0653・始業式と封鎖された戦争フィールド
よくよく考えたら明日は学校の始業式だ。VR授業になってからは随分と3学期の始業式が遅くなったって聞いたけど、昔はもっと早かったなんて驚きだよね。今の時代はゆっくり過ごしたり旅行に行く人が多いから、こうなってるけどさ。
仕事始めもそれに関連して遅くなってるって聞くからなぁ。ウチの清掃会社は7日には仕事始めだったけどね。毎年お正月までに間に合わなくて、この時期に一年の汚れの掃除を頼む会社があるらしい。もしくは3月の終わり頃に言ってくる会社もあるんだそうだ。
とはいえ、そちらは年度末なのでまだ分かるらしいけど、この時期に急いで清掃をさせるのはどうなんだって言ってたね。毎年の愚痴みたいなものだけど、どうして正月前に頼まないんだって言ってたよ。一年の最初の仕事が忙しいっていうのは嫌みたい。
何でもその一年が慌ただしい年になりそうで、縁起があまり良くないって言ってた。気持ち的な事なんだろうけど、新年明けての最初がそれだと大変なのは分かるね。ま、リアルの話は横に置いておこう。
暗闇ダンジョンに関しては、やはり浅い所では良い物が手に入りにくくなっていた。それでも色々と手に入れる事はできたけど、これから先の事を考えると色々と厳しい結果にならざるを得ないだろう。何とか頑張っていきたいね。
師匠が言っていた通り、暗闇の造魔の数が多くて大変だったんだよ。流石に戦い慣れているので苦労はしないけど、それでも数が多いだけに精神的な疲弊が大きい。70階に挑む際には一気に進むしか方法は無いと思う。
そうじゃないと疲れきってしまい、まともに進むのも難しいだろうね。しかも予備の武器まで用意しておく必要があるので、今はまだ70階まで進むのは無理だ。流石に数が数なので耐久がどんどんと削られてしまう。
色々と考えながらも、明日は学校に行かなきゃいけない日だし……とか考えていると眠れないないな。アレもコレも用意しなきゃいけないし、クリーニングに持って行く事も考えておかないといけない。
そういえば、今日のスケイルアーマーの具合と防具にした際の感じを伝えたんだっけ? どんな話をしたっけな? 確か……。
「ふーん。確かに防御力も魔法防御力も高いわねえ。なかなか優秀だけど、素材の事を考えると作るべきなのかは悩むわ。予備の武器の事もあるし、まだダンジョンにも行ってないしね」
「ダンジョンに行けないのは仕方ないよ。そもそも戦争イベントを含めてやらなきゃいけない事が多いし、装備の素材も集めておかなきゃいけない。やるべき事が多すぎて、どっちのダンジョンにも行く暇が無いからね」
「そうなんだよねー。ところで明日が戦争最後の日だけど、明日って始業式だよ? 私達もしかしてイベント終了まで全く関われないんじゃ……」
「仕方ないんじゃない? そもそも運営だって始業式の事ぐらい知ってるでしょうしねえ、全国一律で同じなんだし。となると、何か理由があってそうなってる?」
「分からないですけど、確かに明日は何かありそうですね」
そうそう、こんな話をしたんだっけ……。
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2001年 1月15日 月曜日 AM7:31
今日は始業式の日なので学校へと歩いていく。未だ寒いけれど、我慢して素早く学校へ。朝早くに椿が来たので三人で登校する。学校で友哉に会ったけど、揶揄う事を躊躇うくらいには二日間で搾り取られたらしい。
「顔色が悪いけど大丈夫?」
「あ、ああ。大丈夫だ、大丈夫。それより聞きたいんだが、タマはどうやって何とかしてるんだ? 猛攻を凌ぎ続けるのも無理があるだろ」
「姉さんはそこまでシたの? 流石に私からちょっと注意しておく。搾り取れば男性が喜ぶ訳ではない。友哉の顔色を見るに姉さんは間違いなく搾りすぎだし、友哉はそれに応えすぎ。お互いに良い妥協点を見つけなきゃ駄目」
「まあ、桜さんも初めての時から待たされてた訳だし、それで爆発したんじゃないの? 私はそう思うけど?」
「それはあるかも」
「おーい、そろそろ移動するぞー!」
先生が来たので全員が移動し、始業式を終わらせた。VR授業はいつでも受けられるから、そもそも始業式が遅くても何ら問題はないんだよね。始業式も終わったので、僕達はさっさと学校を出る。その為に登校しただけだしね。
校門の所で椿は桜さんと共に車で帰ったけど、僕達は歩いて寒い中を戻る。家へと戻ったらすぐに制服を脱ぎ、シズのも含めてクリーニング店に持っていって頼んでおく。終わったら自転車で戻り、少し遅いけどログイン。
すぐに調べたけれど、何故か戦争イベントに参加出来なくなっていた。おかしいなと思いつつも三人に声を掛けてからソファーの部屋へと移動し、三人を召喚したらファルを昼食の手伝いへ。アルゼルがお菓子を食べている横で、エウリティアさんもお菓子を食べていた。
「今日は君らに何かあったのだろう? だから適当に時間を潰す為に、今日は皆に稽古をつけていたのだ。それで小腹が空いてね、今食べている」
「ボクは君のところで遊んでたよー。そろそろあのゾンビーナはマスターしたんじゃないかなー? <瞬足>を」
「<瞬足>って、もしかしてセナが身体強化で素早く移動してるアレの事?」
「そう、それ。アレに自力で気がついて努力するってなかなかだよー。アレはスキルにならない技術だから。<瞬足>や<瞬撃>は自分で身につけなきゃいけない技術なんだけど、だからこそセンスが問われるんだー。駄目なヤツは練習しても駄目だしねー」
「確かにな。あれ系の技術は自力でどうにかするしかない。ちなみに<瞬足>が移動で、<瞬撃>が攻撃だよ。別に武器は決まっていないが、力を入れる時にだけ入れるという技術だから、使い熟せないと意味が無い」
「成る程、それ系統の技術かぁ。厄介ねえ……。それよりも戦争イベントに参加できないんだけど、皆もそう?」
「私も無理だったし、多分全員が無理なんだと思う。もしかしたら戦争フィールドに<死王の欠片>でも出てきたのかも。最終日に何か起こりそうって言われてたし」
「だとしたら、午後になってからかな? そろそろ……っと、何か出たね」
目の前にウィンドウが現れ、そこにはこう書かれていた。
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戦争フィールドに二体の<死王の欠片>が現れた。一体は聖人達が戦うものの、もう一体は稀人の力で退けるのだ。多くの者の力を結集して撃ち破れ。
PM01:00より戦争フィールドへと移動可能になる。今回は戦争ではなく<死王の欠片>の討伐である為、人数制限は無い。全員の力を束ねて討伐せよ。
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「成る程、最後がコレだから散々狂ったエルフが現れてたのか。どうやらエルフェリアの所為で、戦争フィールドに<死王の欠片>が出てきたようだよ」
「碌な事をしないわね、エルフの連中。もちろん他にもエルフの国はあるけどさ、アイツら一応はエルフ最大の勢力でしょうに。そいつらが<死王の欠片>を呼び込むってどうなってんのよ」
「しかも今回は稀人だけで一体を倒さなくちゃいけないんだって。もう一体は聖人達が倒すみたいだけど、【生命力操作】はコトブキしか使えないし……うん? ユウヤから?」
「ユウヤ君からイルにメッセージ? いったい何だろうね?」
「………まさかのまさか。姉さんが参戦する」
「「「「はい?」」」」
どういう事?。




