0064・ジャングル攻略
僕は多少のお金を持ち、師匠の家を出るとフレンドコールを使う。ユウヤにダンジョンに行くか聞いたら、今日はシャルロットさんと盾作りらしい。なので僕達だけで先へと進んでみると言い、フレンドコールを切る。
今日はラスティアがついてくるようなので一緒にダンジョン街へと行き、そこでジャングルを突破できそうな物を探していく。色々と見て回っていると、方位磁針を見つけたのでコレの事だと思い購入する事にした。
方眼紙と鉛筆でダンジョンマップを記入していくゲームじゃないんだし、VRのゲームは不規則に折れ曲がったりしていて視覚のトリックすら使ってくる。なので紙に書き記す事は大事ではあるものの、紙に書いたからといって誰しもが攻略できる訳ではない
方位磁針を4700デルで購入し、早速進もうと思うも何故か選択肢も出ずにダンジョンへと突入、1階から始まってしまう。………不思議に思っていると、ラスティアが居る事に気付く。もしかして1人でも突破していない奴がいたら最初から?。
「あー……そういえばダンジョンのルールってそんな感じだっけ? 封印されていた間に無効化されてるのかも。まあ、昨日歩いた道なら知ってるでしょ? さっさと走って行くわよ」
そう言ってラスティアが何故か先導する。慌ててドースが前に行き、こっちだと誘導し始めた。僕も走って行くが、敏捷度としても重さとしてもファルが一番重いので、ドースにはファルを乗せてもらって走らせる。
一気に5階へと下りて、再びのボス部屋オーク戦。今回はラスティアが居たから分散したものの、そちらには僕とフォグが行って魔法で援護しつつ戦う。セナの方はドースとファルが暴れているので、早くに終わるだろう。
【魅了・下級】か【誘惑・下級】を使っている所為で、こちらに7体も来ているからだ。ドースとファルは転倒させて滅多打ちにすればいいだけの簡単なお仕事をしている。こちらは頭をカチ割りつつ【セイントバインド】で動きを止めていく。
あまり長い時間拘束する事はできないが、その僅かな間にカチ割ってしまえば数を減らせる。あるいはラスティアのように足を切って使えなくしてしまえば、他のオークに取り掛かれる。多数を相手にする場合は戦闘能力を奪うのが基本だ。
セナ達の方も終わったので加勢が入り、結局は大して苦労する事もなく勝利した。勝利したのだが……戦闘後に変な物が出た。コレってどうよ?。
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<道具> オーク玉 品質:10 レア度:3 耐久1
オークの名が付くよく分からない玉。投げてぶつけると超絶な悪臭が周囲に広がる。その臭さは犬系の魔物が昏倒するほど
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これ多分だけどレアアイテムなんだと思う。何故ならこれ1個だけだから。とはいえ……コレが何かは知らないけどさ、そもそも触りたくないんだけど? よくこんな物をドロップするように設定したね、運営は。
いや、それ以前にこんなアイテムが役に立つ事があるの? まあ、10層のボスにでもぶつけよう。それがいい。せめて少しでも役に立ってくれないと、手に入った意味が無い。レアが手に入って損したというのは避けたいしね。
僕はインベントリの中の物に対して見ないフリをしつつ、開いた場所から6階へと下りる。階段横の魔法陣から一度脱出し、途中で手に入った物をほぼ売り払う。レアアイテムだけは残しておくが、それ以外は全て売ってスッキリさせておく。
ちょっと早いけど食堂に入り、1人250デルを支払って昼食を食べる。普通の町の食堂だと100デルくらいから食事は出来るらしいが、ダンジョン街は観光地価格レベルで売っているようだ。まあ、それでも売れるんだから仕方ない。
僕とラスティアの食事が終わったら、再びダンジョン内へ。今度は選択肢が出たので6階からスタート。ジャングルに入ると、すぐに周りから魔物が集まってきた。どうやらラスティアが【誘惑・下級】を使用したらしい。
思っているよりも遥かに優秀なスキルで驚く。魔物を一ヶ所に集めて叩き潰せるという事は、当然こちらに有利な場所で戦えるという事で……つまり僕達が負ける理由が無い訳だ。近寄ってきたのをボコボコにして終了、でも一言だけ言っておく。
「ラスティア、スキルを使うなら使うって言ってよ。いきなりモンスターが誘引されてきたらビックリするからさ」
「ゴメン、ゴメン。何だか不意打ちとか受けそうだし、面倒臭そうだなーって思ったら使ってた。意識してなかったから完全に昔の癖で使ってたわ。自分の力が落ちてるって自覚しなきゃ駄目ねー」
「本当にね、頼むよ」
そう言って僕達はジャングルの中に入って行く。敵の位置は掴めているのでそこまでの苦労は無いが、毒を治す薬は持っていない。実は毒消しを探したんだけど、ビックリするぐらい高かった。1本で3200デルもしたんだ。
あまりにも高くて買うのを止めたよ。もし毒にやられたらと思ってラスティアに話を聞くと、気合いで我慢するそうだ。そもそも毒消しを持ってダンジョン攻略をする奴などいないそうで、大多数は【回復魔法】が使える者を連れて行くんだって。
流石に知り合いで【回復魔法】を使えるのはナツだけだし無理だね。そう思っているとラスティアが【クリアポイズン】の魔法陣を教えてくれた。どうも【回復魔法】は重要なので持っていたらしいが、それを今ごろ思い出したそうだ。
まあ、ありがたく思いつつも何回か使うと、待望の【回復魔法】スキルを習得した。しかしレベルが上げにくいな、対象が僕かラスティアしかいないし。
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※スキル:【回復魔法】を習得しました
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【回復魔法】の初期魔法は【ファーストエイド】という魔法だった。多少のHPが回復するのと状態異常の<出血>を治せるらしい、今まで碌に状態異常を受けた事はないけど、重要そうだな。
しっかし【浄化魔法】もラスティアから習えば良かった。そう言うと、ラスティアは【浄化魔法】を使えなかったらしい。つまり【浄化魔法】はポイントで習得して正解だったのだ。過去の僕よ、ナイス!。
周囲の魔物を先制攻撃で倒しつつ、階段を見つけたので下る。7階に到達したものの出てくるモンスターは変わらず。魔物の強さよりも環境の厄介さで攻撃してくるタイプだろうか?。
ウロウロしつつ魔物を倒し、開けた所で休憩しつつ探索していく。階段を見つけたので8階に下りると、普通のオークが居なくなった代わりにゴブリン・アーチャーが出現し始めた。森で弓兵とか、また厄介な事を……!。
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使い魔:ラスティアのレベルが上がりました
使い魔:ラスティアのレベルが上がりました
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<ゴブリン・アーチャー> 魔物 Lv1
弓が使えるようになったゴブリン。粗末な弓と矢だが、毒が塗られている事などもあり、侮ってはいけない
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本当に厄介で面倒だ。向こうに襲われる前に、こちらから積極的に倒す必要がある。面倒だからとスルーすると実は気付いていて、後ろから射ってくる事もあるらしい。ゴブリンらしく、嫌がらせは得意のようだ。
面倒臭いながらも階段を見つけ、9階に下りていく。階段近くは比較的戦いやすいので、階段近くでラスティアに敵を引き付けてもらう。4階と同じく、この階はモンスターの数が多いんだ。
本気でモンスターを引きつけ始めたのだろう、ラスティアは踊り始めた。ベリーダンスのような、もしくはカーニバルのダンスのような不可思議な踊りを始めると、モンスターが猛烈に集まってくる。
僕は必死になって【ダークウェーブ】を使いつつ戦い、他の皆も必死になって敵を叩き潰してくれた。唯一ありがたかったのは、魅了されているとゴブリン・アーチャーが弓を使わなかった事だ。
ただ集まっているだけなら、大量に射かけられていたに違いない。
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種族レベルが上がりました
メイン職業:ネクロマンサー・下級のレベルが上がりました
使い魔:ラスティアのレベルが上がりました
使い魔:ラスティアのレベルが上がりました
使い魔:ラスティアのレベルが上がりました
召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました
召喚モンスター:セナのレネルが上がりました
召喚モンスター:ドースのレベルが上がりました
召喚モンスター:フォグのレベルが上がりました
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このレベルアップラッシュでどれだけ大変だったか分かってもらえると思う。それにしても誘惑し続けていたからか、ラスティアのレベルアップが凄いなあ。




