表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
631/661

0631・ビスティオとエルフェリアの戦争 その9




 両手に繊維で縛ったレイピアを持っている為、僕は両手が塞がってしまっている。とはいえ仲間達に任せておけばどうにでもなるだろう。そう思いつつ東へと戻る。その後は何人かエルフが出たが、下っ端ばかりだった。



 ―――――――――――――――


 召喚モンスター:ファルのレベルが上がりました


 ―――――――――――――――



 ビスティオ側の魔法陣へと辿り着いたので、伯爵家の長男だったというバカ兵士に声を掛けて上の立場の人を呼んでもらったんだけど、声をかけただけで緊張しきりになっていた。しかも尻尾が少し丸まってたので、本気で怯えているらしい。ウチのサブロウタならあり得ない事だ。


 まあ、サブロウタはロボドッグなので、丸まる尻尾なんて持ってないんだけどね。あるのは金属で出来た尻尾だし。っと、前に見た隊長が来てくれたようだ。



 「君が私に用事があるとは……と思ったが、両手に持っているソレだね?」


 「ええ。僕が持っていると悪行と見做されるかもしれないので、紐で縛って持って来たんですよ。手で持たなければ大丈夫みたいでして、それでこんな形になったんです。後、瘴気結晶は普通に持てましたので持って来ています」



 そう言って、僕はレイピアを渡して硬堅木の繊維を解く。そして瘴気結晶を渡すと、隊長は感謝を言って持って行った。僕もそれで一息吐き、ちょっと早めにマイルームへ戻ろうかと考えていたら声を掛けられた。



 「コトブキ、お前何処に居たんだよ! 探しても見つからないし、森の中をずっとウロウロしてたんだぜ?」


 「皆、まさかここで会うとは思ってなかったよ。戦争フィールドだとメッセージが飛ばせないから聞けなくてさ、仕方なく西へと行ってたんだ。流石に皆が真っ直ぐ北西に突撃したりはしないだろうって思ってね」


 「確かに突撃しなかったけど、私達が行っていたのは北側よ。まさか西へ行くとは思わなかったわ。おかげでこんな時間に会うなんてね。私達も一旦戻る為に魔法陣まで帰ってきたんだけど、そこでようやくよ?」


 「それよりコトブキ、ラスティアとキャスティが居ない。二人はいったいどうしたの? 死んだ?」


 「死んでないよ。エルフ側が持っている武器があまりに酷いから、大天使を呼ぼうとしたら向こうから来たんだ。大悪魔も一緒に来て見てたんだけど、あまりに酷いって事で、聖人と魔女と天使と悪魔を集めて話をするってさ。それで連れて行かれたんだよ」


 「あまりに酷いってどういう事? 私達が出会ったエルフは、変な武器なんて持ってなかったよ?」


 「それじゃ下っ端エルフにしか会ってないんだと思うよ。偉そうなエルフはたいてい拷問をして作った武器を持っていたからね。鑑定結果にも人間の血と肉と精神と瘴気結晶で呪術的に作られた剣って出てたし」


 「じゅじゅつてき……って、もしかして呪いですか!?」


 「そう。人間を拷問して殺し、その果てに作りだしたんだってさ。状態異常が付いているんだけど、これがまあ酷いんだよ。【ライフイーター】【パニック】【バーサーク】【パラライズ】【カース】。今までで確認したのはこの五つ」


 「【ライフイーター】って、絶対に生命力を奪っていくヤツじゃんか。エルフェリアのエルフってマシで碌な奴等じゃねーな。トチ狂ってんじゃねーの? こっちをやたらに見下していた癖にそれかよ」


 「本当にね。どこが〝素晴らしい種族〟なのかしら、唯の精神異常者集団じゃないの。むしろ〝素晴らしく〟トチ狂ってますね、って褒めてあげるわよ。どこぞのチョビヒゲ党みたいだし」


 「ハイル、エルフ!」


 「もー……止めてよ、イル。それ言うと冗談じゃ済まない場合があるんだからさ。言いたくなる気持ちはよく分かるけど」


 「でも確かにそんな感じですよね。自分達の為なら平然と他種族を実験動物扱いです。やって良い事と悪い事。いえ、物事の善悪すらまともじゃないんでしょう」


 「現実でも善悪なんて狂ってるけどな。ホロコーストは許されないのに、原爆での虐殺は何故か許されてるだろ? イエローモンキーに何をやってもいいなんてのは、今もって変わってねえよ。その後のベト○ム戦争を含めて、あいつら虐殺大好きじゃねーか。二次の時に日本兵の頭蓋骨を戦利品として持ち帰ったような連中だぞ?」


 「まあ、クソな現実は横に置いておくとして、一旦戻ろうか。皆で戦うのは午後になってからだね」


 「まあ、そうだな。もうこんな時間だし」



 僕達は魔法陣から戦争フィールドを脱出し、マイルームへと戻ってきた。解散して自由行動とし、僕はファルを召喚する事を伝えて師匠の家のソファーの部屋へと転移。すると、何故かラスティアとキャスティと見知らぬ女性が二人居た。誰かは知らないが、ファルを呼び出すのが先だね。



 「コトブキ、ちょうど良いところに来たわ。……召喚は終わったわね。こいつは【暴食】の悪魔でアルゼル。で、そっちは……キャスティが紹介した方が良いでしょうね」


 「【慈悲】の天使でエウリティアと言います。私の同僚みたいなものですが、どうも今回の事で私達と共闘したいと申し出がありました。私達としては受けたいのですが……」


 「僕としては構わないけど、そちらは問題、ないみたいだね」



 目の前で、テーブルに置いてあるお菓子をこれでもかと食べている悪魔と天使を見ると、特に何も問題ないのが分かるね。とりあえず話が出来ないっぽいので見ていると、皆がソファーの部屋にやってきた。



 「小さい子と男装の麗人? 何だか妙な取り合わせだけど、この二人はいったい誰なの? 初めて見るわね?」


 「【暴食】の悪魔がこっちで、【慈悲】の天使がそっちだって。何でも今回の戦争で共闘したいらしいよ。何故かお菓子に夢中だけどさ」



 【暴食】の悪魔が小さいゴスロリドレス姿の女の子で、チョコレートを気に入って食べている、そして【慈悲】の天使が男装の麗人で執事服みたいなのを着てる方だ。何故かこっちはあんころ餅を食べているけど、壮絶に似合ってないね。


 それはともかくとして、二人が満足するまで食べるのを待ち、食べ終わったら説明を開始する。



 「エルフェリアのエルフが持っていた物の中で、発見して押収したのは五つ。【ライフイーター】【パニック】【バーサーク】【パラライズ】【カース】が付いていたよ。そのうち四つはビスティオに預けてある」


 「持った時点で危険だと思うのですが、悪行かどうかも含めて大丈夫でしたか?」


 「瘴気結晶の方は触っても問題なし。ただし武器の方は分からなかったから、紐を縛り付けてそれで持って帰ったよ。だから手は触れてない。硬堅木の繊維だから千切れる事は無かったね」


 「そうですか、それなら大丈夫ですね。紐か縄を持っていけば持ち運びは出来るでしょう。……って、何をしてるんですか、何を」



 【慈悲】の天使であるエウリティアさんが、何故かトモエの前に膝をついてうやうやしく片手をとった。甲に口付けでもしそうな態勢だね。



 「うむ。こちらのお嬢さんなら、ついて行っても問題の無い実力をしているみたいなのでな。私を使い熟す自信はあるかな?」


 「協力してくれるなら助かるけど、代わりに求めてるのは……もしかしてお菓子?」


 「ボクは君! それなりに強そうだし、美味しい物を食べさせてくれるならいーよー?」


 「お金は余ってるから、特に問題ない。でも【暴食】の悪魔はお腹が空くと暴れると聞いた。そこは大丈夫?」


 「大丈夫じゃないから、頑張ってねー」


 「むう……。仕方ない、頑張る」


 「私も頑張るしかないわね。コトブキに対するキャスティと同じじゃないから、逃げられそうだけど。所有紋とかよく分からないし」


 「それはお嬢さんがしっかりすればいいだけさ。それにしても随分な格好だね。私と踊ってみるかい?」


 「片方が執事服なら、もう片方はドレスじゃなきゃ駄目でしょ。今の私はライダースーツも脱いで、いつもの格好なんだけど?」


 「【慈悲】の天使は女好きで、男に興味が無いから仕方ないんじゃない? ある意味で私の対極に位置しているヤツだし」


 「「「「えぇっ!?」」」」



 このゲーム、そういうキャラもブッ込んでくるの? ……そういえば【嫉妬】は男の娘だったんだっけ? 色々居るなぁ、<レトロワールド>。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ