0659・運営さん達39
2001年 1月9日 火曜日
『プレイヤー<コトブキ>が暗闇ダンジョンの60階に到達しました。聖結晶を手に入れるのは間違いないでしょう』
「あらら、辿り着いちゃったかぁ……。しかも最初に到達したから、ある程度は優遇された確率で出るわね。ここの素材の情報が出回っても、簡単に手に入らないからそこまで大きな問題にはならないか。ただし弟君のアンチはまた騒ぐでしょうけど」
「それは仕方ないんじゃない? 流石にここまでのプレイヤーだと間違いなく嫉妬民とアンチは生まれるよ。むしろどうしようもない。それに本人達は嫉妬慣れをしてるでしょ。これだけの人物が他のゲームで騒がれない筈は無いし」
「情報を集めてて分かったけど、結構マイナーというか人気の無いゲームに手を出している事が多いな。彼は名前をいつも同じにしているので、プレイヤー名を探れば大体が分かる。問題はどのゲームでもアンチが居たという事だな」
「まあ、生まれるでしょうねえ。圧倒的なプレイヤースキルは、どうしたって嫉妬やアンチの対象にしかなりませんし。このゲームは無いですけど、PKのあるゲームなら間違いなく襲われますよ。ただし殆どが返り討ちにあったでしょうけどね」
「だろうねえ。流石にあのプレイヤースキルに勝てる者なんてそうそう居ないよ。PKだって返り討ちにしかならないだろ。彼がPKになるよりは遥かに健全だと思うよ? PKKになる可能性はあるけどさ。それはPKの自業自得でしょ」
「素材の話からズレてしまったので戻すが、おそらくだが先行者利益は彼と彼の仲間達だけで終わりだろう。とはいえ通常の確率では手に入るから気にする必要は無い。どのみち60階は先に進むほどドロップが良くなる仕組みだ」
「その代わりにザコが大量に群れてますけどね。それも硬くて耐久が削れる厄介仕様の魔物が」
「これかな………うわぁ、これはキツい。ゴーレムの一種だけど素早さが高くて硬いという非常に厄介なタイプ。特に厄介なのが思考ルーチンかな。とにかく押せ押せで攻めて来るのと数が組み合わさって最悪」
「途中で武器が壊れやすく、そうなると撤退するしかない。60階から登場する素材で武器を作れば耐えられるかもしれないが、それでも後半の群れは厳しいだろうな。そもそもここからは停滞するように作ってある」
「そう簡単に持っていかれても困りますしね。やっぱり相応の苦労をしてもらわないと」
「ここの魔物とその数で十分苦しむだろうね。それを表の素材で何とかすると言っても、結構な素材でないと耐えられそうにないし、思っている以上の嫌がらせだね。コレは」
「そのうち突破できるだろうから、放っておけばいいだけだがな。最凶ダンジョンのように、最初から万人が攻略出来るようにはなっていない、というのとは違うさ。暗闇ダンジョンは苦労しても一定深度までは攻略可能だ。その後はオマケみたいなものだからな」
「まあ、それ以降は自己満足の領域ではあります。良い物が出る確率は上がりますけど、その分だけ敵が強くなり続けていく。限界が無く際限がないですからね。いつか誰もがギブアップします」
「そういう風に作られてるから当たり前だけどね。その為に経験値取得は無いんだし」
「今は見守るくらいでいいだろう。彼らも大変だろうし、そもそもあのレベルと装備で来る場所じゃない。来れただけでも立派だよ」
『プレイヤー<コトブキ>がヘヴンズクラッシュを手に入れました。が、プレイヤー<コトブキ>の性格ですと使用したり市場に流したりしないと思われます』
「薬物を流せば重い罪に問われて牢に長く入れられるからなー。そうなると大変な事になるぞ。とはいえ彼がそれをするかといえば、可能性は限りなく低いな。一番高いのは<破滅>に渡して終わりだろう」
「ですね。デッド草も出ているみたいですけど、アレは単なる強力な毒ですから」
…
……
………
『プレイヤー<コトブキ>が聖結晶と白結晶を合成し、光結晶を作りました。これで60階突破の為の武器の存在に気付きました』
「まあ、これに関しては仕方ない。そもそも彼はサブが錬金術師なんだ、手に入れたら絶対に試すだろう。そして<破滅>に教えるなとは言えん。普通の師弟のやりとりの範疇だからな」
「光結晶のウォーハンマーか、本当に強いね。間に2つ3つの武具を挟む強さだよ。実際に挟むんだけどさ。ここで手に入れるのは流石だよね。弟君の影に隠れてるけど、他のプレイヤーも地味に優秀だ。二人除いて」
「それは仕方ないだろう。それでも盾、弓、従魔、死霊が優秀な時点でなぁ……反則のメンバーだと思うぞ? 同じ穴の狢と言いたくなる連中だ」
「本当にそうですよねえ」
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2000年 1月12日 金曜日
「明日から戦争イベントだが準備は出来ているか? 初めての戦争イベントだからこそ失敗は出来んぞ。最後の最後はグダグダだが、そこまではキッチリ進ませる必要がある。チェックはしっかりな」
「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
「まあ、問題は無いでしょうけどね。一応テストは終わってますし、その時には不具合なんて出ませんでしたから。しかしこれでようやくエルフェリアが飛びますね。最後がアレですけど」
「パターンによっては幾つか考えられたんだがな、弟君がビスティオの矛先を決定付けた以上こうなるのは当然だ。エルフェリアは壊滅するが、これに関してはどうしようもない。僅かは残るんだから良かったじゃないか」
「ただし完全な引き篭もりが完成しますし、平地のエルフが散らばって社会問題化しますけどね。ま、それは天使の星のイベントなんでそっちは盛況でしょうけど」
「盛況といっても、差別主義者が散らばって各地で騒動を起こすだけだがな。そしてそれを捕まえれば<善行度>が上がる。逆に目の前で問題が起こっていても無視すれば<悪行度>が増える。実に天使の星らしいイベントだと思うぞ?」
「そうですけど、その裏でコソッとNPC好感度も変化しますからね。誰が頑張って暴れるエルフを捕まえるんでしょうか……」
「きっと<金剛騎士団>辺りじゃないか? あそこは真面目に捕縛して得をしそうだ。適当に切り捨てても<悪行度>が上がるからな、しっかりと公権力に突き出す必要がある。なかなかに面倒臭いんだが、上がる<善行度>は多めだ。気付いた奴は稼ぐだろう」
「面倒臭いと思わなければ稼ぐでしょうね。面倒臭いと思わなければ。放っておくと各国が勝手に取り締まって終了の早い者勝ちです。何処まで気が付くのか、そして掲示板などに情報を出すのかってところでしょう。秘匿すると思いますよ」
「それならそれで問題無いさ。どのみち<善行度>が稼げるボーナスステージでしかない。そこで稼ぐか否かは人による。「君はしても良いし、しなくてもいい」って感じだ」
「ま、そこら辺りはプレイヤーに任せるしかありませんね。悪魔の星ではイベントなんてありませんし、それに比べれば優遇されてますか」
「仕方あるまい。これは負けた側の星のボーナスステージだからな。悪魔の星が負ければ、悪魔の星のボーナスステージになるだけだ」
「負けた方がボーナスステージというのも……。ワザと負けようとする連中が現れかねませんけど、それも計算の上ですか。今回は初めての戦争イベントですから勝つ側が決まってますけど、これ以降はそうではありませんからね」
「まあな」




