表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
538/562

0538・木魔法とエルフ




 その後も何度か戦ったものの、思ってる以上に威力がない【木魔法】に驚く。【リーフカッター】と言えば聞こえは良いが、木の葉が当たるだけであり切れるという事はない。草むらに手を突っ込んでたら切れてる事があるけど、あれに近いと思う。


 ただし防具などを着けているので、精々木の葉が顔に当たったりする程度だ。防具の無い所に当たって運が悪いと切れる事もある。つまり威力としては相当に弱いし、切れなければ葉っぱが肌を撫でていくだけ。悲しくなる魔法だね。


 でも威力を抜きにすると優秀で。木の葉が敵の視界の邪魔をするんだ。キャスティが嫌がらせの魔法だという筈で、改めて確認すると邪魔そうに払っている場面をよく見る。顔に木の葉が来ると鬱陶しいのはよく分かるよ。


 つまり言い換えると、森の中のエルフはこういう嫌がらせを多用してくるという事でもある訳で……。本当に厄介極まりないと思う。



 「エルフの厭らしさが滲み出てくる魔法よね。あいつらはこの魔法を嬉しそうに多用してくるの。連中の底意地の悪さがよく分かるでしょ?」


 「本当にそういう連中なのですよね。特にエルフェリアのエルフは極めて差別的です。それ以外のエルフも微妙に壁があると言いますか、感じが良くないんですよね。好かれている種族が少ないです」


 「あいつらってプライドが無駄に高いから、ボコボコに凹ませると下らない態度をとらなくなるのよ。いちいち突っ掛かってくるから、魅了をバラ撒いて放置した事が昔あるのよね。そこまで威力も高くしてなかったからすぐに解除できたんでしょうけど、御蔭で一切絡まれなくなったわ」


 「それって魅了というより混乱に近いのでは? おそらく魅惑系の踊りを含めたものでしょう?」


 「そうよ。あいつら澄ました感じでこっちをバカにしてたからね、撒き散らしたら何か色々とおっぱじめたから逃げたのよ。多分だけど大乱交だったんじゃない? 御蔭で子供が増えたんだから感謝してほしいけど、それがあってから一切関わってこなくなったのよ」


 「それはそうでしょう。子供が増えたという事はそういう事でしょうからね。というより、よくそんな混乱を起こしたものです。大天使様に怒られたでしょうに」


 「え? 怒られなかったけど? 「これであの者達も、自分達が唯の一生物に過ぎないと自覚したでしょう。よくやりました」って言われたわよ。言われた私も、大天使ってこんなヤツだったっけ? って疑問に思ったくらいだけど」


 「その大天使様のおっしゃりようだと、自分達の事を天使か悪魔に近いとでも思っていたのでしょうか? とんでもないおごりですし、大天使様が褒められる理由も分かります」


 「2人とも敵が来たからお喋りはそこまで」



 スケルトンソーサラー2体とドラゴノイドゾンビが1体だけど、ここは油断せずにきっちり仕留めるべきだ。そう思って【セイントクリア】を使用する。ラスティアは早速【ウォーターバレット】を使って攻撃してるね。


 ここは森だし【ファイアバレット】は使い難い。なので【水魔法】が主体になるのは仕方ないんだけど、代わりに魔隠穴とかでは【火魔法】が使える。それと豪雪山も。


 敵を倒して浄玉を回収したら、再びウロウロと敵を探す。もうちょっと戦えるし、まだMPも残っている。瘴木も幾つか木晶に変えてるし、あと1戦か2戦で撤退かな?。


 そう思ってるとドラゴノイドゾンビの他に、もう1種新たに登場した。今まで出なかったのは、敵を認識した瞬間に理解出来たよ。



 ―――――――――――――――


 <トレントゾンビ> Lv92


 瘴気に中てられゾンビとなってしまったトレント。新たなトレントを増やそうとしない代わりに強くなっているので注意。特に枝や根での攻撃は威力が高い


 ―――――――――――――――



 どうやら奇襲をしてくるタイプだったみたいだが、先にフィーゴが発見しており【セイントバレット】を発射していた。その攻撃で動き始めたので皆も把握、すぐに敵だと認識したので奇襲は受けていない。


 トレントゾンビはどうやら【木魔法】を使ってくるみたいで、なにやら甘い匂いがしてきた後で脳が揺さぶられ始めた。眠いのか、それとも気を失う前なのか、思っているよりも威力が高い。


 僕はフラフラしながらも、何とか意識を維持する為に自分を殴りつける。それが良かったのか意識が戻った僕は、すぐに【セイントクリア】をトレントゾンビに放つ。しかし、苦しみ呻きながらも更に【木魔法】を使ってくるトレントゾンビ。


 それは蔦で拘束するような魔法であり、ラスティアが拘束されたようだ。近くに居た僕は即座に蔦を切ったが、どうやらその前の匂いで寝てるらしかった。僕は頭を叩いて起こし、すぐに戦闘中だという事を教える。


 すぐにラスティアは復帰したが、流石に嫌がらせ魔法だけあって厄介だ。フォグも【幻惑魔法】を使って対処してくれているが、アンデッドには効きが悪い。肉体的な状態異常無効だからだろうか?。


 精神的な状態異常が効くかどうかは定かじゃないが、少なくともアンデッドには肉体的な状態異常は全く効かない。それが影響しているのか、それともこちらの生命力を感知しているのかも。


 少なくとも効かない訳ではないようなので、フォグによる撹乱かくらんは継続してもらって、その間に敵をさっさと倒してしまおう。



 「おつかれー。まさかトレントのゾンビが出てくるなんて思わなかったよ。挙句の果てには【木魔法】を使ってくるしさ。キャスティが嫌がらせの魔法って説明したのがよく分かるよ」


 「おつかれさまです。久しぶりですけど、やはり敵に使われると面倒な魔法ですね。これを使って喜んで嫌がらせをするエルフの気が知れません」


 「おつかれ。本当にそうだし、久しぶりにムカつきを思い出したわよ。あのエルフどもも散々こっちに嫌がらせをやってくれたしね。だからこそ戦闘前に言った魅了を使ってやったのよ」


 「あれらを色んなエルフから使われたら、そりゃストレスも溜まるよ。むしろ怒って当然じゃない、あの面倒臭い魔法は」


 「他の魔法に比べて使える魔法の数は少ないのですが、嫌がらせに特化したような魔法なんですよね。とはいえその真価を発揮するのは森の中だけなのですが……」


 「だからこそ、あいつらは滅多に森から出て来ないのよ。散々嫌がらせした結果、復讐をされるかもしれないって怯えてね。今でも自分達が被害者かのように子孫に教えてるんじゃない? 森に入った奴等に散々嫌がらせしておいてさ」


 「それは森に入った事も悪いんじゃないの?」


 「そもそも何もしていなくともエルフは攻撃してくるんですよ。コトブキ、国土に入っただけで攻撃してくる国がまともだとでも言うのですか? エルフがやっている事はそういう事ですよ?」


 「そうそう。言うなれば国境から入ってすぐ攻撃を受けたようなものね。そんな野蛮な国、エルフどもの国以外どこにもないのよ。あいつら間違いなく頭がおかしいのよね。それに森の全てがエルフの物っていうのは、エルフ側が勝手に言ってるだけだし」


 「国土を守るのは当然ですが、エルフは一方的に主張しているだけなのですよね。周辺国も何処もエルフェリアの領土だとは認めていないのです。彼らは武力でそうしているだけですから」


 「何かエルフってかなり野蛮な感じがするんだけど、気のせいかな?」


 「もちろん全部が全部そうじゃないけど、奴等は森の中のド田舎国家だからね。自然と生きるのは好きにすればいいけど、原始的な生活のままだから何時まで経っても野蛮なのよ」



 本当にエルフのイメージと違うんだなぁ、このレトロワールドのエルフは。それよりもう時間だし、そろそろ帰ろう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ