0603・暗闇ダンジョン60階 その3
倒し方が分かったのはいいけど、それでも強敵である事に変わりは無い。何と言っても身体能力が高く、更には体が硬い。ガーゴイルのような者だけはあり、それだけ即死はさせ難い。破壊力がないと僕でも無理だ。
僕が首を落とすのに掛かったのは二撃。これでも速い方なんだと思うけど、それでも一撃では終わらなかった。棒を使って戦う方がまだマシかもしれないね。隙があれば全力で殴りつけてやろう。
そう思い武器を交換した後は、地図を描きつつ皆の後ろをついていく。罠を何とか避けながら進み、新しい採取ポイントを発見したものの、まだ黄色い魔法陣が見つからない。これは厄介な事になったなぁ。
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<毒草> デッド草 品質:9 レア度:5
非常に強力な毒性を含む毒草。手で持つだけならば大丈夫だが、その草から滲み出る汁に触れると毒のエキスが指や掌から染みこむ。そうなってしまうと毒が体内に入ってしまう為、非常に危険。素早く袋などに入れてしまおう。薬師が調合に失敗して死亡する事もあるので、そちらも注意
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何て危険な物を出してくるんだ。ついでに手に入ったのが僕だけとか……。これはアレだね、師匠へのお土産にしよう。僕では使い道が無いし、プレイヤーマーケットに流す気にもならない。何に使われるかと考えると、ハッキリ言って流す訳にはいかないんだよね。
プレイヤー同士ならまだ良いんだけど、NPCに何かをする奴が居ないとも限らない。なのでこういった物を流すのは無理。
「だな。俺が手に入れちまったらコトブキに渡すわ。流石に持って帰っても誰も使わないし、危険な毒なんて持って帰るだけで何を言われるか分からないしな。師匠だけじゃなく、他の人達も絶対にキレる」
「だろうね。ウチの師匠なら上手く使うんだろうけど、流石にコレを渡す人は選びたい。怪しい人には渡さない事を徹底しないと」
「まあ、それ以前にこんな所まで来ないと手に入らないんじゃない? 今まで一度も見た事が無いもの。こういうのは取り引きされたりするものの、デッド草とやらは見かけた事が無いのよね。毒草自体は見た事があるんだけど」
「見た事があるのは私もそうですね。私は薬師ですから見ますけど、こんな危険そうな物は初めてですし見た事がありません。手に入ったらすぐにインベントリに入れた方が良いでしょう。危険そうですし」
それはもう名前からして既にアウトでしょ。堂々と〝デッド〟とか言い出してるというか、そういう名前の草だしね。色々とアウトっていうか、持って帰りたくは無いぐらいだよ。それでも持って帰って師匠に聞いてみるしかないしね。
更に進んで行くと再び暗闇の造魔が出てきたので戦う。3体だったので苦戦しなかったうえ、仲間を呼ばれる事も無かったので助かった。それに棒も良く効いていたと思う。確実にダメージを受けるトラップも無いし、次に来た時には瀕死になってみようかな?。
そんな事を考えるくらいは余裕がある。そんな中を進んで行くと、今度は伐採ポイントを発見。皆で木を伐り倒していく。ここは採取回数3回だったけど、イルとユウヤが新アイテムを手に入れた。
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<木材> ライトウッド 品質:7 レア度:5
なかなかに強力な光属性を有する木。これで木製の武器を作るだけで光属性を得る。その光属性を更に増幅する方法はあるので、気になる者は調べよう。上手く使えば強力な武具が作製できるだろう
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<木材> 暗闇の木 品質:8 レア度:5
暗闇ダンジョンにしか生えていない非常に珍しい木。闇の魔力を多く吸い込んで育っており、思っている以上に堅牢な木材として知られる。これで作られた物は高耐久力を誇るが、必ず闇属性が付く。上手く使おう
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この2つは優秀なんだろうけど、それでも欲しいのはライトウッドかな? やはりここでは光属性が輝くからね。それに暗闇の造魔を早く倒す為にも欲しいというのが本音だ。もちろん僕だけじゃなく皆もだけどね。
「今日はなかなか引きが強い気がする。こういう日はなるべくガチャを回しておきたい。次に運が良くなるのはいつか分からないから」
「言いたい事はよく分かるし、俺もそうだ。この暗闇の木はもうちょっと欲しいな。炭にして武器を打ったらどうなるのかに興味がある。師匠いわく木炭からの属性に、打っている武器は影響を受けるんだそうだ。つまり金属の属性もそうだが、使う素材の属性も考える必要があるんだよ」
「鍛冶も地味に大変なんだね。金属を熱して叩くタイミングとか炎の色だけでも大変なのに、更に組み合わせまで考えなきゃいけないの? どうせ素材を変えたら適正な炎の温度も変わるんでしょ?」
「まあな」
「それは大変なんてものじゃ……っと、暗闇の造魔が出てきたわ」
今度は5体か……流石に多いけど泣き言は言ってられないね。そう思い、出来得る限り速攻で倒す。上手く【ライトウェーブ】と闘気バインドで邪魔してくれた御蔭で、仲間を呼ばれる事は無かったよ。やれやれだね。
更に先へと進むと、ようやく黄色い魔法陣を見つけた。コレで死んでも60階に飛べるようになったんだけど、赤い魔法陣が見当たらない。今まではワンセットで置いてあったのに、どうやら60階からは別々のようだ。
それでも登録は出来たからか気分は上向きになってきている。悪い事では無いので、そのままの勢いで暗闇の造魔を蹴散らして進む。声を上げて仲間を呼びそうになったら頭を叩く。それだけでキャンセル出来る事が分かってからは、常時1人は貼りつく事にした。
仲間達が倒して来てくるまで耐えるという戦法が出来あがったんだ。魔法である【ダークウェーブ】や【ブラックボム】は仕方ないけど、それも別の魔法を当てる事で弱める事は出来る。
そうやって時間を稼いでいる間に、1体1体を倒して行く。これが結局のところ一番早かった。やはり数の暴力は偉大だ。
再び進んで行くと、採取ポイントと伐採ポイントがあった。相変わらずガチャなんで出難いけど、今度はナツとアマロさんが新しいのを出したみたいだ。
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<木材> 硬堅木 品質:9 レア度:6
ただひたすらに硬いだけの木。普通なら折れるであろう加重が掛かっても折れないほどに硬い。何の属性も持たないが建材から武具にまで幅広く使われている一品。最も優秀なのは硬さや堅さではなく、癖の無さである
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<毒草> ヘヴンズクラッシュ 品質:9 レア度:6
一応は毒草に分類されているが、正しくは麻薬などと同じ危険な薬の材料である。その名の通り使うと幸福の絶頂に押し上げられるが、その状態で精神が破壊されてしまう。これは単体で使った場合なので、危険な薬品にする場合は薄めて他の素材と混ぜられる
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「こういう薬品も登場するんでしょうけど、ここまで来てコレとは……。新しい物ですけど、手に入れて良かったんでしょうか?」
「私の方は何も問題ない良い物だったけど、それはエンリエッタさんに聞かないと分からないね。何故そんな物が暗闇ダンジョンで手に入るかも謎だし、ガチャにしてもコレはちょっと……」
分かる。何故こんな危ない物が手に入るようになってるのかは、ちょっと謎だよね。運営の匙加減1つなのに出してくるっていうのも、ちょっと不思議かな?。




