0545・レベル上げの終わり
2000年 12月21日 木曜日 AM8:17
そろそろレベル上げが終わってほしいけど、まだ終わらないんだよねー。今日を含めてあと6日だけど、どうも5日前には無理そうだ。思っている以上にギリギリまで掛かるかも。それでも到達するだけマシだと思おう。
限界レベルは厳しいと言わざるを得ないね。それでも上げられるんだから上げる意味はある、と思いたい。別に無理して限界まで上げる意味は無い気がしてきてるものの、皆もここまで来たら意地でも上げるみたいだ。
とりあえずログインして、いつも通り午前のやるべき事を終わらせよう。
昼食や雑事を終わらせてログイン。次は深層でのレベル上げだ。既に通い慣れているし、ある程度は強化浄玉製の武器を皆も持ってる。その御蔭か随分と楽に戦えているんだよね。このまま一気にレベルを上げたいところだ。特にイルのサブ職業のレベル。
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使い魔:ラスティアのサブ職業:踊り子・下級のレベルが上がりました
使い魔:キャスティのサブ職業:農家・下級のレベルが上がりました
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どうやらイルのサブ職業も残すところ後1レベルらしい。おそらく明日で45まで上がるだろうから、明後日には暗闇ダンジョンに行けるだろう。やれやれ……本当に長かったけど、明日でやっと終わるよ。
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2000年 12月22日 金曜日 AM8:19
今日でレベル上げも終わりだろう。皆もそろそろ深層で戦うのに飽きてきている。レアアイテムは<血染めのバンテージ>以外に出ないしね。ドロップもしょっぱいので戦いたくないんだろう。おまけにアンデッドだし。
言い換えればアンデッドだからこそ高レベルでも何とかなるんだけど、やっぱりそろそろ見たくないっていうのが正直なところみたい。気持ちはよく分かるけどね。それと殆どのプレイヤーがイベントを終えたらしい。
運営インフォに出てたけど、クリア率は98%のようだ。2%の人達はやる気が最初から無いか、まだやってる最中か。どのみち随分と後になってから始めたんだろう。こんなに遅いんじゃね。
ログインしてまずは午前の素材集めだ。
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使い魔:ラスティアのサブ職業:踊り子・下級のレベルが上がりました
使い魔:キャスティのサブ職業:農家・下級のレベルが上がりました
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あらら。午前中でラスティアとキャスティのサブ職業が45にまで行ったね。なら午後からの深層は2人も連れて行こうか。マイルームにずっと居るのも暇らしいし。
………戻るギリギリになって、やっとイルのサブ職業が45まで上がった。本当にギリギリだったから、上がった瞬間ダッシュで師匠の家に戻ったよ。本気で走ったら思ってた以上に速かったね。
それにしてもコレでようやく明日から暗闇ダンジョンに行ける。本当に長かった。皆で「お疲れさま」と言い合うくらいには大変だったし、正直に言ってイベントより苦労したよ。本当。
今日は夜にログインして訓練などもせず、ゆっくりと休もう。
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2000年 12月23日 土曜日 AM8:22
明日はイブだけど、今日の夜から両親は祖父母の実家へ行く。毎年恒例だから気にしないけど、堂々と言うのも如何なものかと思わなくもない。僕もシズもスルーするんだけどね。それと、いつも通り今日の夜に五條さんが来るみたいだ。
毎年そうだけど24日と25日は何処かのパーティーに出席するらしく、来れるのは今日だけだからという事らしい。何故なのかは毎年分からないんだけどね。それはそうと、さっさとログインして始めるか。
ここ最近は農家のレベル上げをしていたからか、大量の野菜を出してたんだけど全て売れている。料理人が使っているんだろうけど、何故に野菜がああも売れるのかはちょっと不思議だ。
たまに追加を忘れてて覘く事があるんだけど、そしたらさっき出した物がもう売れてたりするんだよ。それも装備品より野菜の方が圧倒的に速いんだから、消耗品って強いよね。
プレイヤーマーケットに流して倉庫に売り上げを詰めたら、声を掛けてからソファーの部屋へ。3人を召喚したら、いつも通りファルに朝食の準備を任せてソファーに座る。
「おはよう、コトブキ。昨日終わったから、ようやく今日はゆっくり出来る。まさかここまでサブ職業になると上がり難いとは思わなかった」
「おはよう、コトブキ君。実際、昨日のイルはギリギリだったもんね。あやうく今日もレベル上げになるところだったよ。もうそろそろアンデッドはいいかなって感じてたから、本当に昨日終わって良かった」
「おはようございます。確かにここ連日は本当に大変でしたからね。私もレベル差の御蔭か、今のレベルキャップまでは上がったのでホッとしています。仲間達のレベルも上がりましたし」
「私も支配モンスターがレベルキャップまで行ってくれたから、やれやれってところ。スケルトンソーサラーとドラゴノイドゾンビは事故死する可能性があるから怖かったのよね」
「【ブラックボム】と【ダークバースト】、それにブレスは厄介。とはいえ早めに知れたのは良かったかもしれない。レベル90台はアレが当たり前の可能性がある」
「それって相当に厳しいよね。いや、暗闇ダンジョンも既にそんな感じだけど」
「首を刎ねてきたり、兜がブレスを吐いてきますからね。それを考えると相当に厳しい場所だと思います。ついでにレベルも上がりませんし」
「カンカン」
おっと朝食が出来たみたいだ。食堂に移動してさっさと食べよう。今日は急いで午前の行動を終わらせたい。精錬なんかを済ませてから、暗闇ダンジョンに挑みたいからね。
………午前中のやるべき事は終わったけど、そろそろルーチンワークみたいになってるな。たまには別の所に行った方が良いだろうか? 例えばウェズベア森とか……。
「そこまで行く必要は無いんじゃない? あそこに行ってもグリーントレントとウェルズベアーだけでしょ。山の方はそこまで詳しく調べてないけど、何か有用なモンスターって居たっけ?」
「記憶には無いかな? 詳しく調べてみないと分からないけど、そこまでする場所かなーって思う。別に行かなくても誰かが出してくれるんじゃない? それにダンジョンの奥の方が良い物が出そう」
「それは確かにそう思うけど、ウェルズベアーの皮もなかなか良い防具の元にはなる。取りに行っているプレイヤーも居るから、そこまで大した事が無い訳じゃない」
「へー……」
「天使の星にも似たような素材の熊が居るらしいけど、そっちでも狩ってる人は居るみたいだね。加工は皮革師か錬金術師みたいだから、そこで困ってる感じ?」
「皮革師は思っている以上に少ない。どうしても鍛冶師とか解体師、または細工師か石工師に流れる。革製の者が売れると思うプレイヤーが少ないから仕方ない」
「確かに武具って必ず金属使うし、どうしても儲かるイメージあるわよね。解体師は手に入る物が増えるから当たり前だし、宝石関係は高く売れるのが当たり前。どうしてもその辺りに集中するのは仕方ないわよ」
「カンカン」
おっと、ファルが呼びに来たから昼食に行こうか。続けるような話でもないし。
昼食を終えたらソファーの部屋からマイルームへ。そしてログアウトして現実でも昼食をとる。シズは部屋の片付けをするって言ってたけど、また出しっぱなしとかにしてるのかな?。
僕に片付けさせるのは止めてほしいんだけどね。自分の部屋くらいは自分で片付けてほしいよ、本当。そもそも出したら片付けるっていう当たり前の事をしないから、慌てて片付ける事になるんだけどさ。
ドタバタと五月蝿いなぁ。そろそろ昼食出来るけど、終わるまで時間掛かるのかな?。
「タマー! ちょっと手伝ってーーー!!」
予想通りの答えが来たね。仕方ない、昼食の前に一働きするか。
544話の誤字報告、ありがとうございました




