0602・暗闇ダンジョン60階 その2
まさかレベル107なんていう3桁超えが出てくるとは思わなかったよ。未だに転移登録の為の黄色い魔法陣は見つけていないので死ぬ訳にはいかない。それもあって、皆も最大限警戒しながら進む。
すると通路に採取場所があったので、早速1人ずつ採取活動をしていく。60階に到達している以上、ここでの良い物も必ず出てくる。もちろんガチャなので出るかどうかは運次第だが、聖結晶があるのは確定なんだ。ならそれ以外も良い物はあるだろう。
僕も採取してみたものの、出たのは<もち米>だった。それ以外はゴミだけだったので、その場に捨てていく。60階まで来たのにも拘らず石が出てくるのは、非常に暗闇ダンジョンらしいなとは思うけどね。
皆の採取も終わったが、誰も60階特有のアイテムは手に入らなかったようだ。コレに関しては運なので仕方ないし、ガチャの厳しいところだけど、それでも課金じゃないだけ良心的だよ。
再び進み始めると、今度は暗闇の造魔が3体も現れた。慌ててエストが天井近くから【ライトウェーブ】を使って敵にダメージを与える。それでエストに対しヘイトが向いたので、前に出たキャスティが【ホワイトボム】を撃つ。
一気に大きなダメージを受けたんだろう。態勢を崩しながらもキャスティにヘイトを向けた瞬間、今度はナツから【ホワイトボム】が飛ぶ。こちらでも大ダメージを受けたのだろう、その後は一気呵成に攻め立てたら素早く勝つ事が出来た。
「ふぅ、お疲れ様。それにしてもレベル3桁は本当に強いね。1戦1戦【ホワイトボム】を使ってたら途中でMPが尽きそうだし、どうしたものかな? でも仲間を呼ばれるとシャレにならないし……」
「そもそも【ブラックボム】まで使ってくる強敵。こっちも結構なダメージを受けるから早めに倒してしまいたい。出来るだけ急所を狙って一気に倒してみる?」
「本当にグレーターと同じなら、そもそも首を刈れるのかって話になってくるぞ? 確か無効じゃなかったか? いや、同じとは限ってないんだけどさ」
「そうだね。とりあえず試してみるしかないと思う。それで行けそうなら、急所狙いでの速攻でいくべき相手だよ。魔法は相手の動きを阻害する形で使いたい。……【ライトバインド】で縛れないかな?」
「闘気バインドなら何とかいけるかもってところじゃない? 明確な弱点は今のところ光属性だけだからね。それで縛れるなら楽になるんだけど、グレーターがモチーフなら難しいかな?」
「まあ、やるだけやってみましょう。仲間を呼ばれたら仕方ないという事で、魔法で一掃する事になるでしょうけど」
そう結論をつけ、僕達は慎重に進んで行く。罠は今までの階層と変わらないので、特に問題になる箇所は無い。地図を描きながら進んでいると、今度は暗闇の造魔が4体現れた。……1戦毎に数が多くなって来てるのが怖いな。
すぐに飛び出したセナが、暗闇の造魔の頭にヌンチャクを叩きつける。それに対して怒った暗闇の造魔は右手の爪で攻撃してきた。しかしセナはトンファーで流し、更にヌンチャクで頭をカチ割るように振るう。直撃したが怒っているだけだな。
ふたたび暗闇の造魔が攻撃してきたけど、セナは素早くかわすと顎をトンファーでカチ上げる。その後、股間をヌンチャクを強打。しかし暗闇の造魔には然して効いていない。やはりそこは急所ではないらしい。
青いガーゴイルみたいな姿だから、もしかしたら打撃系の方が効果が高いんだろうか? そんな事も考えてみるが、僕はダメージを受けている味方を回復させる事に専念する。実際に【闇魔法】が飛んできてダメージを受けているからだ。
特に【ダークウェーブ】が厄介で避けられないので喰らうしかない。能力値も高いんだろう、それなりのダメージを受けてしまうので放ってもおけないんだ。色々な意味で厄介な敵だよ。
闘気バインドは使ったものの、そこまで長く拘束は出来なかった。やはりこのレベルになると拘束は難しいんだろう。拘束が解けた暗闇の造魔が急に口を開く。
「ゴォォォォォォウ」
訳の分からない言葉というか吠えた訳なんだけど、アレが仲間を呼んでいる声かな? 今のところは何も無いけど、どのタイミングで増援が現れるか分からない以上は気を配っておこう。
回復させつつ周囲を探っていると、気配が幾つか近寄ってきた。おそらく暗闇の造魔だと思うんだけど、無限におかわりするんじゃなくて近くの仲間を呼ぶだけ? だとしたら呼ばせた方がいい……訳ないか。
やってくる方向は分かるので、皆に気を付けるように言いながら僕も戦う。とはいえイルが苦戦している以上、おそらくスパッと切り殺せる相手じゃないんだろう。苦労しそうだな。
新たにやってきた暗闇の造魔に対して太刀を抜き、八双に構える。暗闇の造魔は右腕で攻撃してきたので僅かに後ろに下がってスカしたら、すぐに前に出て首に一撃を入れる。左上から右斜め下に振り下ろす形での一撃は、首をそれなりに切り裂いた。
しかし何の痛痒も受けていないかの様な暗闇の造魔に、僕は後ろに下がって様子を見る。すると再び近付いてきて右腕で攻撃してきた為、今度も最小限でかわして首に一撃を入れる。この2度目の攻撃で首を落とされた暗闇の造魔は死亡。動かなくなり消えていった。
「首を落としたら勝てるけど、生物じゃないから落としにくい。相手は石像みたいなイメージで、それの首を落とすと考えればいけると思う。こっちは片付いた」
「了解だ。楽なのは斧か? それとも両手剣かってぐらいだろうな。それでも落とせると分かっただけマシだ。俺なんかは頭をカチ割った方が速いだろ」
そう言いつつユウヤが全力で暗闇の造魔の頭を殴りつけると、首から上が割れて倒れた。どうやら大きな威力の一撃なら倒せるらしい。弱い攻撃では体を破壊できないんだろう。僕の場合は切り裂いたけど、アレは例外扱いなんだろうな。ゲーム的には。
シグマも一撃で首を落としたらしく、暗闇の造魔を即死させた。ようやく戦闘が終了したものの、新しい発見もあったし戦いとしては良かったと思う。
「おつかれー。首を落とすか頭を破壊すればクリティカル扱いになるみたいだ。石像っぽい相手だけど、楽に倒す方法があるなら後はそれを狙うだけで済みそうかな? おそらく切るか、破壊力のある武器で潰すかだと思う」
「おつかれ。流石に私じゃ切れないから、腕とかを狙った方が良いかもしれない。片方でも腕が落ちたら、その分だけ戦いやすくなるから」
「お疲れ様。それが出来るならやればいいけど、私も刀を持つべきかしら? 鞭と短剣は使えるんだけど、それだけなのよ」
「お疲れ様ー。むしろトモエは鞭で縛り付けた方が良いんじゃないの? 前にコトブキ君に鎖鞭を作ってもらってなかった?」
「あれは途中で止めたから作ってもらってないわよ。唯でさえ白魔銀で作るかっていう話だったし、それだとかなりの高値になるから止めたのよ。普通に魔鉄で作ってもらう分には良いかと思い始めて来たわ」
「鎖鞭の先は敢えて円柱かな? ティアドロップ型はよく見るから、鎖分銅みたいな物にしておけばいいと思うよ。当たればかなりの威力だろうし、暗闇の造魔が相手なら相当のダメージが出るんじゃない?」
「お疲れ様です。まあ、そうでしょうね。ここでも白魔銀が猛威を振るいそうですし、やはり集めた方が良いんでしょうか?」
「集められるなら集めた方が良いだろうけど、私達の場合は運に左右されるから何とも言えないかな?」
そうだね。確実に手に入るなら良いんだけど、白魔銀は運の部分も大きいからなぁ。




