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0073・ヤマネコ




 再び10階のボス戦だ。僕はボスの目の前で【セイントバレット】を使いつつ回避盾のような役割を熟している。流石に大きいと攻撃力や破壊力が高いのは分かるので、盾持ちでも迂闊な事はしない方がいい。


 僕の場合は相手の弱点属性なのでヘイトが大きく上がる。なので、タゲをとりやすいという事情もあって引き付けている。それは特に問題ないし、前回ので慣れているんだけど、慣れたのは僕だけじゃないようで……。



 「ふっ!! ……やっぱり回復が速いわねえ。前も足を切るのに時間が掛かったけど、最初の方は回復速度も速いから難しいかしら? 切り落とせれば楽なんだけど」


 「ハイハイハイハイハイハイ、ヤーッ!!! セィッ!!」


 「カタカタ!!」 「ブルッ!!!」


 「クー……ク!!」



 皆もやりたい放題に戦ってるなー。セナはあれ何やってんの? トンファーで殴りまくった後、裏拳? のようにして攻撃し、最後に左のハイキック。なかなかのコンボだと思うけど、3メートルを超えてるうえ、強力な回復能力持ちに効いてるのかな?。


 ファルはファルで、ドースに乗って突撃している。【疾走】で加速してからの、狼牙棒でブン殴り。ドースの加速も相まって結構な威力を感じさせる音がしてる。遊んでいるように見えて、真面目に最大ダメージを出していると思う。


 フォグは【アースバレット】を使い、遠くから細かくダメージを与えてる。実際それでいいし、他の連中が近接戦闘中だから入れないというのはある。


 トモエは中距離で鞭を使って攻撃。フォグと共に正面斜め前から攻撃してるけど、タゲは変わらないので好きにしてもらって構わない。他にも【風魔法】を使ってるみたいだ。よく分からないけど<支配の魔女>から教わったのかな?。


 リナは足を必死に攻撃している。盾を持って警戒しつつ、斧で攻撃しているね。威力の高さも相まって結構なダメージを出せてるんじゃないかと思う。ホブゴブリンにもなったし。


 ここまで全員で攻撃し続けたからだろう、前回よりも短い時間で沈んだ。これは思っているよりも簡単に周回できるだろうか? そんな事を思いつつ手に入ったアイテムを選別するが、魔石が沢山手に入っただけだった。


 11階に行って魔法陣を登録したら脱出し、師匠の家に歩いて戻る。まだ早い時間なのは一気に進んだからだろう。階段の場所を知っているのは大きいと言える。帰り道にネズミとウサギが居たが、トモエはスルーした。要らないようだ。


 そのまま師匠の家に行き、転移陣からバイゼル山へと移動。山を案内し、カエルなどを狩っていると遠くにクソヤギが見えた。またアイツか。



 「トモエ、遠くにヤギが見えるだろうけど、アレはクソヤギだから。相手を挑発して崖から突き落とそうとするんだ。だから迂闊に挑発に乗らないようにね。碌なヤツじゃないよ、アレは」


 「崖から突き落とそうとするなんて、本当に碌でもないわね。それよりも羊はどこよ、羊は。私はその為に来たのよ。羊以外は特に良さ気なモンスター居なさそうだし、羊を寄越しなさい」


 「興奮し過ぎだから、落ち着こう? トモエ。適当にウロウロしてたら出てくる、よ!!」



 クソヤギが再び挑発してきていたので石球を当て、一撃で気絶させた。後は滅多打ちににして倒せばいいので簡単に終わる。トモエが目を血走らせるが如く周囲を見ているが、むしろそこまでするから見つからないんだと思うよ。


 そんな風に考えていたら羊を見つけたので、素早く【セイントバインド】を使い身動きをとれなくした。トモエも【エアバインド】という魔法を持っているので、それで押さえてからテイムするらしい。



 「【ドミネイト】!」



 どうやら失敗したらしく、【チャーム】の魔法やらを使ってから再度【ドミネイト】の魔法を使ったようだ。【ドミネイト】は最初から習得していたみたいだけど、【チャーム】は後で手に入れた魔法らしい。


 一応【支配魔法】に分類されるらしいけど、この魔法が覚えられるのは<魔隷師>だけであり、他の職業では習得不可なんだって。他のプレイヤーにおかしな魔法を使われないとなれば助かるね。状態異常は厄介だし。


 羊を仲間にしたトモエは上機嫌だけど、名前はメイにしたらしい。安直だなぁと思うけど、僕に文句を言う権利はないので口には出さない。モコモコの体を抱き締めて喜んでるけど、メイは嫌がってるから放してあげたら?。



 「もうちょっと!」


 「メ~~」



 リナは呆れて見ている風に見えて、若干ウズウズしている感じなので、どうもトモエと似た匂いがするぞ? 仲間達まで似たようになっていくのだろうか、それともホブゴブリンになって感情が出るようになっただけかな?。


 山に出てくる魔物で他にゲットしたい魔物は居ないようなので戻っていると、見た事が無い初めての魔物を見た。それはヤマネコのようだったが、トモエが一瞬で釘付けになったのは言うまでもない。



 ―――――――――――――――


 <マウンテンキャット> 魔物 Lv14


 山に暮らす猫の魔物。人間種に懐かない事で有名であり、多くのテイマーの心を圧し折ってきた


 ―――――――――――――――



 「トモエ、あのヤマネコ懐かないって出てるけど?」


 「そんな事、やってみなきゃ分からないでしょう!!」


 「シャーーッ!!!」



 何故か最初から怒り気味に戦闘を仕掛けてくるヤマネコ。意味が分からないが、素早く【セイントバインド】を使い拘束する。そのまま……っと思った矢先、何故か怪我をしているのを発見。【ファーストエイド】を使って回復しておく。



 「【ドミネイト】!!」


 「ニャア?」



 あれ? 普通に一発で成功してるんだけど? ………んー、これはアレかな。テイマーのって書いてあったけど、魔隷師とは書いてなかったんだよね。という事は、テイマーだと絶対に仲間に出来ないって事なのかな?。


 まあ、僕が考えても仕方ない事かと思い、仲間達を綺麗にしていると何故かヤマネコが寄ってきた。ついでに綺麗にすると喜んでいるので、どうやら綺麗好きらしい。その瞬間、トモエが近寄ってきたのは言うまでもない。



 「ギンが何故かコトブキに懐いてるんだけど、それって【浄化魔法】の所為よね。私にも教えなさい!」


 「別にいいけど、ギンって名前にしたの?」


 「そう。そもそも私の名前自体が巴御前からじゃない? 他に有名な女性って誰か居たか思い出そうとしたんだけど、井伊直虎と立花誾千代しか出てこなかったのよね」


 「それでギンって名付けたんだね。それに女の子みたいだから、特に問題ないとも思ったけど、よくよく考えたら男でも問題ない名前だね」


 「あっ、本当だ。ギンってば女の子だったのね。とはえいモフモフ以上に大事な事なんて無いけど」


 「ニャ!」 「あいた!」



 トモエが抱き上げようとしたら、ギンに引っ掻かれて逃げられた。何かこの後の光景が目に浮かぶよ。ギンを構おうとするトモエと、トモエから逃げるギンの追いかけっこだろう。



 「トモエ、ギンとは遊べるんだから帰るよ。ギンも魔物がうろついてる中で遊んでる場合じゃないから行くよ」


 「ニャー」



 ギンの方が置かれている状況をよく分かってるようだ。ちなみにファルの足下を歩いているが、これは一番硬い防御をしているのがファルだからだろう。そういった事は分かっているらしい。


 まだギンを追いかけようとするトモエを制し、僕達は師匠の家に帰還した。夕方が近くなっていた為、僕は師匠の家に入ってファルを料理に行かせ、スケルトン・クラフターに食材を渡す。


 料理が出来るまでゆっくりと待ちつつ【クリア】で綺麗にし、トモエに【浄化魔法】と【回復魔法】を教えた。ちなみにトモエがポイントで取ったのは、アバター用の着せ替えアイテムだったらしい。


 どうりで肌面積が増えてると思ったよ。リアルマネーを使いたくなくてポイントで手に入れるとは……僕なんて考慮にも入らなかった物をよくもまあ。


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