0605・戻って加工
赤の魔法陣である脱出の魔法陣で出た僕達は、さっさと師匠の家に戻って休息にした。僕はファルを残して、それ以外をマイルームへと送り。早速とばかりに物作りを始める。イルには言ってあるので文句は言われない、と思う。
聖結晶は1つでそれなりの量はある為、本当はもっと手に入る確率は低いんだろう。にも関わらず5回連続だったのは嫌な予感がしないでもない。でもそれを口には出したくないんだよね、口に出すと本当になる恐れがあるから、意地でも僕は口にしない。
それはともかく、慎重に聖結晶を精錬しよう。聖結晶が含まれている鉱石ではあるけど、他の不純物も混じってるからね。まずはいつも通りに精錬して純度を高めておく。それから短刀作りを始めよう。
……思っているより精錬が難しかったね。簡単には聖結晶のみに出来なかったけど、何とか上手くいったと思おう。次に短刀を作るんだけど、一体型だからそこまで難しくはない筈だ。
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<短剣> 聖結晶の短刀 品質:6 レア度:6 耐久350
聖結晶のみで作られた短刀。魔法を切り裂き無効化してしまう力を持つが、切れ味が優秀なだけで破壊力と耐久は低い。上手く使わないとすぐに壊れてしまう為、使用者の技量が問われる
攻撃力35 破壊力1 【魔法切断】
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「あっちゃー……短刀ってレトロワールドでは短剣扱いなのかぁ。これじゃ無理だね。仕方ない、小脇差にするか。一応ちゃんと鍔も聖結晶で作っておかないと、小脇差って判断されないかもしれない」
脇差には鍔が無いといけないんだよね。無いと別の名称の物に変わる恐れがあるから。打刀ぐらいの長さで作れば、鍔が付いていようがいまいが刀なんだけどね。長さが短いと合口とかに分類されるかもしれない。
困ったもんだと思うけど、正式に決まっている以上はどうにもならないから仕方ないね。どうせゲームもそれに準拠してるだろうし、こっちが合わせないと駄目だろう。
脇差の分類は3つ。大脇差は打刀と変わらない1尺8寸から2尺の物の事だ。1尺8寸は約54.5センチで2尺は約60.6センチ。十分な長さであり、脇差のイメージよりも長い物になる。
そして中脇差だけど、これは1尺3寸から1尺8寸までの物を指す。1尺3寸は40センチなので、40センチから54.5センチまでの物となる。
最後は小脇差であり、それは1尺3寸未満の物を指す脇差の事を言う。でもそれって短刀の長さと変わらないんだよね。つまり短刀との違いは鍔が有るか無いかだけ。本当にコレしか違いが無いんだよ。
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<短剣> 聖結晶の小脇差 品質:6 レア度:6 耐久370
聖結晶のみで刀身も鍔も作られた小脇差。魔法を切り裂き無効化してしまう力を持つが、切れ味が優秀なだけで破壊力と耐久は低い。上手く使わないとすぐに壊れてしまう為、使用者の技量が問われる
攻撃力35 破壊力1 【魔法切断】
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「なんでさ。小脇差なんだから、ちゃんと刀でしょ。何で短剣カテゴリーになってんの? もしかして長さで決まってる? ……本当に長さなんだとしたら、中脇差を作るしかないな。流石にコレなら大丈夫でしょ」
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<刀> 聖結晶の脇差 品質:6 レア度:6 耐久390
聖結晶のみで刀身も鍔も作られた脇差。魔法を切り裂き無効化してしまう力を持つが、切れ味が優秀なだけで破壊力と耐久は低い。上手く使わないとすぐに壊れてしまう為、使用者の技量が問われる
攻撃力38 破壊力1 【魔法切断】
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「よしよし、やっと出来た。それにしても師匠が言っていた通り、耐久力が低いなぁ。しかしこれでないと魔法が切れないし、流石に仕方ないよね。鉱石が掘れる場所も一ヶ所しか見つけてないし、出来れば午後からも暗闇ダンジョンに行きたいんだけど、大丈夫かな?」
流石に予備の武器が欲しいけど、2本作ろうと思ったら5個じゃ足りない。最低でも後3個は必要だから、運が良ければ午後になんとか揃うと思う。揃ったらいいなあ。
それはともかく完成したんだから皆に見せに行こう。だいたいこんな感じの物だって分かるだろうし、それで必要かどうか皆も判断するだろうしね。要らないなら聖結晶を売ってほしいんだ、まだ実験内容が足りてないから。
僕はマイルームを出るとソファーの部屋へと移動し、イルの隣に座る。そしてインベントリから聖結晶の脇差を取り出すと渡して見せた。
「脇差? 短刀を作るんじゃなかったの?」
「何故かレトロワールドでは小脇差でも短剣カテゴリーで、刀カテゴリーじゃなかったんだ。もしかしたら西洋には鍔の付いた短剣があるからかもしれない。代わりに30センチも無い筈なんだけどね、西洋の短剣は」
「まあ、鍔が付いている付いていないじゃなく、長さで判断されたのは仕方ない事。それが設定なら受け入れるかしかない。とりあえず攻撃力が高いのは分かった。普通に打刀なら40に届きそう」
「攻撃力38だからね。聖結晶のみとはいえ高いよ。相当上手く使わないとポッキリ行きかねないけど、代わりに異様に鋭い。感じ的には<ガ○スの剣>に似てるのかな? 1回って決まってる訳じゃないけど」
「ああ、確かにそんな感じするわね。攻撃力が38もあるのに、耐久が390しかない。これじゃ厳しいわ。それでも木だけの武器よりは耐久が高いけど、それでも今の場所で使える物じゃないわね」
「魔法を切る事には使えるから、全く使えない訳じゃないけどね。コレもしかしたらなんだけど、絶対に受けるしかなかったウェーブ系魔法も潰せるかも」
「一番前に出てくれたら確かに消せるかもしれませんけど、使う人が離れていては難しいのでは?」
「前に出る事は構わないんだけど、右手の棒で戦うからそこまでの威力は出ないよ? 1度は試す為にやらせてもらうけど、そう何度もやっていいものかは迷うね。上手く戦えるならアリだとは思う」
「どうなのかしらね。それもまた午後から試すしかないでしょ。まだ全ての新アイテムを手に入れたとは言い難いし、木も石も集めなきゃいけないからね。特に重結晶と硬堅木は」
「あの2つが一番良い武器の材料になりそうだもんね。特にユウヤ君は張り切ってるみたいだけど……」
「しょうがないですよ。棍棒やメイスは重さが威力に直結しますからね。〝重〟結晶っていうくらいですから重いんでしょうし、それだけ威力は上がると思います」
「それは間違いない。ただし硬堅木は聖結晶とも組み合わせてみないと分からないし、暗闇ダンジョンにとっては白結晶も大きな問題。あれが上手く武器になると、暗闇の造魔を相当楽に倒せる筈」
「そう考えると、60階は長い間ウロウロする必要があるね。いつまで地図が有効かは分からないけど、素材集めはかなり頑張る必要がありそう。仕方ないとはいえ、長そうだなあ……」
「諦めるしかないわね。そもそもガチャ以外で出る所が分からないんだし、今は暗闇ダンジョンで集めるしかないわ。他の方法が無いもの」
そうなんだけど、これから先の事を考えるとどうしてもね。実験に必要な個数だけでも結構な量だし、そこから自分達に必要な量を考えると、長く潜って出るまで稼ぎ続けるしかない。
でも、それを続けてると、いつまで経っても西のダンジョンや運営ダンジョンに行けなさそうなんだよ。それを考えると先の長さにガックリ来る。
とはいえ良い武器になるのも分かってるから、それを得てから行きたいんだよねー。どっちのダンジョンもそろそろ甘い所じゃなくなる筈だしさ。




