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0561・カップルリング




 「私とコトブキはこの指環の申請をする!」


 「うん。誰も否定しないし、僕も否定しないよ。そこまで力強く宣言しなくても、何が言いたいかは分かってたからね。それよりマイルームに関する事の再確認と、何か必要な物とのポイント交換をしておいた方が良いよ」


 「他に欲しい物ない。あってもどうせ使わないとか、必要性が薄い物ばかり。わざわざポイント使ってまで手に入れる意味も無い」


 「だったら私のように脱げるようにしておいたら? 2人きりの時には良いでしょ」


 「それ採用、すぐにやる」


 「早い早い。決定が早すぎるのと、何を考えて薦めてるのさ。そういう事じゃなくて、せっかくポイントを使うなら武具とかでも良いと思うよ? それなりに優秀な弓とかあるし、イルは短剣と弓でしょ?」


 「追加で【刀術】を取得する。私も刀か小太刀は使えるから、そっち方面は問題ない。コトブキとお揃い」


 「随分と物騒なお揃いねえ……。でもそれなら<強化浄玉>でコトブキに作ってもらえばいいでしょ。わざわざポイントで買う意味も無いし、ポイントで交換した武具は修理不可よ。無理してポイントで買う意味は無いわ」


 「でしたら服とかアクセサリーとかが良いですよ。運悪く当たったりデスペナでも受けない限りロストしたりしませんしね」


 「イルなら服の方が良いかも。コスプレとかアリなんじゃないかな? 男性は喜ぶっていうし」


 「それも採用。どんなのがいい?」


 「それ僕に聞くの? 色々言い辛いんだけど……」


 「まあ、コトブキの性癖って事になるからねえ。確かに色々と聞きたくないわ。後で2人っきりで色々と話しなさい。それより買い終わった? 明日は大型アップデートでログイン出来ないし、今日のうちに使っておかないと忘れるかもよ」


 「どうして運営は先にポイント交換だけさせるんだろ? 一気に両方すればいいと思うんだけど……」


 「運営も正月休みくらいは欲しいんじゃない? 新年明けて3日は休みとかだったりして……ってマジ!?」


 「あらら。「オールメンテナンスの為、新年明けて5日間はゲームにログイン出来ません」だって。ゲーム開始は1月6日からで、すぐに第5回イベント。ただし新年からのイベントは小規模なものになるらしいけど」


 「ここの運営の小規模は全く安心できないから、話半分ぐらいに聞いておく方が良いわね。絶対に碌な事をしないでしょ」


 「カンカン」



 どうやら昼食の時間になったらしいので、話を打ち切って食堂へ。昼食が終わったらマイルームへ戻り、2階の適当な一室で横になる。ベッドが最初から備え付けなんだけど、ラスティアとキャスティの為に運び入れたベッドはどうなったんだろう?。


 妙な事が気になったもののログアウトして現実へと戻る。そしてリアルでも昼食をとり、雑事を熟したら再びログイン。すると、イルから申請が来ていた。なので許可する。


 すると玄関ホールに現れたらしく、メッセージが飛んできた。僕がホールに出ると、イルが2階に走って上がってきて部屋に押し込められる。



 「コトブキ、すぐにベッドに行く。試したい事がいっぱいあるから」


 「いや、試したい事ってなに? ちょっと押さないで、落ち着いて」



 イルが暴走気味に色々と始めたものの、どうやらどこからがNGなのかを調べる為だったらしい。手を繋いだり腕を絡めたりはセーフだけど、キスはNGだったらしく警告が出た。



 ―――――――――――――――


 セクシャルハラスメントが感知されました。ただちにセクハラを止めなければアカウントの凍結処置に移行します。なお、恋人同士の場合はカップルリングの実装までお待ち下さい。キスまでは許可されます


 ―――――――――――――――



 「「………」」



 どうやらカップルリングを装備していないと手と腕が触れるだけしか無理らしい。そもそも攻撃は出来るけどボディタッチは不可なんだよね。グローブでも何でもそうだけど、武器を装備しない限り相手の胴体には触れられない。


 そして殴るならともかく、触った場合は感触が粘土みたいに感じるらしい。これもセクハラを防ぐ為のもので、触られた方も感触がおかしいそうだ。具体的にはぬいぐるみに触られたみたいな感じになって、指でまさぐられているようには感じないという書き込みがあった。


 当然だけど調べたのは検証班で、女性同士でやったらしい。そんな事が初期の方の掲示板に検証結果として書かれていたのを覚えている。



 「むう、カップルリングは大型アップデートの後。ここからお預けとは、やってくれる……!」


 「もうちょっとだから待とうよ。それに明日からは休みだし、ウチの祖父母の家に行く? 白山の麓の家」


 「あのラ○ホテル?」


 「その言い方止めてくれる? 一応祖父母の家だし、宝家の古くからの家はあそこだからね? それに色々な人がお忍びで行く所だから」


 「知ってるから言った。うちの父と母も使った事があるって聞いた事がある。やっぱり家とは違って誰も居ないから開放感があるらしい。ちょっと楽しみ」


 「食べる物は持っていくか、何か適当なのを頼めばいいしね。2人だけで過ごそうよ」


 「タマ!」



 ―――――――――――――――


 セクシャルハラスメントが感知されました。ただちにセクハラを止めなければアカウントの凍結処置に移行します。なお、恋人同士の場合はカップルリングの実装までお待ち下さい。キスまでは許可されます


 ―――――――――――――――



 「「………」」


 「流石にまだ無理だから止めようか。セクハラ警告が出ると冷める事が分かったし」


 「ここまでお邪魔虫だとは思わなかった。たしかにこれが出ると思ってる以上に冷める。せっかくの盛り上がりに水を差し過ぎ」


 「仕方ないよ。こうやって出さないとセクハラするバカが居るからね。全てはバカの所為ってところかな。それにカップルリングを持つ者同士だとキス出来るって斬新だと思うよ? まあ、おそらくは効果だけを狙った人達を排除する為だと思うけど」


 「本当に恋人同士ならキスぐらい当たり前に出来る。中には百合と薔薇が居るかもしれないけど、それはそれで悪い事じゃない。今は昔よりも認められてる。ゲームの中だともっと認められてるのもあるけど」


 「誰か分からないからね。男性同士でも女性同士でもゲームの中なら気にしないでしょ。クレーム入れても流されるだけだし、昨今はそういうゲーム多いからね。嫌なら辞めろってゲーム運営もハッキリ言うし」


 「私達に関わってこないなら、男同士だろうと女同士だろうとどうでもいい。それよりも【艶女組】が暗躍しそうな気がするのと、【紅百合】のファンがカップリングで揉めそう」


 「そういう人達は外に向けて揉め事を起こさないだろうから特に問題ないんじゃない? ガチの人達はどうするのかなとは思うけど。既にゲームが始まって五ヶ月も経過してから、カップルリングの話が出てきたんだし」


 「最初から分かっていると現実の自分とは似ても似つかない名前にするけど、途中で出てくると難しい? でもそういう人は最初から似ても似つかない名前にしてると思う。もしくは気にしないか」


 「まあ、堂々としてたら誰も気にしないかな。そもそも現実とよく似た名前かどうか何て分からないんだし、アバターの変更とか名前の変更って出来るからね。課金で」


 「ポイント交換にもあった」


 「という事はカップルリングの前にポイント交換をさせる為、わざわざ今日先行して交換出来るようになってる?」


 「……かも?」


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