0654・オウカ参戦
「姉さんがユウヤに会えない事に文句を言ったらしく、だったら私のようにゲーム内で会ったらって話になったみたい。で、一昨日にその話をしてて、今日の朝に<レトロワールド>が手に入ってたって。うちの人達に確保させたみたい」
「OH……流石はお金持ち、やる事が違うわね。10万人にはまだギリギリ届いていない筈だから確かに手に入るでしょうけどさ。ユウヤと会いたいというだけで、ゲームをやった事もないのに購入して始めるなんて……。恋は盲目?」
「姉さんだと考えると、むしろロックオンが正しいと思う。元々ユウヤの恋心が分かっていて焦らしてたけど、その間に自分も拗らせていた感じ? 多分だけど、今は姉さんの方が夢中になってる。恋は盲目なんていう優しいものじゃない」
「ああ、ユウヤは長年の人と付き合えると思っていたら、その人が実は野獣というか雌豹だったって訳ね。それでユウヤは今日、あんなに搾り取られてお疲れだったのか。浮気防止の為に搾り取ったのもありそうね?」
「それであんなに疲れてたんだ。凄く大変そうだったもんね、ユウヤ君」
「何をやってるんしょうね? 気持ちは分からなくもありませんが、男性側が疲れ切る程というのはどうなのですか?」
「まあ、ヤリ過ぎよねえ。浮気防止というのは分からなくもないけど、それを続けると男の方が耐えられなくなって逃げるわよ? ちょうどいいバランスで男を虜にするのが女のやるべき事でしょうに」
「【色欲】に溺れないのであれば、それが一番良いのだろうね。そも、恋人同士であれば【純潔】の範疇なのだから問題は無いさ。しかし相手に負担を掛けてやり過ぎるというのは、【慈悲】の観点から駄目な事だと言いたいがね」
「浮気されたくないエネルギーは、食べれば解消するんじゃないかなー?」
「こらこら、【暴食】に誘うんじゃない」
色々なストレスから<過食症>になる人とか居るけど、あれも【暴食】の一つなのかな? それはともかく桜さんを迎えに行かなきゃいけないんだけど、どうしよう? 何処から始まるかも分からないし、困ったな……。
「そういえば、あの人を迎えに行くのはどうするの? 何の種族でどこ始まりか知らないけど、迎えに行かないとマズいわよね? そこは考えてるの?」
「ユウヤから連絡がある筈だから、コトブキに頼むって。コトブキはこの国の王都に行くアイテムと、ここに戻ってくるアイテムを持ってるから。姉さん一人くらいなら自分のMPでどうにかなる筈」
「そりゃまあ、なるけどね。とりあえずユウヤからの連絡待ちかな?」
「その連絡が来た。姉さんはゾンビで始めたみたい。この国から始まるって聞いて、それでいいってさ」
「とことんまでにユウヤに早く会いたいんだね? 色々とアレ過ぎるけど、御本人が何処に居るか分かる?」
「ユウヤが町中にいるっぽいって」
「そう。じゃあ行ってくる」
僕はマリアさんに貰った別宅の庭に飛ぶという転移札を使い、ブラッディアの王都に飛ぶ。無事に転移し、すぐに移動を開始しようとしたら影からヌルリと執事っぽい人が現れた。
ちょっと驚きつつも、何故転移札を使ったのかと知人を回収に来た事を伝えると、玄関まで案内してもらえた。僕は別宅の玄関前で頭を下げ、その後は王都内へと出て行く。っていうか、別宅なのに貴族街にあるんだね。早く平民街へ行こう。
イルからのメッセージを受け取りつつ探すと、ようやく町中の噴水前で目的の人を発見した。っていうか黄昏てるよ。
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<オウカ> 稀人 Lv1
種族:ゾンビ
メイン職業:槍士
サブ職業:解体師
状態:健康
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「えっと、オウカさんでいいんですかね?」
「えっ? あら、タマちゃん。良かったぁ、知り合いが居ないしどうしていいか分からなかったのよ。友哉君「はい、ストップ!」は居な……」
「ここはゲームですから、リアルの名前を呼ぶのはNGです。僕はコトブキと言いますから、そう呼んでください」
「ああ、そうだったのね。ごめんなさい。ところで……」
「これから皆が居る所に飛びますから、とりあえずパーティー申請しますから許可してください」
「えっ? ……ああ、コレね。えっと、許可っと……」
「じゃあ、すぐに飛びますね」
そう言って、僕は師匠の家に戻る転移札を使ってすぐに戻った。オウカさんも一緒に飛んだので師匠の家へと案内し、ソファーの部屋へと入って皆と会わせる。
「ああ、良かった。皆が居て安心するわ。と……彼に会いたくて来たのはいいけど、どうしていいか分からなくて途方に暮れそうだったの」
「姉さんはいつも慎重だった筈なのに、何故ユウヤの事になるとそうなるのか。初めて見る姿にちょっと戸惑う」
「まあ、仕方ないんじゃない? 私達は殆ど毎日会ってるけど、さ……オウカさんはそうでも無いんだからさ。っていうかオウカって名前カタカナにしたんだ。漢字じゃないの?」
「何かね、既に使われていますとか言われて駄目だったから、カタカナにしてみたの。ユウヤ君? からそうした方が良いって聞いてたから」
「ベッドの中で?」
「そう、ベッドの中で。あれは2回戦が終わって色々としながらイチャイチャしてた時だったと思うわ。ピロートークの時に聞いたから良く覚えてるの」
「いつ聞いたかはどうでもいいけど、ユウヤはここには居ないわよ。まずはユウヤの所でログアウトして記録するのが先じゃない?」
「既にユウヤにはメッセージを送ったから、鍛冶が終わったらこっちに来る筈。姉さんはレベル上げないと駄目だし、パワーレベリングになりそう。っていうか、槍士?」
「探したんだけど、薙刀士が無かったのよ。だから仕方なく槍士っていうのにしたの」
「ああ。姉さんは薙刀の腕が凄いから。こう見えて姉さんは四段の腕前だし、使うなら当然だけど薙刀か」
「そうね。使い慣れた物が一番良いし、振り回すのも楽だもの」
「ならコトブキが武器を作るのが一番良いんじゃない? 石と木で作れば安くて済むし、買えるお金は最初から持ってるだろうしね」
「なら外に行って採ってくるよ。そこまで時間も掛からないしね」
僕は師匠の家を出て適当に歩き回り、石と伐ってもいい枝などを伐って素材を手に入れたら戻る。ソファーの部屋に戻ってマイルームへと移動し、錬金部屋で石と木の薙刀を作製。それを持ってソファーの部屋へと戻る。
戻ったらオウカさんに薙刀を渡して少し握ってもらい、大丈夫との事なので優先付きで流した。プレイヤーマーケットでの買い方はイルが教えているので、僕はスルー。そうしているとファルがやってきたので食堂へ。
オウカさんは師匠に挨拶し、食べる必要はないけど座ってお喋りをしている。僕達も会話をしながら食事をし、終わったらソファーの部屋へと戻るとユウヤからのメッセージに気付く。
「ユウヤが師匠の家の前で待ってるけど、入れなくて困ってるってさ。もう来てたみたい」
「あ、そういえばすっかり忘れてたわね」
慌てて師匠の家の玄関を開けてユウヤを呼び、オウカさんを預ける。僕達はさっさとソファーの部屋に行くと、現実でも昼食をとる為にマイルームへと戻ってログアウト。
現実へと戻った僕はキッチンに移動して昼食を作り始めるも、シズもすぐに下りて来た。どうやら桜さんの事を話したいらしい。僕は適当に相槌を打ちつつ料理をし、終わったら配膳して昼食にする。
よほど桜さんの変わりように驚いたんだろうけど、僕があまり驚いてないようだから会話のテンションが下がって愚痴を言われた。
「確かに驚きの変化なんだけど、椿の事を重ねると全く驚かないんだよ。だってそっくりだし」
そう言うと、シズは溜息を吐きながら「ごちそうさま」と言い、部屋へと戻って行った。アレはどういう意味での溜息だったんだろうか?。




