表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
539/562

0539・知り合い達のイベント終了




 「無駄に高いプライドで相手を見下し、他種族を差別するような野蛮国家。……ね、そう聞けば連中が好かれる要素が欠片も無い事が分かるでしょう? 獣王国と言われるビスティオは、どうも本気でエルフェリアを攻める気みたいだけど、奴等を知らないんでしょうね」


 「仮にエルフェリアを倒して支配したとして、エルフは必ずや抵抗するでしょう。それ自体は当たり前というか普通の事ですが、おそらくゲリラとなって攻撃してくると思います。勝っても負けても碌な事になりません」


 「それでもやるんじゃない? そもそもエルフェリアが攻め込んで来ないっていう保証がどこにもないのよね。ビスティオだって森が多いし、そこも自分達のものだとか言い出しかねないわよ。エルフェリアのエルフどもは」


 「ああ、その可能性は十分にありそうですね。もしかしたらその戦いに参戦させられるかもしれません。大天使様や大悪魔がその辺りを放っておくとは思えませんので」


 「でしょうね。アレらがそんな面白そうな事を放っておくなんて無いわ。私達<七大罪>を集めかねないもの。コトブキ、確か<七大罪>は全員稀人の下に居るのよね?」


 「そうみたいだよ。僕も文字で読んだだけだから見た事は無いけど。そういう書き込みの人が居るから間違ってはいないと思う。猛烈に扱い難いらしいからさ。特に【傲慢】と【怠惰】が」


 「ああ、あのバカどもね。そりゃ扱い難いでしょうよ。【憤怒】はちょっとした事ですぐ怒るし、【嫉妬】は下らない妬みばっかり口にする。【強欲】はとにかく自分の欲しか考えていない」


 「【傲慢】はとにかく見下しが鬱陶しいんですよね、自分こそが絶対という価値観を持ってますし。そして【怠惰】はとにかく動こうとさえしません。代わりに動かないで済む攻撃は苛烈におこなってきますけど」


 「という事は<七大罪>でマシなのは【暴食】と【色欲】だけ?」


 「そうですね。ラスティアはともかく【暴食】が暴れる事は少ないです。あの子は食べていればさえ大人しいですからね。量もそこまで必要ではありませんし」


 「ただし戦闘中だろうが何だろうが、お腹が空くと暴れ回るけどね。それもエゲつないレベルで暴れ回るのよ。あいつはとにかく餌付けしてれば問題ないから、お金があれば一番言う事を聞かせやすいでしょ」


 「というか、本来一番難儀な筈の【色欲】が黙って従ってる事に驚きですけどね。今まで魅了や誘惑で暴れまわったのを忘れているのでしょうか? その貴女がこれっぽっちも暴れないなんて計算外です。まあ、今は別にいいのですが」


 「もしかしてラスティアが暴れ回ると思ったから、ゲートを使って急いで来た?」


 「そうです。それでコトブキに負けるわ、ラスティアは暴れないわで、私が必死に急行した意味は全く無かったのですよ。そもそも何も起こさないなんて初めてです」


 「って言われてもねえ……別にムカツキもしなければ不満がある訳でも無い。そもそも力が落ちてるから取り戻さなきゃいけないし、お菓子美味しいし」


 「おそらくそこですよね、貴女が暴れていない理由は。お菓子とか食べていれば満足なんでしょう。今まではそれが【色欲】の方に流れていただけで」


 「そう、かな? ………どうかは分からないけど、そうなのかもしれないわね。それにしても、他の奴等には遭いたくないのよねえ。面倒臭い事が起きそうだし、あいつらの喧嘩に巻き込まれるのもゴメンだし」


 「それは私もそうですよ。何かがありそうですけど、もし何かあったら逃げ出すのが一番いいですね。もしくは変装とか」


 「隠せるといいわねー……」



 ラスティアはジッとキャスティの胸を見ながら言っているので、そういう事を言いたいのだろう。キャスティは微妙な表情をしながらも呆れた溜息を吐いて無視した。


 ちょうど師匠の家が見えてきたので中に入り、そのままファルを夕食の手伝いに行かせたらソファーの部屋からマイルームへ。ラスティアとキャスティにファル以外の全員を訓練場に召喚し、僕は囲炉裏部屋からソファーの部屋へ。


 既に居たトモエ達に挨拶し、僕もソファーに座ってゆっくりする。



 「おかえりー。コトブキ君が最後だったけど、何かあった?」


 「いや、新しい魔法を覚えたりとかあっただけだね。【火魔法】と【水魔法】と【木魔法】だけど」


 「「「「【木魔法】?」」」」


 「あんた達も知らなかったのね。【木魔法】っていうのはエルフがよく使う魔法で、嫌がらせ特化魔法とも言われるものよ」


 「毒、猛毒、劇毒、睡眠、昏睡、痺れ、麻痺、盲目、硬直、恐怖、混乱、錯乱、魅了、魅惑、石化。ありとあらゆる状態異常を使ってくる、非常に面倒な魔法といえば分かりますか?」


 「そんなに状態異常が使えるって流石に反則すぎない? 特に硬直がちょっと謎なんだけど」


 「硬直には種類が幾つかありますが、多いのは恐怖による硬直ですね。それよりも酷くなると怯えるばかりでどうにもならない状態、つまり恐怖状態となります」


 「毒系、睡眠系、麻痺系は物質タイプね。他は精神的な事で、石化だけは呪い系に分類されるわ。石化は厄介だけど、同時に治しやすいので対処が楽な方でもあるの。何故なら呪い系だから【浄化魔法】がよく効くのよ」


 「呪いって言われたら、確かに【浄化魔法】がよく効きそうね。それよりコトブキ、ようやく全員が終わったから明日から素材集めに行くわよ」


 「それは良いんだけどさ、どうする? 暗闇ダンジョンで素材を集めるか、深層でレベル上げをするか。ドラゴノイドゾンビはレベル90台だし、レベル上げはしやすいんだよね」


 「レベル90台は大きいですよねー、暗闇ダンジョンの素材も大きいですけど……。どうします?」


 「私はレベル上げ。正直に言って今の内に上げておかないと後が大変。それに暗闇ダンジョンじゃレベルが上がらない」


 「まあ、実力を上げたいっていうのは分かるのよね。私も長いこと仲間達を放ったままだし、そろそろ外に出して戦わせたいし」


 「私もそうですね。訓練場で大人しくしてくれていますが、納得も出来ていないみたいですから」


 「じゃあ、レベル上げの方が良さそうだね。ユウヤ君もクリアしたみたいだし、明日からは全員で素材集めとレベル上げで決まり」


 「カンカン」



 ファルが来たので食堂に行き、席に座って夕食をとる。



 「そういえばイベントの事だけど、やっぱり3周目は無かったわ。2周目が終わると自動的に終了という罠だったから、本当に気合い入れて良かったわよ」


 「それでもコトブキ君のポイントには敵わなかったけどね。仕方がないのは分かるし、時間も掛けすぎだったから」


 「そもそも1周目の時点でそれなりに時間を喰う。コトブキほどとは言わなくても、多少なりとも貰えただけマシ。一気に半分だけど仕方ない」



 イルがそういうので思考入力で確認したら、20日以内クリアは5000ポイントだったようだ。確かに10日以内クリアに比べれば半減しているが、これも5倍なら十分なポイントだろう。


 そういう意味ではユウヤも含めて、皆も上手くポイントが稼げてると思う。問題は上位20人が既に最高難易度を終えているという事だ。予想以上に上手い人が多いらしい。


 僕の周りぐらいしか最高難易度を突破しないんじゃないかと思ってたけど、流石にそれは他のプレイヤーを舐めてたね。次のイベントはまた戦うかもしれないんだ。どんな伏兵が居るか分からないんだから、気をつけよう。


 夕食を終えたらソファーの部屋からマイルームへ。ログアウトして現実へと戻り、お風呂や食事を済ませる。


 さて、夜のレベル上げを始めるか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ