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0071・トモエとダンジョンへ




 2000年 8月13日 日曜日 AM8:13



 今日も元気にログインするのだが、運営のお知らせを見ると早速やらかした第二陣が居るらしく、アカウントの1週間停止措置が実行されたとの事。後はPKをしている人が居るので注意するように、という内容だった。


 運営が注意しているという事は、運営に申請したPKだろう。やる人は昔から居るらしいが、他人を襲って何が楽しいのか僕には分からない。まあ、とりあえずログインしよう。


 師匠の家のソファーから起き上がった僕は、皆に挨拶した後でファルを料理に向かわせる。すると何故かシズから連絡が来た。



 『コトブキ、今大丈夫? 実はね、師匠があんたの師匠の所に行くから、ついでに私も行く事になったの。そっちのダンジョンとか案内を頼める? 何か師匠は用事があるらしいし、こっちはPKが出始めてるのよ。プレイヤー多くて鬱陶しいから、そっち行ったら宜しくー』


 『あー、いいなー。そっち面白そう。こっちもPKとかいう人達が出て困ってるよ。何か問答無用? って感じで攻撃されてる。まあ、今のところは全部返り討ちだけどね』


 『うん。それに、そろそろ転移陣は解禁されると思う。私達は主に国の仕事を手伝ってたから。とはいえ転移代を払う事は出来ないから、まだ使えない。使えたらそっちに行ってレベル上げがしたいけど、今は無理』


 『運営としても折角バラけさせたんだから、ポンポン簡単に移動されても困るんじゃない? この後の予定なんかもあるんだろうし、世界がどうなってるかとかもプレイヤーが解き明かさなきゃいけないみたいだしさ』


 『それはそうだな。まだ始まったトコだけど、そもそも目的はどっちかの星を制圧する事か、もしくは何かを見つけ出す事だろ? それを見つけなきゃゲームは終わらないしな』



 そんな話をしていると師匠のスケルトン・クラフターに呼ばれたので朝食を食べに行く。師匠とラスティアも既に起きていたようだが、食事の席で師匠から先ほどの話を言われる。



 「今日はサインの奴が来るが特に気を使う必要もないぞ。奴は温泉に入りに来るだけじゃし、後はサインの弟子であるコトブキの姉とやらが来るぐらいじゃ。まあ、少し前に見たサキュバスの女なので知っておろう?」


 「ああ、あの同族ね。まあ特に問題無いんじゃない? それに<支配>が来るって言われても、アレが温泉に入る為にワザワザ来るとはねえ。そもそもあいつって面倒臭がりじゃなかった?」


 「シャルロットの所の温泉は肌に良いのじゃが、それを教えてやったら飛びついたという訳よ。それと最近やたらに稀人が増えたと言っておってのう、屋敷の世話はシルキーに任せてゆっくりしたいと言うておった」


 「ま、あたしは好きにさせてもらうから、あんた達で楽しんできなさいよ。毎回毎回、宴会に巻き込まれても大変だからさ。お酒飲むの嫌いじゃないけど、流石に前回のでちょっとの間いいわ。遠慮しとく。それと力も取り戻さなきゃなんないし」


 「そうか。ま、そなたも表に出てこれたのじゃから、好きにするがよかろう」



 朝食が終わり「どうするか?」と思っていると外に魔法陣が現れ、中から<支配の魔女>サインとトモエが現れた。さらにはトモエの仲間達もいるらしいので、結構な大所帯と………あれ? スライムと蛇と犬は?。



 「……はぁ。碌でもない連中の所為でね、死ぬ羽目になったのよ」


 「ゴブ……」


 「いったい何があったのさ?」


 「ダンジョン攻略中に他の連中から襲われてね。何とか叩き潰す事には成功したんだけど、3人はやられちゃったのよ。今思い出しても腹が立つ! 殺してやったけど、1回じゃ治まらないくらいよ」


 「あっちゃー。いわゆるダンジョン内の賊、迷賊ってヤツかな? 僕は会った事ないけど、そっちのダンジョンには居たんだね。それにしても碌な連中じゃないけど、それも想定して準備しておかなきゃ駄目か」


 「コトブキはまだ良いじゃない。そこまで仲間が居れば早々襲われる事もないし、アンデッドだと食べないでしょ。私の場合は食費がね、思っているより厳しいから大変なのよ。だから仲間を簡単には増やせないの」


 「魔隷師ってテイマーと一緒だから、なかなかにお金が掛かる職業なのかー。サブの細工師でお金稼げないの?」


 「まだまだ無理。とてもじゃないけど原石削るので精一杯かな? 原石削ってカット前の宝石にして売るくらい。どこかで細工師の師匠に弟子入りするしかないと思う。今はそれ以上無理」


 「なら仕方ないね。原石って安く売ってるの? それとも自分で掘りに行ってる?」


 「本当なら自分で掘りに行った方が安くつくんだけど、掘れる場所が近場に無いのよねー。どっか知ってる?」


 「いや、知らないけど、ユウヤが居るバイゼル山なら採掘出来る場所があるかも。聞いてみないと分からないけどね。とりあえずはダンジョンが先かな?」


 「早急にお金儲けがしたいわね、それとレベル上げも。どっちも満たせるのはダンジョンしかないでしょ」


 「じゃあ、行こうか」



 今日も錬金術師のレベル上げをしようと思ってたんだけど、仕方ないか。僕は多少のお金を持って師匠の家を後にした。ダンジョンに向かう間にリナの装備品を聞く。リナはトモエの仲間であるゴブリンの名前だ。最初はゴブリナと勘違いしていてリナとしたらしい。


 トモエも間違えたのかと思いつつ聞くと、リナの武器は槍のようだ。トモエも<BUSHIDO>をある程度はやった事があるので、格好いいからと理由で武器を選んだりはしない。勝つ為に武器を選ぶ。


 しかしながら本当に正しかったかと悔やんでいるらしい。リナに盾を持たせていれば仲間が死ぬ事はなかったんじゃないかという思いがあり、現在どうするかを迷っているそうだ。もし盾を持たせるなら、武器は棍棒か斧だろうね。


 そう話すと、トモエは悩んだみたいだけど、最後には盾と斧に決めていた。その後は僕に頼んできたけど、昨日の素材も余っているので特に問題ない。



 ―――――――――――――――


 <盾> 石と木の盾 品質:6 レア度1 耐久220


 木の盾の前面が石で被覆されている。錬金術を駆使しなければ作れない盾

 破壊力減少2


 ―――――――――――――――


 ―――――――――――――――


 <斧> 石と木の片手斧 品質:5 レア度:1 耐久210


 石と木で出来た片手用の戦闘斧。刃の部分に石が被覆してあるので重く、叩き付けた時のダメージは高い

 攻撃力9 破壊力2


 ―――――――――――――――



 やっぱり斧の攻撃力も高いなぁ。盾の使い方はファルに聞いてくれる? 身振り手振りで教えてくれるよ。斧の使い方は……まあ、刃を叩きつければ済むから、頑張って。



 「斧の攻撃力って高いわねえ。思っている以上だし、タダで作れるというの良いわよね。まあ、その分難しそうだから私は自分でやろうとは思わないけど」


 「どんなものでも同じだと思うけど、確かに少し間違えるとすぐに品質が落ちるところはあるね。多分それは細工師も変わらないと思うよ?」



 そんな事を話しつつダンジョンに到着。周りからジロジロ見られているものの、気にせずダンジョンに入り1階からスタート。とはいえ進み方は知っているのでどんどん進んでいき、5階の大扉の前で休憩。


 トモエに聞いたところ、ダンジョンの魔物はテイムできないそうだ。なのでテイム待ちなどをする必要が無い。リナも実戦の中で【斧術】と【盾術】を得たので戦闘が出来るようになった。


 話しつつ休憩が完了したので、ボス前の扉を開いて中へ。オーク10体が出てきたら、事前に決めていた通り【ダークウェーブ】で攻撃。結構削ったら、後は皆に任せる。


 トモエの方にも4体のオークが向かったが、鞭で叩いたり、斧でカチ割られてあっさりと死んで行く。こちらに来たオークも頭をカチ割られ、喉を突き刺されて死んでいく。結局は大した時間もかからずに6階へ。


 あの臭いという<オーク玉>が、インベントリの中で増えていた。これは尻尾の効果なんだろうか? イヤすぎる……。


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