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0553・まさかのサプライズ




 その後も色々と話したけど、配信している人が居るので言葉は選んで喋った。あまりこちらの情報だけ抜かれても困るしね。他のお弟子さんも1つ2つは教えてくれたけど、それ意外はやはり一線を引いている。


 そしてダークマターは最後まで帰ってこなかった。あのダサい状態も配信されていたので、もしかしたら掲示板で笑い者になっているのかもしれない。僕は配信用掲示板とか読んだ事が無いから、後で読みに行ってみようかな?。


 師匠達の話し合いも終わったのか解散となり、各々の魔女がそれぞれのお弟子さんと一緒に転移していく。そんな中、サインさんはトモエを連れて転移して行った。


 僕達も師匠の家に戻るが、何かあったんだろうか?。



 「単なる実力調査じゃ。長く見ていなかったからの、それで今現在の実力を測るという事だ。まあ、弟子の中で一番なのは事実なのだから、そこまで気にしておる訳ではなさそうだが」


 「トモエよりも下の弟子しか居ないって事ですか、それで破門にもせずに弟子のままなんだ」


 「まあのう。コトブキもそうだが、そなたらの地力は高いレベルにある。一度弟子にした以上は、そうそう手放したりはせぬよ。あれも己で強くなってしまうタイプだからの、手が掛からんという面白味の無さはある」


 「ああ、それは分かります。コトブキさんもトモエも勝手に強くなっていくタイプですよね。習うより慣れろで強くなれるって凄いと思いますけど、それってやっぱり才能があるんですか?」


 「才能があるからこそ勝手に強くなるのだ。そしてそういう者だからこそ、我等のような魔女にまで成る。逆に言えば、そういう者でなければ魔女の領域まで届かんのだ」


 「コトブキさんは男性ですけど?」


 「何か勘違いしておるのう。最初に枠組みを作った者が女性だったので魔女と呼ばれておるだけだ。一種の称号なのでな、男でも<魔女>と呼ばれる事に変わりは無い。そもそも自分より強い者に敗れれば、魔女の称号は勝者に移るのだ」


 「なるほど、称号である以上は奪い合いという事なんですね。……あれ? 称号って奪えましたっけ?」


 「奪いあえる称号は、<魔女>の他には<聖人>くらいしか知らぬがな。まあ、称号である以上は稀人にも奪えるであろう。そなたらも挑戦してよいぞ?」


 「「お断りします」」


 「何も2人同時に拒否せんでもいい気がするが……ま、よかろう。どちらにしても、戦う事もあるかもしれぬでな。その時には全力で殺してやろうぞ」


 「そういう物騒な話は遠慮します」


 「私もです」


 「カッカッカッカッカッ! それでも戦いとなれば真剣に殺し合いをするであろうが。だからこそ妾は弟子にしたのだしのう」



 師匠はそう言って自分の部屋へと戻って行った。僕とアマロさんはソファーの部屋で顔を見合わせたけど、お互いに微妙な表情になりながらもマイルームへと戻る。少し早いけど、やる気が無くなったので現実へと戻ろう。


 早めに現実に戻った僕は雑事をさっさと片付け、時間が余った為<BUSHIDO>を起動したら、完全リアルモードの<鬼一法眼>と戦う。


 久々ではあるものの、やはり生身の力しか出ないのはいいね。人間としての地力が求められる戦いというのは、<レトロワールド>と違って一寸間違えば死だ。RPGと違ってとても分かりやすい。


 だからこその真剣勝負なのだし、だからこその殺し合いなんだ。ここには余計なものなんて何も無い。あるのは唯の意思のぶつかり合いだけ。



 「ケェェェェェェェェッ!!!」


 「カァァァァァァァァッ!!!」



 僕と敵が唯々ぶつかり合い、お互いに嬉々として相手の首を刎ねようとする。とてもとても楽しい時間は、いつもどちらかの首が落ちる事で終わってしまう。


 かつては10戦中9回は落とされていたというのに、いつしか100戦中1回落ちるかどうかになってしまった。それでも<BUSHIDO>における最強は文句無く<鬼一法眼>だ。この敵以上の強者が存在しない。


 ……ん? 外部からの接触か。シズが来たのかな?。


 VRを終了し、HMDを外すとシズが居た。予想した通りだったので聞くと、「早く夕食にしろ」と怒られる。どうやら夕食の時間まで戦っていたらしい。久しぶりに失敗したなぁ。


 キッチンに移動し、今日の夕食の準備をして料理を始める。流石に遅かったからか手伝ってくれるけど、大して役に立っていない。さっさと作り終えた僕達は食べ始めた。



 「久しぶりの唐揚げは美味しいわねえ。あんまりタマは作りたがらないけど」


 「油の片付けがね、面倒臭いんだよ。という事で、明日はフライ系の何かかコロッケになりそう。あの油も使い倒さないと勿体ないしね。とはいえクリスマスの日に鯖の味噌煮は厳しいでしょ?」


 「色々とガッカリなのは間違い無いわね。いや鯖の味噌煮も美味しいんだけど、それは普段食べる物でクリスマスに食べる物じゃないわ」


 「だよねー。だから鯖は止めたんだけど、油の事があるから冷凍庫に突っ込んだよ。明日は何を揚げる事になるかな?」


 「天婦羅でいいと思うけど、綺麗にしても鳥の味が残るのか……。唯でさえ味つきの鶏唐だから」


 「そうなんだよね。結構綺麗にしたけど、染み込ませた出汁というか調味液の味とか風味が残ってる。その状態の油じゃ、さすがに繊細な天婦羅は無理だね。どこかの親父なら卓袱台ちゃぶだいを引っ繰り返すよ」


 「いや、あの親父は野球の事と飛○馬の事で引っ繰り返すだけでしょ。食事が勿体ないから止めろとしか思わないけどね」


 「卓袱台ちゃぶだいを引っ繰り返しそうなのは、前言を平気で引っ繰り返す至高の料理を出す人だよ」


 「海原○山じゃないの! そっちに卓袱台ちゃぶだいを引っ繰り返すイメージないわよ!」


 「あれ? 奥さんの料理に対して引っ繰り返してなかったっけ? うろ覚えで間違って記憶してるのかなー」


 「あんたが記憶違いを起こすなんて珍しいわね。奥さんの話なら最初の方かしら? そもそもあの漫画って殆ど読んだ事ないから、あんまり知らないのよねえ」


 「まあ、どうでもいいか。前言引っ繰り返すようなヤツだし」


 「だったら最初から言うの止めなさいよ」



 そんな下らない話をしつつの食事も終わり、僕は後片付けなどを終わらせたらお風呂に入り、部屋に戻って少しゆっくりする。


 そろそろかなと思ってたら椿から連絡があり、一緒にVRの観光ソフトに入る。無料のソフトなので、割とデートに使われる事が多いものだ。今回は何故か平泉だけど。


 ちょっと機嫌が悪い気がするのは気のせいかな? もしかしてパーティで何かあった?。



 「タマ、ちょっと聞いてほしい事がある」


 「どうしたの、真剣な顔して。もしかして、やっぱり付き合うのは駄目って言われた?」


 「そんな事を言ったら父であろうとブン殴る。……って、そうじゃなくて、今日のパーティー会場に友哉が来た」


 「えっ、友哉が? ……なんで?」


 「突然パーティー会場に現れて、「FUJIYAMAの御嫡男が来られました」とか紹介されて疑問に思ってたら、姉さんの前に行って告白してた」


 「は?」


 「しかも姉さんは凄く嬉しそうに受けて、腕を組んで2人でパーティ会場のホテルの部屋に行った。今ごろ絶対に卒業してる筈!」


 「………桜さんはともかく、友哉は何やってんのさ」


 「しかも母だけが笑ってたから、あれは絶対に事前に知って準備してた。私だってパーティーの事を考えたタマにお預けされてるのに、姉さんだけズルい!!」



 ああ、うん。そういう理由で不機嫌だったのか。それなら納得だけど、やっぱり桜さんは友哉の事に気付いてたんだな。


 明日「おめでとう」と言っておくとして、とりあえず椿をなだめよう。


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