0638・戦争イベント二日目の朝
2001年 1月13日 土曜日 AM8:22
今日も戦争イベントに参加するんだけど、エルフェリアに参加する人達がほぼ居ない所為で、参加できない人が続出している。とはいえ戦争イベントはそもそも参加したい人が参加する仕様になってるっぽく、これほど多くの参加は想定外っぽいね。
それでも設定を変えない辺りは、何か理由があるんだろうと思う。考え事をしながらも雑事を熟し、終わったらゲームにログイン。するとお詫びと説明が流れた。
何の事かと思いつつ読むと、星間魔法陣を巡る戦争は戦争フィールドで行い、そのイベントでは双方の陣営が合計で一万人までしか参加できない。しかし同星同士の戦争の場合、この人数制限は存在しないとの事。代わりに該当の国まで行って参加を申し込まなきゃいけないようだ。
つまりポチポチで参加できるけど人数制限のある方と、ガチな戦争のように参加しなきゃいけないけど人数制限の無い戦争。そういう風に分かれているようだ。そしてこの仕様は変える気が無い事も明言されている。
その理由は簡単で、大量のプレイヤーが片方に味方すると絶対に勝ってしまうからだ。運営としては一応どちらの国にも勝てるチャンスを持たせておきたいらしい。その辺りは担保していないと困るんだろうね。システム的に。
理由は理解出来たのでログインし、いつも通りに訓練場に行くと、何故かセナとアルゼルが戦っていた。何をやってるんだと思うも、どうやら修行にはなっているようだ。セナの方が分が悪い。
僕は観戦しているファルに声を掛け、次に戦っているアルゼルにも声を掛けた。その後はラスティアとキャスティの寝室をノックして外から声を掛け、それが終わったら売り上げ等を確認したりしてからソファーの部屋へ。
いつもの三人を呼び出すと皆に挨拶し、ファルに朝食の手伝いへと行ってもらった。
「コトブキ、おはよう。今日のログイン時のお詫び読んだ? 大体の人はアレで納得した感じ。掲示板を見てもそういう書き込みで溢れてる」
「おはよう。僕もちゃんと読んだけど、納得できるだけの説得力はあったかな? 何といっても同じ星の争いと、星間魔法陣を巡る争いは違うと言われたらそれまでだしね」
「コトブキ君、おはよう。これでビスティオが勝ったら、次からは大量のプレイヤーがビスティオ側で参戦できるって事だね。そうやって向こうに進出していくんだろうけど、兵隊さんは大丈夫かな?」
「おはようございます。そこですよね、問題は。兵士の数が減りすぎると、向こうから攻められた場合に守りきれないでしょう。そうすると折角向こうに橋頭堡を築いたのに、結局奪われるという事になりかねませんよ」
「そうなると二進も三進も行かなくなるね。攻め込んでは奪われ、攻め込んでは奪われって感じで、星間魔法陣を巡る戦いばっかりしてそう。むしろ橋頭堡を維持する方が大変なんじゃないの?」
「多分ね。だからこそ橋頭堡を巡る争いには人数制限が無いんだろう。確実に守れるようにって事なんだと思うけど、時間稼ぎが出来るだけの兵も常駐させなきゃいけないだろうし、そこまで出来る国がどれだけあるのかな?」
「国内もガタガタになりそうだし大変ねえ。戦争は特に色々な物を消費するから、迂闊に戦端を開くと両国が大変な事になるんだけど……」
「そんな事が分かってたら、ビスティオはそもそも戦争を始めてないでしょうよ。それに、まさかエルフェリアがあそこまで最低だとは思ってもみなかったでしょうしね。私達であってさえ、アレは無いって思うし」
「流石に拷問して作ったとなれば話が違いますし、そこまでの事をやる連中が星の向こうに居たんですから話も変わってきているでしょう。場合によっては殲滅も考えているでしょうし、後の事も考え始めたと思いますよ?」
「このままゆっくりと勝利を続けていく訳にもいかなくなりましたしね。<死の欠片>も出て来ている以上は、生半可な事では終わらせられないでしょう。拷問の事も含めて色々と大き過ぎます」
「閉じられた国だったからこそ今まで明らかにならなかったけど、ビスティオが攻めた事で明らかになった? その割には向こうから出してきてるんだよねえ。普通は秘匿するような物の筈なのに」
「それは良いんだけど、そろそろアルゼルとエウリティアを呼ばないと怒るんじゃない?」
そうラスティアが言うと、トモエとイルは慌てたように消える。おそらくマイルームに行ったんだろうけど、アルゼルは多分まだ僕のマイルームに居るんじないかな?。
そう思っていると、トモエは帰って来て呼び出しているのにイルが帰ってこない。多分だけど自分のマイルームに居なくて焦ってるんだろう。僕の方のマイルームに居るって教えておいた方が良かったかな?。
戻ってきたイルがすぐに召喚したけど、アルゼルは何だか楽しそうな顔をしてるね? という事は訓練場にあのまま居たかな?。
「いやー、楽しかったよー。思ってる以上にあの召喚モンスターというかアンデッド達って強いねー。予想以上に楽しめたよー」
「そんな事をしていたのかい? 適当に食べ続けていたのだとばかり思っていたよ。訓練場って所で戦っていたのかな?」
「そうそう。予想以上に戦えるっていうか、力とかでゴリ押ししてこないんだよねー。あとスキルぶんぶんするんじゃなくて、ジッと隙を探す感じー?」
「ほうほう。ネクロマンサーでそれは珍しい。基本的にネクロマンサーの召喚するアンデッドは、スキルを振り回したり力で相手を潰そうとするものだがね? ……そういえば昨日の戦いでも、そんな素振りは無かったか」
「特にコトブキの召喚モンスターにそれは無いでしょ。コトブキ自ら相手にしたり、どうせ<影の剣士>とバトってるんでしょうしね」
「そんな事をしているからこそ強いんでしょうね。私も<鬼面武者>や<影の剣士>と戦わせたりしてますけど、やはり相当に厳しいですよ? そもそも練習になっているのかすら分かりません」
「コトブキはどうやってるのよ?」
「僕の場合は<影の剣士>と戦ってるところを見せたり、後は皆と一緒に戦ったりかなぁ? 最初は入り乱れる感じで戦ってたんだけど、すぐに僕を落とさないとどうにもならないって気付いたのか、皆で襲ってくるようになったよ」
「それを捌いてるっていうのも流石だとは思うけど、そんな事を繰り返していたら強くなるのは当たり前」
「まあ、スキルを使ってどうこうとはなってないね。そんな隙を晒すほど仲間達は阿呆じゃないし」
「普通のネクロマンサーは基本的に召喚アンデッドを壁としか使わないのだ。だから大した事もなく簡単に勝てるのだが、君の使役の仕方は完全に<破滅>殿と同じだな。完全に個々が独立して戦う形か」
「弟子だから当然なんじゃないのー? このまま行くと第二の<破滅>が生まれるねー」
「それはいったい何の悪夢なのか、もしくは何処の地獄なのだろうな? あの<破滅>殿がもう一人誕生するとか、この世の悲劇だろう」
「もしくはそれを通り越して、喜劇ー?」
「カンカン」
何だか散々な言われようだけど、朝食が出来たみたいだからさっさと食べに行こうか。ここで下らない話をしていても仕方ないし。
僕達は食堂に行って朝食をとり、それが終わったらマイルームへと戻って戦争に参加する。今日は9911人なのであっさり入れたけど、昨日の<死の欠片>の事があって躊躇してる人とか居るのかな?。
もしくはどんどんと倒されているかだけど、行ってみれば分かるか。




