0641・ビスティオとエルフェリアの戦争 その15
何故か「コロスコロス」と連呼するエルフとの戦いになっているけど、向こうの数が多いからなかなか大変だ。何より黒いスケルトンと根本的に違うのが、相手が魔法を使ってくる事なんだよね。さっきから【木魔法】を連発されてる。
「「「「「「「「「「コロスコロスコロスコロスコロス………」」」」」」」」」」
「こいつら、コロスコロス言いながら魔法を使ってくるんだけど!? 今までのエルフなら魔法名は喋ってたろうに、気持ち悪いくらい無表情で同じ事しか言わないぞ!」
「完全に<死王の欠片>か<死の欠片>に乗っ取られてしまっているのだろう。前に言ったが、<死王>という存在が元々こういう存在なんだよ。とにかく他の存在に死を与えようとするだけの無味乾燥なヤツなのさ」
「虚ろな目で何処を見てるか分からないし、無表情でブツブツ言うだけだし。無味乾燥というより、超絶陰キャか危ない人にしか見えないよ」
「プッ! ………ちょっと、戦闘中なんだから笑わせないで下さい。とてつもなく厄介な存在が、一瞬にして壮絶な陰キャのイメージになってしまったじゃないですか!」
「ナツがそういう事を言うって事は、まだまだ余裕があるって事。こいつらは相当に厄介な筈だけど、コトブキとラスティアが魔法を破壊してくれてるから、そこまで厄介じゃなくて済んでる。聖結晶を手に入れておいて良かった」
「それは本当にそうよ。マジで一人一本は持っといた方が良いんじゃない? 状態異常の魔法を連発してくる筈が、全て不発に終わってるから戦えてるけどさー、これ真正面からぶつかってたら普通に負けてるでしょ!」
「本当にな。それぐらい状態異常魔法を連発してきやがる。<死の欠片>の事といい、碌な連中じゃねえ! 何でこいつらはこんなに頭がおかしいんだ!? 危険な腕輪だって分かる筈だろ!」
「そんな事は知らないよ。もしかしたら僕達は倒した後だからそう見えてるのかもしれないし、エルフの側では鑑定結果が違うのかもしれない。プレイヤーが狂ってたらマジで危険かもね。検証班ならやってるかもしれないし」
「彼女達なら潜入してる筈だから、おそらくやってると思う。もしそっちも狂ってるとしたら、かなりの問題になる。ロストまでは行かないだろうけど、悪行度を含めてキャラの再作成になるかもしれない」
「それは相当にマズいが、冗談抜きでこいつら嫌がらせ魔法を連発してきやがる! 本当にコトブキとラスティアが壊してくれないと危険すぎるぞ。二人を前に出さないと魔法を喰らっちまう!」
「石化とか冗談じゃなくシャレにならないからね。私達は遠距離から魔法を撃つぐらいしか出来ないよ」
「ナツはこのエルフどもに【回復魔法】を使ってくれる? 確かイベントの時の<死王の欠片>は【回復魔法】でダメージを与えられた筈よ。こいつらエルフに見えているだけで、同じ存在かもしれない」
「成る程。先ほどから碌に効いていないと思っていたが、<死王の欠片>と変わらない訳か。ならば【回復魔法】で良いね。私は【慈悲】の天使だから得意なのだよ」
「颯爽と現れて女性を助ける為でしょうが、アンタって割と欲に塗れてるわよねえ!」
「魔法を切りながら余裕があるみたいだけど、予想以上に厄介だよコイツら。なんと言っても呼吸が要らないからか、通常の生き物じゃないタイミングで動く。おかげで物凄く面倒臭い」
「<死王の欠片>と似たような者であれば、生命力が効くでしょう!!」
キャスティがウォーハンマーに生命力を篭めて一撃を見舞うと、簡単に頭が潰れて倒せたようだ。生命力を篭めてないと、潰れないし吹っ飛ぶだけなんだよね。御蔭で仲間達はダメージも与えられず、敵を吹っ飛ばして遠ざける事しか出来ていない。
アンデッドしか仲間に居ないと思ってたから教えてないんだけど、仲間達に【回復魔法】を教えた方が良いだろうか? でも<死王の欠片>にしか効かないんだよね。アンデッドは【浄化魔法】だし、自分達の身を清めるのも【浄化魔法】だからさ。
それでもキャスティが攻撃で数を減らしてくれるようになったからと、ナツとエウリティアの【回復魔法】の御蔭で数が減ってきた。やはり圧倒的に生命力を篭めた攻撃の方がダメージが大きい。僕も棒に篭めているいくらいだ。
「攻撃の威力という意味では必要ありません。重要なのは<死王>関連の敵には生命力を流す事です。それで十二分なダメージを与えられますから力ではないんですよ。他の皆も使える様になればいいのですが……」
「私は武器が無いというか、いつものは大天使様に使用を禁止にされているから使えないね。それに武器はまだ受け取ってないから無いし、素手で戦う気は無いよ」
「ボクは武器とか失ってるから無いねー。キャスティも使ってるけどハンマー系か棍棒系がいいかな? 一番何も考えずに済むからー」
「分かったけど、暗闇ダンジョンに行かないと素材が無い。それまでの繋ぎだと魔鉄系まで落ちる。でも、そうするしかない。普通のエルフならまだしも、こんなヤツには触りたくないだろうし」
「<死王>の力に触れるのは流石にねー」
「私も御免被るね。流石に<死王>の力に触れると、私達でもどうなるか分からないし、コイツらを介して汚染してくるかもしれない。触れても武器などだけだろう。それ以上は保証しかねる」
「思ってるより怖い連中だし、まるで病原菌の塊みたいだな。触れたら汚染されるっていうのも面倒な奴等だぜ」
「「「「「「「「「「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス……」」」」」」」」」」
「数がなかなか減らないから、予想以上に厄介だよ。特にコトブキ君が魔法を壊す側に回ってるのが厳しいね。攻撃側に回ってくれたら、もっと楽なんだけど、相手の【木魔法】が厄介すぎるよ。私達じゃ生命力が使えないし」
「文句を言っていても始まらないから、なるべく【回復魔法】でダメージを与えるしかないでしょ。もしくは【浄化魔法】で動きを鈍らせるとか、とにかく自分で出来る事をしましょう。それしかないわ」
僕とラスティアは生命力を使えるけど、それよりも魔法に対処するのを優先しないと瓦解する恐れがある。なので最前線で敵の魔法を破壊するしかない。それにしてもここまでエルフが厄介だとは思わなかったけど、これ多分<死王>に汚染されてるからだね。
そもそも魔力とかスタミナが無限状態なんだと思う。御蔭で敵だけ常に全力なんで思っているよりも厳しい。他の皆にバトンタッチ出来るならするんだけど、魔法を壊している合間にしか攻撃が出来ないんだ。
しかも魔力が無限にあるからか幾らでも使ってくるし、それが止まる気配が無い。聖結晶を持っている僕達じゃないと絶対に負けてるよ、コレ。
いったい何を考えて運営はこんな相手にしてるんだろう? もしくはエルフェリア側には殆どのプレイヤーがつかない事を見越してこうなってる? もしそうなら厄介極まりないイベントだね。
もはやビスティオとエルフェリアの戦争じゃなくて、<死王の欠片>との戦争だと考えた方が良いかもしれない。三日目や四日目になるともっとキツくなるかもしれない事を考えたら、今の内に敵を多く倒しておきたいところだ。でないと飲み込まれるかも。
このまま<死の欠片>を使い続けられたら、文句なくビスティオ側は負ける。ただし、その後の国同士の関係をエルフェリアはどうする気なんだろう? <死王>関係に手を出した以上は、国際社会じゃ立場が最底辺になるのは確実だよね?。
少なくとも師匠に文句を言って来たハイエルフは、理性があった筈だけど……。




