0585・第五回公式イベント その9
15分休憩の後、次の地形へと飛ばされる。そこは真っ赤に焼きついたマグマが流れる火山だった。勘弁してほしいという思いは誰もが持つだろう。既に猛烈な熱さであり、決して暑さではない。
そんな地獄のような場所に立ち止まっている訳にもいかず、僕は歩き始めた。何といっても武器か、それとも熱さを解決する道具を手に入れないとキツい。熱さで頭が上手く働かないんだ。
乾燥しているのが唯一の救いだろうか? これで湿度が高かったら熱中症で殺されるエリアだと思う。お仕置きモンスターが要らないほどの過酷な場所だ。今は汗を掻いて体温を下げようと、活発に体が活動している。
その甲斐も無いほどに熱いが、何処かに涼しいエリアがあると考えて移動しよう。流石に熱さで絶対に死ぬエリアなんて作らないだろうし、それではゲーム性を無くしてしまっている。だから流石に始まったら詰むよなエリアは無い。
とはいえ簡単には見つからないっぽいのが厳しい。上手く見つけられれば熱さからは解放されると思うんだけど……。おっ、何か洞窟がある。ちょっと中を調べてみよう。もしかしたら箱があるかも。
……なんて考えていたからだろうか? 洞窟の中に入ると一本道になっており、そのまま進んで行くと地底湖があった。ヒンヤリしているし、その地底湖の前に木箱がポツンと置かれている。それを見つけた僕は周りに注意を向けた。
だってどう考えても怪しすぎるだろう。そう思ったら調べるのは当たり前じゃない? そして上を見た時にいきなり下りてきたんだよ。青い鱗のリザードマンが。
そしてそのリザードマンは僕を見た後で木箱に寄り、その木箱を開けた後で移動して行く。意味が分からないので木箱に近付くと、そこには青い小太刀と剣帯が入っていた。そしてリザードマンは何処から持って来たのか分からない綺麗な槍を持って、僕から5メートルほど離れた所に立つ。
「どうやら僕にこの小太刀を持って戦えと言っているようだね? それで間違って無い?」
僕は身振り手振りでジェスチャーをすると、リザードマンは「コクリ」と頷いた。成る程、彼を倒さないと持っていけない武器か。それじゃ、彼を倒して頂こう。
リザードマンの彼と相対するものの、彼の持つ槍の長さは3メートルを優に超えている。穂先は普通の直槍で、穂先の長さは50センチほど。僕が使う槍と穂先の長さは変わらないぐらいかな? ただし僕のは短槍だけど。
さて、小太刀である以上リーチとしては不利だけど、どのみち小太刀は接近戦で役に立つ物だ。そもそも小太刀は<中条流>や<義経流>なんかで使う武器であり、相手よりも小回りが利くという長所を活かして戦う物となる。
つまり、その小回りを活かすという戦い方は、槍や太刀などの相手よりも接近しなければいけないという事だ。要するに踏み込みが最も大事なのであり、思い切って敵に踏み込む事が出来ないのならば使ってはいけない武器となる。
相手が3メートルを超える槍を持っていようが、そもそも踏み込まなければいけない武器である為に意味は無い。相手が普通の剣であってもリーチで不利な事に変わりは無いという事だ。源義経が使っていた車太刀なんて長さが53センチだったと言われている。
そんな刀を振り回すんだから、それだけ相手に踏み込まないと当たらないんだよ。70センチであろうが、3メートルであろうが、相手よりも不利であるという事は何も変わらない。
剣帯を付けて小太刀を抜き、正眼の構えをとる。リザードマンはこちらに穂先を向けて、じりじりとにじり寄って来た。勝負は最初につくと考えていい。相手の突きをかわせなければ僕は死ぬし、かわせれば生き残れる。どちらかしかない。
こちらからもにじり寄っていき、リザードマンの槍圏内に入った。その瞬間に踏み込んで突き込みにきたが、僕はそれを冷静に小太刀で流しながら前に出る。どうやら第1関門は突破したらしい。
一気に接近するも、リザードマンはバックステップで距離をとろうとする。しかし僕の前に出る速度の方が速い。一気に接近した僕は相手を斬ろうと思ったが、寸でで右前に飛ぶ。何故ならリザードマンが鱗の生えた左腕を突き出してきたからだ。
腕の鱗が逆立ったようになっており、あのまま近付いていたら切り刻まれていたかもしれない。少なくとも鱗1つ1つが鋭利な刃物のようだった。僕はすぐさまリザードマンの右を駆け抜けるように移動しつつも、体に沿って小太刀を滑らせる。
しかし「キィン」と鳴って刃が滑っただけで終わった。もしかしたらコイツ、リザードマンじゃなくてドラゴノイドかもしれない。いわゆる竜人というヤツだ。リザードマンにしては鱗を逆立たせたりとか多彩すぎる気がする。
敵の後ろで構えて止まると、槍を捨てた相手は両腕の鱗を逆立たせて攻めて来る。先ほどとは違い己の腕だけあって速く、小太刀以上に接近されてしまうので対処と反撃が難しい。
それでも拳では外側は攻撃し辛いとの原則から、腕の外側へと回避していく。特に大振りの攻撃が来た時には余裕を持ってかわし、下段から敵を切り上げる。しかし何処も彼処も鱗な為、簡単には斬れてくれない。
その間にも敵からの攻撃は苛烈さを増してきている。更には蹴りまで使ってきたが、同じく足を斬る事はできていない。いったい何をすれば勝てるというのか困ってきたな。この涼しい中で戦い続けるのも悪くは無いんだけど……。
相手が右腕で殴りに来たので外へとかわし、右から小太刀を掬い上げる。右太腿を内側から斬る形で振り上げたが、表面の鱗を撫でるだけで斬れていない。今度は右手の裏拳で攻撃してきたので離れて回避。
今度はこちらから踏み込んで首に突き。しかしこれも刺さらない。左足での蹴りが来たので、相手の右を抜けるように回避し、こちらに向いた瞬間目に突き込む。
「ガァァァァァァッ!!!」
派手に右目を突き刺されたからか、もう一方の目で睨んでくる敵。だが、そんな睨みでは僕の動きは止められない。それに睨んでいる暇があるなら動かなきゃ駄目だ。僕は睨んでくる敵の腹を蹴り押して倒し、相手が倒れたと同時に左眼に突き込んだ。
そのまま脳の方へと届けと言わんばかりに押し込み、最後は中でぐりぐり動かした後で抜く。再び離れて構えるも、敵は消えて居なくなった。その結果、目の前にウィンドウが表示される。
―――――――――――――――
おめでとうございます。マップに隠されたモンスター、<武槍のドラゴノイド>を討伐しました。ここからは死亡しても<水刃の小太刀>を無くす事はなく、持って帰る事が可能です。他にも隠された武器はありますので探してみましょう。
―――――――――――――――
……<水刃の小太刀>ねえ。まさかと思うけどさー。
「【水刃】!」
斬る動作と共に声に出すと、剣から水の刃が延びて切り裂く。実際に地面の岩場が斬れているくらいなのだから、相当の威力があるのだろう。しかし、教えてもらえずにドラゴノイドを斬れるわけないじゃん。
まあ、手に入れてからじゃないと教えないと言われれば、こっちは従うしかないんだけどさ。それでも思うよ、さっきのドラゴノイドはどう倒すのが正解だったんだ?。
もし眼に突き込む以外の方法があるのなら教えて欲しい。さすがにアレは反則だと僕も思っている。もちろんアレしか思いつかなかったからなんだけどさ。それでも、斬れるところからしっかりと斬って勝利したかった。
あの勝ち方は邪道な気がして、いまいち納得がいかない。




