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0623・ビスティオとエルフェリアの戦争




 森の地形ではあるものの、フィーゴ以外を召喚して森の中へと進む。様々な気配が大量にある所為で、どれが知り合いの気配かサッパリ分からない。おそらく皆は固まって行動している筈なので、複数が一塊になっているのを探せば見つかると思われる。


 そもそも僕達が出てくる魔法陣自体が既に森の中なのだから、森から出る事は不可能だ。魔法陣の近くには救護所のような場所もあり、ビスティオの兵であれば治療が受けられるらしい。死んでも復活するプレイヤーは駄目みたいだね。


 まあ、死んで復活するような連中に使う薬は無いだろう。ましてや自国民でもないんだから、自国の兵士を優先するに決まってる。これはどんな国だって当たり前だろう。誰だって知り合いと赤の他人なら、知り合いを優先するに決まってるんだし。


 そんな事をつらつらと考えながら西に向かって歩いていると、こちらに向かって悪意が飛んできた。おそらくエルフが近くに居るんだろう。僕は皆に【念話】で声を掛けておく。


 皆も前方に気を配りながら、それでも「気付いてませんよ」という感じで進んで行く。すると突然毒の胞子が流れてきた。これは【木魔法】の【ポイズンパラン】か。すぐにドースが【エアカーテン】を使って上に弾く。


 僕は【クリアポイズン】を使ってラスティアとキャスティと自分の毒を回復。仲間達はエルフの居る方向に対して魔法で攻撃を加えていく。そして慌てたエルフが木から落ちてきた途端、セスが闘気を篭めて【サンダーバインド】を使う。


 その【サンダーバインド】に捕まっている隙に、セナが光結晶のヌンチャクで頭をカチ割った。その一撃で即死したエルフ。相手が人型だけど、何も思わないね。もしかしたらプレイヤーの中には心にダメージを受けている人が居るかもしれない。


 とはいえグロ映像とまではなっていないので、おそらく問題は無い筈。カチ割られたエルフは派手に血を噴出したけど、中身が出てきたりはしていないのでグロくはない。あくまでも僕基準では、だけど。


 こちらに向けられた悪意は先程のものだけだったので、改めて先へと進む。



 「こっちも【木魔法】が使えるキャスティが居るから使いたいんだけど、味方も巻き添えを喰うのがねえ……使い難いところよ。私達だけなら「やっちゃえ」って言うんだけど、ビスティオの兵士も居るから使えないでしょ?」


 「ええ、流石に無理ですね。私達だけなら、私、ラスティア、コトブキしか状態異常を受けないから良いのですが、ビスティオの兵士を巻き込むと面倒な文句が飛んでくるでしょう」


 「ネクロマンサーの召喚モンスターっていうか、アンデッドってどんな状態異常を受けるんだっけ? 確か全ての状態異常が効かない訳じゃなかったわよね?」


 「ええ。盲目系と魅了系と石化は受けます。他は受けなかった筈ですが、この三つも受けるとマズいので気を付けなければいけません。特に魅了系は厄介ですから」


 「とはいえ送還は出来る筈だから、強制的に送還してしまえば済むけどね。盲目は微妙だなぁ。解除出来れば戦列に復帰出来るから送還するのも微妙だしさ。目が見えなくなってるだけだし、気配で戦いそうな気もする」


 「セナなら普通にするんじゃない? ただし相手の攻撃は防げそうにないから、一気呵成に攻めないと勝てないでしょうけどね。1対1なら」


 「仲間が居ますから今は特に問題ないですね。無闇に動かずジッとしているのが一番でしょう。でないと周りに迷惑を掛けますし、仲間に攻撃が当たっても困りますから」


 「おっと、またこっちに悪意を向けてくる奴が居るね。木の上に居るのはエルフと考えていいのかな? ……っと、危ない」



 僕は飛んできた矢を棒で弾き、皆は即座に戦闘態勢をとる。今のところは気配も魔力も気付けているので問題ないが、いつ僕達が気付けないような相手が来るかは分からないので、慎重に進んでいこう。


 先程のエルフは木の上に居たのだが、キャスティの【フラッシュ】を眼に喰らって落ちてきた。起き上がる隙も呻く暇も与えず、ラスティアが接近して光結晶の短剣で首を切り、あっさりと鮮血を噴き出して死亡。死体はその場に捨てて行く。



 「それにしても流れるように処理しましたね。今までは長柄が面白くて威力もあったので遊んでいましたけど、流石は元暗殺者といったところですか。暗闇の造魔が相手では本領を発揮できませんでしたが、人型相手では見事と言うほかありませんね」


 「まあねえ。元々の私の戦い方はこういうのだし、体でどうのこうのは正直に言ってついでなのよ。本来は暗殺術だけで十分に殺して来れたし」


 「体を使った方が楽だからなのか、もしくは人肌恋しかっただけか。貴女の場合、どちらもあり得るから困るところなのですよね」


 「別にいいじゃない。気にしない、気にしない」



 そんな話をしつつも少し気になったのでエルフの持ち物を探る。特に目ぼしい物は無かったので止めたが、瘴気系のアイテムを持っている者も居るだろうから気をつけないとね。



 「コトブキ、流石に死体を漁るのは悪人のする事よ。戦争だからどうせ碌な物も持ってないでしょうし、止めておきなさい」


 「盗ろうと思ったんじゃないよ、瘴気系のアイテムを持ってないか確認してただけ。それに漁る程度じゃ悪行度は増えてないね。実際に奪わないと増えないみたい」


 「成る程、ネクロマンサーの大敵を探していた訳ですか。確かに持っている者も要るかもしれませんね。私達も対ネクロマンサーに関しては知りませんし、分からないというのが正直なところです」


 「普通のネクロマンサーなら普通に倒せばいいだけだし、破滅だったらそもそも戦わないしね。昔、破滅の暗殺を依頼された事があったけど、秒で断ったわよ。あんな化け物をどうやったら暗殺出来るのか、むしろこっちが聞きたかったわね」


 「どう足掻いても倒せない相手を暗殺しろって言っているようなものですからね。むしろラスティアを殺す為の依頼でしょう、それは」


 「もしくは共倒れ? まあ、依頼してきたバカどもも私が勝てると思ってなかったでしょうけどね。だからこそキャスティが言ったように、私を殺そうとする依頼だったんでしょ。その後、そいつらを暗殺する仕事を請けて殺したから真相は分からないけど」


 「っと、何者かが近付いてきたね。気配や魔力は隠蔽されてるけど、精神が隠蔽できてない。ついでに敵意や殺気ぐらいは隠せばいいのに、それも出来てないから実力者ではないのかな?」



 僕がそう言うと、三人のエルフを連れた偉そうなエルフが現れた。あからさまにこちらを見下しているが、こいつはちょっと上のエルフなのかな? それでも少しは隠せと言いたいけどね。



 「殺れ」


 「「「ハッ!」」」



 無駄口を叩く気は無いようだけど、何故かラスティアに対して強い殺気を向けているね。もしかして……。



 「もしかして先ほど殺したエルフの縁者か何かかな? それでラスティアに強い殺気を向けているなら分かりやすいんだけど」


 「あらら。コトブキに強い殺気をぶつけてるって事は、正解って事ね。戦場で怒りに呑まれたら死ぬって知らないのかしら? そんなに死なせたくなかったのなら、戦いに出さなければ良かったでしょうにねえ」


 「死ね」



 怒りが篭もり過ぎて、まともな会話にもならないらしい。親類縁者が殺されたのなら分からなくもないけど、ここって戦場なんだよね。死なないなんて誰も言えない場所だよ? 何故怒っているのか理解不能だ。


 ラスティアの言う通り、死なせたくなかったのなら戦いの場に出さなければ良かったんだよ。それしか言い様が無い。


622話の誤字報告は伝わり難い文章だったのが原因のようですので、文章を少し修正しておきました。

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