0598・最凶ダンジョンについての雑談
2001年 1月8日 月曜日 AM8:22
今日からは普通に素材集めとダンジョン攻略になる。久々だなという気分と共に、また物を作って売るを繰り返す日々が始まった。ま、お金を稼いでおく事は悪い事じゃないから当然のようにやるんだけどね。
既に昨夜の時点でユウヤ達にも話してあるから、皆で素材集めプラスいつものダンジョン攻略だ。50階からは特殊なステージだと聞いたけど、そこがどうなるかは分からない。41階がどれほどの場所か分かってないのに、50階の心配をしても仕方ないかな。
ラスティアとキャスティの部屋をノックして声を掛け、訓練場で訓練していたファルに声を掛けるついでに皆にもダンジョンの話をしておく。スキルのランクアップ等は無いけど、<影の剣士>と戦って地力は上がっていると思う。
とりあえずソファーの部屋へと移動し、3人を呼び出したらファルに朝食の手伝いを頼む。イルが隣を「ポンポン」しているので座ると、早速腕を絡めながら話し始めた。
「昨日でようやくイベントが終わったけど、今日からいつも通りのダンジョン。問題はスキルが上級に上がるかどうかと、レベルアップしたらどうなるか。3次職に行くかと種族ランクが3になるかどうかぐらい?」
「そこに関しては何とも言えないわね。予想だけなら言えるけど、掲示板にも「上級になった」とか「種族ランクが上がった」っていう書き込みは無いのよねえ。まあ、大多数は私達と同じようにイベントをしてたでしょうし、そもそもレベルキャップまで上がってたか知らないし」
「一部のプロゲーマーは限界まで上げてた筈。ただしプロゲーマーはしっかりとイベントに参加してるうえ、大多数は最凶ダンジョンに行ってたと思う。私達は知ってるけど、<幸運のハチマキ>を欲しがってるプロゲーマーが多い」
「そういえばアレって最凶ダンジョンのポイント交換で手に入るんだよね。色々他のレアアイテムもあったけど、何となく思うに、プレイヤーが一度でも出した事があるレアアイテムしか並ばないんじゃないかな?」
「その可能性はありますね。だとしたら余計に<幸運のハチマキ>は重要なレアアイテムになりますよ? 交換するのに1万5千ポイントも必要ですけど……」
「カン○タ8回となると労力的に大変だね。僕は持ってるからどうでもいいけど、確定で手に入るっていうのが重要なのかな? プロゲーマーが挙って最凶ダンジョンに挑んでいるのは」
「多分そうだと思うわよ。誰かさんがポンポン攻略するから簡単だと思われてるんじゃない? スタイリッシュ忍者ゴブリンを倒せた人はそれなりに居たみたいだけど、殆どがりゅう○うで止まってるわね」
「殆どって事は突破してる人が居るんだ? 僕は動画を見に行かないから知らないんだよね。その調子でどんどんとクリアしていくかな?」
「クリアしてるのは私とイルとユウヤなんだけど? 私とイルは真柄まで、ユウヤは本多まで突破してる。できるだけ早くカン○タまで行きたいんだけど、アレなかなか大変よ」
「大変だからこそ最凶ダンジョンとも言えるけど、その程度で済むような相手じゃない。予想以上に強くて驚くし、アレは最初からプレイヤーに攻略させる気が無いと思う。本当に一部の者の為にあるダンジョン」
「それでも挑み続けていれば実力は間違いなく付くけどね? 一日に数回、勝てるまで続ければ技術は伸びていくよ。重要なのは強くなる事であって、今弱い事じゃない。ソレを見ても意味なんて無いしね」
「修行ってそういうものよ? 強くなった後の自分を想像すれば、今苦労している意味も分かるでしょうに」
「カンカン」
ファルが来たので食堂に移動したものの、先程の話を続ける。何故か興味があるのか聞いてきた師匠。どういう事だろう?。
「なに、神どもが稀人に対して特別なダンジョンを作ったと聞いたのでな。どういう物なのか興味はあったのだ。スキルや魔法は一切使えず、能力まで落とされるとはのう……。面白そうではないか」
「まあ、あんたならそう言うでしょうね。私はコトブキと戦ってるから割とどうでもいいけど、通算成績で殺された回数の方が多いのは腹立たしいのよねえ」
「そういえば先ほどある程度は突破していると言ってましたけど、ナツとアマロからは聞きませんでしたね。貴女達は挑んでいないのですか?」
「残念ながら、最初のスタイリッシュ忍者ゴブリンが倒せないの。だってあいつらピョンピョン飛び回るし、いきなり止まって回避するし、そうかと思ったら短剣で首を突きにくるんだもん」
「アレは酷いですし、ゴブリンなのに強すぎます。そう簡単に倒せるような相手ではありませんよ。皆が皆、この人達のように強い訳ではありません」
「何か酷い言われ方をしている気がするけど、スタイリッシュ忍者ゴブリンは動きで撹乱してくるだけよ? 確実に攻撃を当てられるチャンスはあるから、そこを狙えば良いだけ。むしろ簡単な部類に入るんだけど……」
「攻撃をかわされるなら、かわされる事を前提に組み込めばいいだけ。何度もチャレンジ出来るんだから、絶対にこっちの方が有利なのを忘れちゃ駄目。負けて悔しいならそれは正常、むしろ怒りを全てぶつければいい」
「何度も繰り返し戦ってみたんだけどね。それでも無理だったんだよ。本当に勝てるのかなぁ……?」
「<為せば成る、為さねば成らぬ成る業を、成らぬと捨つる人のはかなき>。武田晴信じゃないけど、正にこんな感じだね」
「やれば出来るのにやらないヤツが悪いって事ね。確かにその通りだと思うけど、あの時代特有のゴリ押し感は何とも言えないわ。どちらかと言うと、<苔の一念、岩をも通す>の方が正しくない?」
「武田信玄でいいと思うのに、わざわざ晴信って言うのもどうなんでしょうか? 武田大膳大夫晴信とか徳栄軒信玄とか言いますけどね。今は武田信玄で良いのでは?」
「そこまで詳しく語る必要は無いと思うけど、武田信玄じゃ混ざってるから何とも言えないんだよね。なんかモヤッとする」
「まあ、分からなくもないけどね。上杉謙信だって元々は長尾景虎だし、その後に上杉景虎になって上杉政虎。そして足利義輝から忌み名を貰って上杉輝虎になってるし、その後に不識庵謙信でしょ? 変わりすぎなのよねえ、あの時代の人って」
「しかもそれだけじゃなく、武田は源だし上杉は藤原だよ? だから源晴信だし藤原輝虎なんだよね。もう意味が分からない」
「そう思えば凄いわよねえ。源が名乗れる家だし、藤原が名乗れる家なのよ。まあ長尾家は違うと思うけど、後に上杉を継いでるからセーフ」
「織田家の祖は劔神社の神官とされてるし、大元は藤原氏とも忌部氏とも言われてる。何故か織田氏は平氏を自称してるけど、信長は藤原氏を称していたりするしメチャクチャ」
「古い時代の人は其処彼処に種を撒いていたりするし、そうなると実際に子供が出来ている事もあるんだよね。そうなると血が入っていると言えなくもないし、成り上がる為に率先して娘を提供したなんて話もあるぐらいだから」
「何処にでもある話ねえ。実は何処其処の御落胤なんて話は昔からあるわよ。とはいえ真偽も定かじゃないし、誰も信じないけどね」
「確かにそういう話はありますね。戦いに負けて撤退する為に立ち寄ったら、その何十年後に、実は……なんて噂が出たりしますし」
どうやら悪魔の星でも天使の星でも似たような事はあるらしい。何処も変わらないねー。




