0650・確率悪化
皆との話し合いをしているとファルが来たので食堂に行き、昼食を食べたらソファーの部屋からマイルームへと戻る。その後はログアウトし、現実へと戻ったら昼食の用意を行う。シズと昼食を食べたら雑事を熟してログイン。
今度は暗闇ダンジョンなので声を掛けてから移動するんだけど、何故かアルゼルが僕のマイルームの訓練場でお菓子を食べてたね。昨日追加してるからいいけど、倉庫の中の結構な割合がお菓子になってるよ。それでも空いてるから別にいいんだけどね。
ソファーの部屋に移動して皆と一緒に暗闇ダンジョンへ。そしてパーティーを組んだ後でレイドを組み、60階からスタート。
「案の定だったけど、午後からも満員だったね。ビスティオ側は当然だけど、エルフェリア側が全く増えてないのは笑ったよ。あそこまで増えないものなんだね」
「それはナツの勘違い。検証班の所に書いてあったけど、エルフェリア側で参戦しても【死気感知】は習得できない。出来るのはビスティオ側だけ。だから皆がビスティオ側で参戦してるし、おかしなエルフと戦ってる。ただし、他にも習得できる場所はある筈」
「だろうね。10万人って簡単じゃないし、他の人にも覚えられる場所を作っておかないと、きっと困った事になるよ。これから更に枠を拡大するのなら、イベントでしか覚えられないってクレームの元だからね」
「まあ、何処かのダンジョンとかで出現するんでしょうけど、一番可能性が高いのは運営ダンジョンよねえ。余計な揉め事を起こさせずに出現させる事が出来るし、他に影響を与えないで済む場所だし」
「神のダンジョンか。私はどんなところか知らないけど、なかなかに大変だというのは聞いたよ。問題は私達も途中から進めるのかという事だね。暗闇ダンジョンを始め、普通のダンジョンと同じなら時間が掛かってしまう」
「あー、それがあったかー。何となく一階から進ませるしか無い気はするわね。ただ、そこまで大きく時間が掛かったりはしないわ。私達が既に攻略できている訳だし、一気に進めば済むもの」
「まあ、敵は弱いし大した階層でもないからね。暗闇ダンジョンはもう60階だけど、他のダンジョンはこれから40階だったかな? 確かそれぐらいだし、こっちに比べて敵も弱いしね。ここが強すぎるだけとも言えるけど」
「強いっていうか、私達が行った所でレベルが三桁に突入してるのは暗闇の造魔だけなのよねえ。だから特筆して強く感じるのと、やっぱりこいつ硬いから厄介よ。耐久力の減りは重結晶や光結晶じゃないとビックリするほど減る」
「しかたないよ、ガーゴイル? 石人形みたいなヤツだし、そんなのに刃物で攻撃しても……」
「それは確かにそう。代わりに棍棒はそう簡単に壊れないみたいだけど、ナツだってメイスだからそこまで耐久は減らない筈」
「それはね。でもトモエの支配モンスターとか見てると大変だなって思うよ。コトブキ君の方はアレだけど……」
「僕の方は剣とか使えるけど、そっちはまだ作ってないね。とりあえず打撃系武器と斧を優先したからさ。それもあって刃物系はそんなに急いでないんだよね。それに、後はキャスティとファルの剣ぐらいしか作らないしさ」
「そういえば剣を使うのってその二人だけだったわね。そしてキャスティはウォーハンマーだし、ファルはメイス。特に急ぐ必要が無いわね、十分戦っていけるし」
「だから急いでないんだよ」
会話をしつつもキッチリと暗闇の造魔を倒し、素材を収集しながら先を急ぐ。昨日もそうだったけど、多くの場所を回る事によって素材を稼ぐ事が出来る。いつ採れる量がガクッと下がるか分からないから、今の内に集められるだけ集めたい。
この階層ではそれなりに出てくれているし、その御蔭で装備を整えられたんだけど、だからこそ心配してしまう。ここからは出にくくなってくるんじゃないかと。そしてその予想は当たっていた。
「今回は驚くほど出ないね? もち米が出たのは良かったけど、肝心の採掘と伐採の結果が酷い」
「誰も手に入っていませんからね。ここまで手に入らなかったのは初めてでしょうか? 十分手に入ったんだから、ここからは簡単に手に入れさせないという意思を感じます」
「そう言いたくなるくらいに手に入らない。ここから先は相当に大変かも」
「仕方ない。元々そう簡単には手に入らない筈。今までがちょっと出過ぎてただけとも言える。これからが普通というか、本来の確率なのかもしれない」
「今回はたまたま運が悪かったとも言えるけどね。次は今までと変わらない可能性もあるし」
「それはね。次になってみないと分からないけど、今回は本当に渋い。誰も出てないっていうのは流石に酷いよ」
地図を描きつつ、確かに今回の運は相当に悪いと思う。今回だけで判断は出来ないけど、嫌な予感がしているのも間違い無い。ここから急に強くなる魔物、削れて行く耐久値。それを考えると、今までのは救済措置とも言えなくもない。
その救済措置を使い切ったと考えれば、これから大変なのは当然とも言える。もちろん思い過ごしならそれで良いんだけどね。
62階へと進み、戦いながら素材を収集していると、やっと重結晶をイルが手に入れた。今回初めての当たりだ。まったく出ない訳じゃくて、やれやれってトコかな? 正直に言うと安堵した。
「この先まったく出ない可能性はあるけど、とりあえず一つでも出たのなら大丈夫でしょ。全く出なければ疑うとこだけど、出た以上は運が悪いだけで済む。何か出ない理由があるのか疑い始めると止まらなくなるからね」
「それは分かる。実際に冗談でも何でもなく、全く出なかったからね。裏で操作してるんじゃないかってくらい出なかったから、運営が介入してるんじゃないかと疑ってたよ」
「流石にそんな暇人じゃないと思うけどね。とはいえそれぐらい出なかったから、言いたくなるのも分からなくは無い」
ようやく一個出た事に安堵しつつ、僕達は先へと進んで行く。62階では多少出たのと、63階でも多少出た。今は64階まで来ており、敵が多いものの数は出てきた。どうやら今までがボーナスステージだったのは間違いなさそうだ。
「どうやら本来は階層を進むごとに確率が上がるみたいだね。流石にここで手に入る物がないと突破が難しいから、最初の方は出やすくなってるんだと思う」
「それもあるだろうけど、多分それは先行者だけだと思う」
「プレイヤー全体で考えてるって事? そっちの可能性もありそうね。進める者が出てきたから、本来の確率まで下げまーすって事でしょ?」
「そう、私達が黙っていれば問題ない。こんなものとしか思われないから」
「確かにそうですね。それにバレて文句を言われても、それなら私達より早く来れば良かったと言えば済みますしね」
「先行者が利益を得るのは当たり前だからね。だからこそ苦労してるんだし、それだけの見返りはあって当たり前だもの」
僕の方も多少出たから、全く何も作れないって訳じゃない。帰ったら剣を作る事になるだろうけど、もう少し出てくれれば二本は作れそうなんだよね。何とか出てくれないものだろうか。どっちも重結晶と硬堅木だから被ってるんだよね。
っと思ってたら出たよ。これで何とか足りると思うけど、帰って試してみないと分からないかな? 足りなければ次だね。とはいえ今回で集めきりたいけど、こればっかりは運だから駄目なら諦めるしかないな。
次は64階か。確率は更に上がりそうだから、もう1個は出ると思う。64階にさえ到達すれば、後は駆け足で探し回るだけだ。どのみち脱出の魔法陣を見つけないと出られないしね。




