ~~~~~ッ!!!!」
うるさっ!! 何この超絶に汚い何処かのガキ大将みたいな声は!? これの何処が歌手なんだ! 勇ましい♂とは違って♀は嫌がらせ要員でしかない。鑑定の説明にあった通り、周囲から魔物がワラワラ集まり始めてる。
面倒になった僕は石球を投げてチキン歌手♀を始末し、残りの魔物は適当に倒していく。皆が落ちないようにする為、先にアナジゴクの穴を魔法で攻撃して開けておき、目視で確認できるようにした。これで落ちる者は居ないだろう。
1体1体を確実に始末していき、チキン歌手♀が来たら石球を投げて確実に始末。魔物が集まらないようにしつつ階段を探してウロウロする。ようやく見つけた頃には結構な数を倒していた。
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種族レベルが上がりました
メイン職業:ネクロマンサー・下級のレベルが上がりました
使い魔:ラスティアのレベルが上がりました
召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました
召喚モンスター:セナのレベルが上がりました
召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました
召喚モンスター:フォグのレベルが上がりました
召喚モンスター:フィーゴのレベルが上がりました
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ようやく14階への階段を見つけたけどさ、13階から急に面倒になってきたなー、このダンジョン。早めにクリアーしておいて後でゆっくりしよう。そう思い14階へと下りた。
……そこは地雷原のようだった。僕はここで誰かと素手で殴り合いでもするのだろうか? そう思えるほどにアナジゴクの穴だらけだ。どれぐらいかと言うと、僕達を見つけたチキン歌手♀が鳴き、こっちに群がってくる魔物が次々に穴に落ちていく程だ。
辺りから「ギシャァ!?」とか「プギィィッ!!!」とか「ボォェェッ!??」とか聞こえるので、落ちた穴の底で喰われているんだろう。何だかアナジゴクのレベルが上がりそうだけど、進化する事は無いと祈りたい。
敵を強化するギミックとか要らないよ?。




