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0517・イベントを終えて




 2000年 12月4日 月曜日 AM8:19



 イベントも終わったし、今日からはゆっくりとゲームをプレイ出来るだろう。皆はクリアした後どうするかは知らないが、僕は素材集めを始めなきゃいけない。あまり作れていないし、お金もあんまり増えてないんだよね。


 多少の物は売れているみたいだけど、それは初心者用の安値の物ぐらいだ。今日からは心機一転、素材集めと<暗闇ダンジョン>に繰り出そう。まずはログインして、と。


 あれ? ランキングがある? ………ああ、うん。名前は出てないけど、僕のリザルトで間違い無いね。ゲームを開始してすぐ通知が来るとは思わなかったよ。そのうえ、「ランキング一位おめでとうございます!」だってさ。


 そもそも僕しかランキングに載ってないんだから、一位は当たり前だよ。喜びも何もない一位は初めてじゃないかな? いや、ほんと。


 とりあえず下らない事を考えてないで、ファルに伝えてからソファーの部屋へと移動しよう。


 ソファーの部屋に移動した僕はファルを呼んで朝食の手伝いに行かせ、イルがポンポンと叩いた場所に座る。もしかしてランキングの事かな?。



 「イベントクリアおめでとう。堂々としたランキング一位だったけど、コトブキしか居ない一位」


 「それ言わないでよ。僕のところには運営から、「ランキング一位おめでとう!」っていう通知が来てたしさ。新手の嫌がらせか何かかな?」


 「ふふふふふ……確かに嫌がらせかも。だってコトブキ君しか居ないのに、一位おめでとうって。流石にそれはちょっとねー」


 「でも、ここの運営らしいとは思うけどね。どうせ一位が変わったら次の人に自動で通知が行くんでしょうけど、多分このままイベント終わりまで変わらないんじゃない? 何だかそんな気がするわ。あのリザルト見たら」


 「日数が書かれていましたからね。あれ、過ぎたら多分ですけど貰えないのでしょうし、そうなると相当のポイントが貰えないと思いますので、一位は無理じゃないかと」


 「だよねー。あんなのコトブキ君しか無理だよ。そもそも初めてなのに、どうしてそこまで避けられるの? って思うくらい罠とか避けてるし」


 「ナツは経験が足りない。流石にボスと戦う際は仕方ないけど、罠なんかは色々なゲームで失敗してると分かるようになる。そういう経験がないと難しいから仕方ない」


 「それでも死亡回数は少ないみたいだけどね。最初にそれなりに死んだからやり直してるのが痛いわ。リザルトにあった「完全」ってそういう事だと思うのよ」


 「うん。私もそう思う。コトブキみたいに始めてからそのまま死んでないと完全、やり直していると擬似って事になる筈。やり直しが許されてる以上、明確に区別はされていると思って間違い無い」


 「厄介よねえ。最初から始めてそのままラストまでって、それこそコトブキじゃないと無理でしょ。流石にプロゲーマーでも出来ないのは分かるわ」


 「あの人達は突き詰めるのが得意なだけで、VRはそこまでじゃない。決められた形でしかないなら詰め将棋のように出来るけど、VRはそれが難しい。ましてや自分で何とかしなければいけないのは、余計に無理」


 「VRゲームって如実に運動神経とか出るもんね。だからこそプロの戦いが盛り上がるんだけど。昔みたいな誰がやっても然して変わらないゲームじゃ盛り上がらないものねえ」


 「昔ながらのゲームだと盛り上がりに欠ける。誰しも凄いものが見たいのであって、突き詰めれば誰でもいい物に興味は湧き難い。VRはアスリートのように差が出るから、そこが面白いし見て楽しい」


 「まあ、昔ながらのゲームのプロ大会もやってるけど、イマイチ盛り上がらない事で有名だものね。今やVRゲームは地上波でも取り上げられるのに」


 「そういえば、このイベントってCMに使われるんじゃなかったっけ? コトブキ君のアレは大丈夫かな?」


 「………多分、大丈夫だとは思う。本当に駄目なら運営がカットするでしょ。あんな殺気と殺意を撒き散らしてる姿」


 「ここの運営なら、むしろ喜んでCMに組み込むと思う。愉快犯」


 「ああ、それは確かにね」


 「カンカン」



 ファルが呼びに来たので食堂に移動し、食事を始めると師匠から話が来た。



 「コトブキよ。そなた神どもの遊戯は終えたらしいの。で、あるならば、そろそろ<屍人の森>の深層に行け。そこの浄化をしてくるのだ。どうせ暗闇ダンジョンには行けまい?」


 「まあ、皆が居て50階ですから、まだまだ先は長いと思いますし実力が足りていませんね。素材を取りに行こうかと思ってましたが、止めておいた方が無難ですか。装備よりも実力と言った方が正しいとは思いますし」


 「だからこそ深層に行って腕を磨いてくるのだ。あそこには瘴木しょうぼくも生えておるから、完全浄化してきてくれ。完全に浄化しきれば木晶となる。あれはそれなりに使えるものだからの、そういう意味でも行ってくるがいい」


 「分かりました」



 瘴木しょうぼくという澱み草よりも性質の悪いものが深層には生えているらしく、結構な【浄化魔法】が使えないと浄化し切れないそうだ。そしてそれを浄化し切ると、木晶という物に変わるらしい。


 萎びていって縮小し、最後には結晶みたいに変わる。瘴気は抜けているので問題なく、呪われたりはしないそうだ。これはこれでアイテムとして使えるそうなので、僕としても手に入れてからの判断になるね。


 朝食が終わったらソファーの部屋からマイルームへ。皆を強制的にマイルームへと戻したら、フィーゴを置いて魔隠穴へ。中で十分に素材を得たら戻り、次は豪雪山とバイゼル山へ。


 それが終わったら師匠の家へと戻り、マイルームへ行って作業をする。色々とアイテムがあるので、まずは作っておくべき物を作っておく。



 ―――――――――――――――


 <刀> 氷怪木と魔鉄の太刀 品質:5 レア度:5 耐久960


 氷怪木と魔鉄を使って作り上げられた太刀。打刀に比べて反りが深く、吊るして装備するので分類は太刀となる。上手く作られており、鞘も持ち手も氷怪木ではあるが、切れ味は申し分ない

 攻撃力30 破壊力1


 ―――――――――――――――



 ふむ。まあまあかな? とりあえず剣帯に噛ませて腰の横に吊り下げておき、必要となったら使うか。どうせ屍人の森で振り回してたら【刀術】は覚えるだろうから、後はそれなりに使ってレベルを上げていくだけだね。


 さて、そろそろ昼食の用意をする時間だし、ソファーの部屋に行ってファルやラスティアにキャスティを呼び出しておこう。


 ソファーの部屋に行くと早かったのか誰も居なかったので、3人を呼び出してファルに準備を頼むと、僕は師匠の家の前で素振りを始める。それなりにずっしりとした重さを感しるが、これこそが太刀だろう。


 打刀ではないから抜き打ちなどしないし、反りが深いから勝手が違う。それに抜き打ちよりも、持って切った方が速いからねえ。あれは無理にやる事じゃない。格好良いかは人によるし。


 上段から振り下ろしてみたり、袈裟に振ったり切り上げたり。少しゆっくり振って感覚を馴染ませる。イベントの時には振っていたが、別に<BUSHIDO>じゃないんだから、無理に刀を使わなくても……という気持ちは何処かにある。


 ただ、同時に刀をこのゲームで使っても良いんじゃないかとも思えてくるから不思議だ。イベントの罠で暴走したからだろうか? 今までとちょっと考え方が変わっているのかもしれない。


 おっと、太刀を振ってたらファルが呼びに来た。おそらく皆はとっくに食堂に居るだろう。僕も急いで食堂に移動しよう。誰も声を掛けに来なかったけど、僕が外に居るって気付いてなかったのかな?。


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