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0537・新魔法




 スケルトンソーサラーの前に出てきたドラゴノイドゾンビがブレスを吐くより早く、僕達は【セイントクリア】を使って弱体化させる。それ自体に抵抗する力を持たないドラゴノイドゾンビはあっさりと苦しみだした。


 とはいえ苦しんでいるだけで十分に反撃してくる為、前衛陣は慎重に攻撃を開始する。魔法組は後ろに逃げたスケルトンソーサラーに【セイントバレット】を飛ばして防がせ、その隙に【セイントクリア】を叩き込む。


 上手くはいったものの、スケルトンソーサラーの中にレベル90の者が居ないとは限らないので、出来得る限り安全に仕留めていく。そこまで苦労する事もなく倒せたが、それも運が良かっただけの可能性があって怖い。


 中途半端なレベルのスケルトンソーサラーが厄介であり、ドラゴノイドゾンビは確定しているので対処がしやすい。稀に登場するのかそれなりの頻度なのか。その辺りがハッキリしない事には本当に対処がし辛くて仕方ない。



 「中途半端なレベルでフラフラされると確かに対処に困るわね。90以上と分かってるなら、そういう敵だとして対処もするけど、それが分からないっていうのは……」


 「面倒だと言わざるを得ませんね。この辺りのレベルも私達に比べれば高いのですが、それがボーダー上をうろうろしている訳で……。特に近付くと【ブラックボム】を使ってきますし」


 「そういえば【ダークバースト】を使われた事が無いわね? もちろん使われないなら使われない方がいいんだけど、説明に出てた範囲魔法って【ブラックボム】だったのかしら?」


 「着弾点から広がりますから範囲はありますが、あれは爆発系魔法に分類されるのでは? ですから上手く私達が範囲に入っていない為、【ダークバースト】を使われていないのだと思いますよ」


 「近付いたら【ブラックボム】だし……ちょうど良い距離で、かつ範囲内に多く居ないと【ダークバースト】は使ってこないって事ね。まあ、あれ範囲の癖に威力高いから使われないに越した事はないわ」



 僕は浄玉を拾いながら2人の会話を聞いていた。っていうか使われた事の無い【ダークバースト】って本当に厄介な魔法みたいだ。もしかしてそれもレベル90以上のヤツしか使ってこない? そんな疑問を2人にぶつけてみた。



 「案外その可能性が一番高いのかもしれません。幾らなんでも今まで一度も使われないのは変ですしね。もちろん【ダークバースト】を使ってくるというのはこちらの予想でしかないのですが……」


 「とはいえ、そのレベル近辺でアンデッドだと使えても変じゃないでしょ。まさか【ダークブラスト】が使える訳でもないでしょうし、【ヘルミスト】なんてもっと無理でしょ」


 「あの広範囲魔法ですか? 止めて下さいよ。あれ極めて面倒な魔法なんですから、噂してたら使ってくる者が出てくるかもしれないでしょう。継続大ダメージ魔法なんて、今の実力ではどうにも出来ませんよ」


 「それってもしかして毒の霧でも散布するの?」


 「一説には地獄の霧を召喚する魔法だとか言われてるわね。<深淵の魔女>が得意としている魔法よ。面倒な魔法なうえに広範囲で防ぐ事が難しいという、極めて鬱陶しい魔法なの。<ク・ディヴォラ>の性格そっくり」


 「そんな事を言っていると次に会った時におかしな事をされますよ。あの者は妙に粘着質と言いますか、根に持つんですから。風系の魔法で吹き飛ばすのが一番なのですが、魔力を多く篭めて滞留する形で仕向けてきますしね」


 「本っ当にアレの性格そっくりの厄介な魔法よ。ま、他の魔女も一癖も二癖もある魔法を使ってくるんだけどさ。で、どっかの魔女は召喚だけして攻めるのよねー。物理で」


 「情け容赦が無いのはコトブキと同じで、って敵です! 今度は4の3ですよ!!」



 成る程、師匠は召喚だけしてタコ殴りにしに行くらしい。確かにその方が手っ取り早い気はする。特にネクロマンサー本人が強いなら有効な手だと思う。将棋でいうところの入玉だろうか? いつまでも王手が掛からないっていう、そんな感じ。


 師匠が突っ込んだ場合、おそらくそうなると思う。相手もやり辛いだろうなぁ……無双ゲーばりに暴れ回るネクロマンサーとか、どう考えてもカオス過ぎる。でもそれが一番いいだろうし、僕もそれを目指した方がいいかな? できない訳じゃないし。


 余計な事を考えつつも僕は自分のやるべき事をしっかり熟し、苦しんでいるスケルトンソーサラーをタコ殴りにして倒す。少し安堵した途端、僕達は突然吹き飛ばされた。


 派手に飛んで地面に叩きつけられたが、いったい何が起きたんだ?。



 「大丈夫!? コトブキ!! さっきスケルトンソーサラーが【ダークバースト】を使ったわ!」


 「その者はレベル90です! 素早く倒しましょう!!」



 どうやらラスティアとキャスティは無事みたいだ。今の内に【リジェネレイト】を自分に掛けておき、他の仲間に【ダークヒール】を掛けていく。アンデッドの仲間達を唯一回復できる魔法がコレだけだからね。


 なるべく多くのMPを篭めて使っているけど、後半になれば回復するのに厳しくなってきそうだな。とはいえ回復アイテムが無いとは聞いていないので、おそらくそっちだとは思ってる。



 「おつかれー。まさかいきなり吹き飛ばされるなんて思わなかったよ。それも今まで使われた事が無いって言ってた矢先だからね。前にもこんな事があったけど、本当に口に出すのは危険だと思う」


 「おつかれー。私とキャスティとセナはたまたま別方向に居たから無事だったのよ、後は上を飛んでるエストもね。それ以外の全員が受けたけど、相変わらず真後ろ以外は攻撃範囲っていうのは厄介」


 「おつかれさまです。仕方ありません。【ライトバースト】も同じタイプの魔法ですが、アレも似た形で厄介ですからね。ま、同じ魔法をぶつけて相殺する事も可能ですけど、無理に使っても威力は最低ですので今は無理です」


 「最低威力じゃ絶対に押し負けるから仕方ないわよ。多少削るのに無駄な魔力を使ってもね、それなら魔法使って牽制した方がマシ」


 「ええ。とはいえ私は前衛ですからその暇が無いのですが……」


 「私は【闇魔法】以外もってないから無理。他の魔法を覚えてもいいんだけど、どうしようかな? 誰も覚えてないのは火と水だっけ? 別に使える様になっても良いんだけど、何と言うかねえ……」


 「どちらも優秀ですよ? 【火魔法】に関しては使いどころが多少限定されますが」


 「火事を起こす訳にもいかないから仕方ないわよ。そうじゃなくて、今さら感が強いの。もっと早くなら別にそんな事もなかったのでしょうけども……ねえ」


 「言いたい事は分からなくもないですが、これからも戦いは続きますし……私ももう1つ覚えておいた方が良いでしょうか?」


 「あんただったら【木魔法】とかが良いんじゃない? 農家だし」


 「【木魔法】ですか……割と地味なうえにエルフが五月蝿そうですが、まあ使える魔法も多いですし良いでしょう。特に嫌がらせに特化した魔法が多いのですよ、だからエルフは森で強いのですが」


 「そもそも【木魔法】なんて知らないんだけど、キャスティは覚えられるの?」


 「【木魔法】の初級は知ってますから大丈夫ですよ。【リーフカッター】の魔法ですね」



 どうやら本当にあるみたいだから、キャスティに任せておこう。



 ―――――――――――――――


 使い魔:ラスティアがスキル:【火魔法】を習得しました

 使い魔:ラスティアがスキル:【水魔法】を習得しました


 使い魔:キャスティがスキル:【木魔法】を習得しました


 ―――――――――――――――



 次の戦闘であっさりと2人とも魔法を覚えたけど、これで2人とも魔法習得の限界に達した。それでもおそらく属性魔法は全て揃ったと思うから、悪い事じゃないね。


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