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0621・7000人の枠




 2001年 1月12日 金曜日 AM8:18



 今日はビスティオとエルフェリアの戦争が起こる日だ。どうやって始まるのかとか色々と分からない事はあるけど、なるべく生き残って経験値を稼ぎたいところだね。いきなり虐殺されるという事は無いだろうから、慎重に戦闘を重ねよう。


 朝の雑事などを全て終わらせたらログイン。そしてイベントの詳細を調べていると、戦争に参加するかどうかを決められるページがあった。確認すると、既にビスティオ側は埋まっている。どうやら7000人分の枠があったようだが、早くに埋まったらしい。


 仕方なくヘルプを確認すると、どうやら死者が出ると入れるようになるらしいので、それまで待つ事にして三人に声を掛ける。その後ソファーの部屋へと行くと、皆から一斉に声を掛けられた。



 「コトブキ! ビスティオ側に入った!?」


 「ごめん、先に三人を呼ぶから」



 そう言って、僕はラスティアとキャスティとファルを呼び出す。ファルに朝食を頼むと、皆の話に耳を傾ける事にする。おそらく慌ててるという事は、皆は既にビスティオ側での参戦が決まってしまっているのだろう。



 「皆が聞きたい事は分かるけど、僕がログインした時には既に枠は埋まってたよ。だから他のプレイヤーが死ぬまで参戦は出来ないね。でも、そこまで時間は掛からないんじゃないかな?」


 「まあ、参戦してすぐに死ぬヤツとか出そうだけどさ。とりあえずコトブキが入ってくるまでは無理して戦う必要は無いわね。特にラスティアとキャスティが居ないのは困るし」


 「そうだよね。エルフ側のやり口がある程度分かる人が居ると違う筈だし、コトブキ君が居ないのはちょっと大変だよ。無理しないように出来るだけ逃げ回ろう。もしくは戦うにしても遠距離だね」


 「それがいい。私も弓矢をメインにするつもりだから、遠距離の方が良いし有利。どうせエルフといえば弓矢って感じで使ってくるだろうし、コトブキが居ないと前衛の盾が大きく減る」


 「そういえばそうですね。キャスティとシグマが居ないだけで痛いですし、私のリビングアーマーはアイアンなので足が遅いですから。あまり頼られても困ります。防御は高いので簡単にはやられないんですけど……」


 「それでも暗闇ダンジョンでは前に居るじゃない。レイスを憑依させているみたいだけど」


 「アレも迷ったんですが、アイアンにするとあまりにも遅かったので仕方なくなんです。できればコトブキさんとは別の進化先にしたかったんですけどね。レイスの憑依が優秀すぎるんですよ」


 「早さとか精神とか上がるもんねー。あれはズルいと思うけど、そういう仲間だから仕方ないのかな。しかもネクロマンサーも憑依してもらえるし」


 「代わりに力とか耐久は欠片も上がらないけどね。それに一人だけ強くなっても限度があるし、それだけで戦闘に勝てるわけじゃないよ。全体的に強くなるしかないし、パーティー枠を一つ潰してるからね?」


 「そういえばそうか。アレって枠を一つ潰すのよね。それだけの価値はあると思うけど、難しいところでもあるか。単純に一人居ない訳だし」


 「その部分を削っても役に立つと思うか、それとも他の仲間を入れるかはネクロマンサー次第。コトブキなら入れた方が良いと思うけど、戦闘が下手な人にとっては微妙かも」


 「仲間に憑依させて強くするって場合もあるけど、頭数が減るっていうのは単純に厳しいからね。下手な連中じゃ活かせないかな」


 「カンカン」



 ファルがやってきたので食堂に移動すると、師匠だけでなくマリアさんまで居た。また来ているみたいだけど、どうしたんだろう?。



 「戦争の情報の対価に売ってもらいに来ただけよ。ちょっと危険な薬だけど影の子達は使えるからね」


 「お主らが採ってきたヘヴンズクラッシュを用いた自白剤だな。ちょこちょことブラッディアに間者を送ってきておったりする国もあるのでな、そやつらに口を割らせたいという事よ。まあ、廃人になっても仕方あるまい。間者なのだしな」


 「まあ、そうなりたくなければ来なければ良いだけですしね。しかしブラッディアを狙ってくる国なんてあるんですか? 考え付きませんけど……」


 「国を取るという意味では狙ってこんの。どちらかと言うと禁制の物を売ったりとか、怪しい薬を売り払ったりじゃのう。何処の国も神経を尖らせてる奴等も含めてだ」


 「それぞれの領主に賄賂を渡してー、とかね。そういった暗躍は何処の国に対してもあるし、一部の商人が結託して危ない薬を流したりするのよ。面倒な事だけど、こういうのは無くならないからね」


 「他国の間者の場合は情報と技術を抜いたりだの。国の中枢の情報などは難しいので、地方の領主の弱みを握ったりとかが主になる。ブラッディアとて無い訳ではないからな。それでも他の国のように隠し子などは少なかった筈だ」


 「アンデッドの人達が見張ってますし、すぐに報告されそうですからね。ブラッディアで領主をやるって簡単じゃないでしょう。そもそも他の国とトップが違い過ぎますし」


 「まあのう。それはともかく、お主らは戦争に参戦できたか? 神どもの事だし、稀人を除け者にするとは思えんが……」


 「僕は無理でしたね。7000人分の枠があったのですが、既に埋まってました。誰かが死亡して空きが出来ないと参戦できないみたいです。なので少々遅れた形で行く事になるでしょう」


 「まあ、多少遅れる程度なら問題あるまい。少なくとも稀人が協力して勝ってもらわんと困るのでな。もしエルフェリアが勝ってこちらに進出してきてみろ、必ず鬱陶しい事をしてくるぞ」


 「そうなったら間違いなく潰しに行くでしょう、何処かの誰かさんは。そういう意味では安全なんだけど、ビスティオの領地を得てすぐ、こっちに喧嘩を売ってくるかもしれないのがねえ」


 「こちらの土地を持っても迂闊な行動はせんと思うが、鬱陶しい嫌がらせはしてくる可能性が高いからのう。前の事を根に持っての抗議とかの」


 「あれは破滅が悪いでしょ。【強欲】を放り込んだのはやりすぎだと思うわよ? ただしその後に来たエルフェリアのヤツがクズ過ぎたみたいだけど」


 「あそこのは誰が来てもクズしかいないでしょ。つまり誰が来ても激怒してたって事よ」


 「まあ、それはね」



 誰が来ても同じ結果だったというのは凄いけど、食事も終わったし、そろそろ皆は戦争の準備をしなきゃいけない。僕はどうしようかな? 皆が居ないし、久しぶりに仲間達と訓練場ででも戦うか。良い訓練になりそうだし。


 ソファーの部屋からマイルームへと行き、イベントを調べるとそろそろ始まりそうだった。AM9:00からだから、ちょっと見てようかな? もしかしたらすぐに死人が出て参戦できるかもしれないし。


 マイルームの自分が使っている部屋に入ると、参戦する為のページを開く。エルフェリアに味方している人が14人居るが、いったい何処の誰が向こうで参戦してるんだろう? おそらく1人は検証班が居ると思うんだけど、14人って微妙に多い気がする。


 もしかしたらエルフでやっているプレイヤーが、この後の事を見越して参戦してるのかな? ここで味方しておけば、この後負けたエルフェリアで少しは扱いがマシになるとか思って。


 でもエルフ至上主義のレイシストだからね。可能性は低そう。むしろ負けたのをプレイヤーの所為にしそうな気がする。レイシストって基本的に他責思考だし。


 「自分は悪くない、アイツが悪い」を当たり前に言う連中だからね。余計に扱いが悪くなって、エルフェリアに協力する人はゼロになる予感がする。検証班ですら嫌がりそう。


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