0514・運営さん達34
2000年 11月26日 日曜日
「さて、今日からイベントが始まる訳だが、準備は十分に尽くした。後は粛々とイベントの流れを滞らせないだけだ。それとイベントに参加しない者達にも目を光らせておいてくれ。こういう時に下らない事をし出す輩が居るからな」
「そっちの方は数が少ないので見張りやすいです。第4陣の遅れている連中が少しでも進んでくれればいいなと思ってましたけど、どうも大半が参加するっぽいですね。とはいえ、そこは自由なんで何とも言えませんが……」
「まあ、多くの者がイベントを楽しんでるんじゃ、自分達もとなるのは仕方ないけどな。それよりも、そろそろ始まるぞ」
「まずは順調な滑り出しだなと思ったらコレだ! こう……どうして弟君はこうなんだろうね? あの死神が出てきて真っ先にする事がジャーマンってどうなの?」
「仕方ないんじゃないですか? 誰かそんな予想してませんでしたっけ。今までの弟君の動きから、彼なら最初からやらかすって」
「私だよ。こっちに来てユーザーデータ見せてもらったらさ、要注意プレイヤーか中心人物か、どっちかにしかならないようなデータだったし。コレなら絶対にやらかすって確信持ったよ」
「あー、まあ私達の方が慣れて麻痺してしましたか? 意図的に弟君のやらかしをスルーしてましたね」
「彼は必ず何かをするからな。ハッキリ言えば、彼に合わせたゲームにしたら誰もプレイできなくなるのだ。だから意図的に外すしかない。彼を基準にする事は出来ないし、彼だけナーフするのはもっとあり得ん」
「ピンポイントで1人だけナーフは無いですね。それって単なる虐めですし、流石にやっちゃいけない事ですから。……それに彼のヤバいところって大体プレイヤースキルなんですよねえ」
「そっちはナーフしても意味が無いからな。他のプレイヤーまで巻き込まれて、ゲームの難易度がメチャクチャになる。で、ある以上はこのままだ」
「あっと言う間に倒して鍵ゲットですか。そのうえあっさりとランドセルの方に向かってますし。流石に隠し通路には進めませんけど、最初からランドセルかー」
「何度か負けながらも、挑んだうえでの御褒美だったんだが……あっさりと掻っ攫われたな。別に悪くはないが、普通は追跡者から逃げるものだぞ」
「そこの様式美をブッ壊していくのが弟君なのでは? だって彼、異常なまでに強いですからね。最初から狩るつもりで相手をしている気がしますよ」
「というより敵が攻めてきたから殺すって感じでしたね。情け容赦なく頭を叩き落としてますし」
「先へと進んでアイテム入手。随分と色々調べてるけど、流石に下の階に続く扉は見つけられなかったか……」
「今見つけても意味が無いので、別に良いのでは? そもそも鍵穴を発見できるかも怪しいですし、持っている鍵は合いませんからねえ」
「おっと、第1エリアまで進んだか。少なくとも5階までは行かないと休憩できないぞ?」
「弟君なら楽勝で突破していくでしょうけどね。それでも武器の破損は絶対だから、10階のボスを倒すまでは苦労すると思うわ」
「そういえば何で無限武器を置いたの? 最後まで使用回数のある武器で良かったんじゃない?」
「それだとちょっと難易度が高くなっちゃうの、特に最高難易度が酷くて……。だからクレーム入る前に無限武器に変えたわけ。楽にはなったけど、それでちょうど良いくらいには元々の難易度が高かったのよ」
「……それって、単に難易度調整にしくじっただけなんじゃ」
「そこは言うべきじゃないな。ある程度は纏まったのだから気にしなくていい」
「いや、そういう問題じゃ……」
「とにかく! 今の難易度でちょうど良い感じなのよ。だからここから変更は無し。私達と開発部が調子に乗って色々と詰め込もうとした結果だから」
「それ一番やっちゃ駄目なヤツじゃん」
…
……
………
「10階のボスも余裕でクリアかー。ここで耐久無限の武器だけど、これって黒の大腿骨を使わないと手に入らないの?」
「そう。だからここで白の意思を手に入れられなかった人は大変ね。まあ、最初だから攻撃力は低いんだけど、使えなくはない剣よ」
「ふーん……」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2000年 11月27日 月曜日
「もう狼夫婦を倒したのか。随分と早いな、本当に。彼だと言えばそれまでだが、尋常じゃないぞ。このまま3匹とも倒してしまうかもな」
「流石に蛇は無理じゃありませんか? 弱点である口の中を狙えば勝てるでしょうけど、そうそう甘くはないですよ。動きは速いですし、何といっても攻撃が当たりにくいですからね」
「あの【アイスバインド】でハメ殺しをしなきゃいけない蛇かい? あれは1階詐欺のような魔物だから仕方ないよ。先へと進んで、まずは氷縛の魔法紙を取ってくるしかないでしょ」
「それボスゴーレムだから簡単じゃないんだけどね。それでも何回か死んで諦めてからだろうけど」
「そろそろ蛇ですけ、ど!?」
「「「「「………」」」」」
「あんなの有りかよ……流石のテスト班もあんなの探してないし、見つけるのは無理! っていうか、あれ、どうしよう……」
「あーあー。相変わらずの弟君だわ、本当。メチャクチャな事をしてくれるけど、これは見つけられなかった私達が悪いとしか言えない。それにしても扉でハメ殺すなんて事をするとは……」
「勝つ為なら何でもやれと言うし、彼は勝つ為に何でもしただけだな。むしろ褒められこそすれ、文句を言われる事では無い」
…
……
………
「ネズミを倒してこれで三魔の剣か。ここまでになれば使い勝手は格段に良くなる。鉄の剣と攻撃力は一緒だから安定するし、武器スキルが付いているので奥の手としても使えるしな」
「そうですね。ここからは比較的楽に進んで行くんじゃないでしょうか」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2000年 11月28日 火曜日
「ゴーレム戦か。ここは然して苦労もしないだろう。多少は間違うだろうが気付けば簡単だし、彼なら先に腕を壊しても余裕で回避出来る筈だ」
…
……
………
「次は5階のくノ一か。ここも余裕で突破するだろう。そこまで苦戦するボスじゃないし。初見ならちょっと戸惑うかもしれないけどね」
「あくまでも出来て初見殺しだからねえ。そこまで強い訳じゃないし」
「そうだね、時間もそんなに掛からないと思うよ。まだ5階のボスだしさ」
「倒したけど、急に部屋の中を調べ始めたね? どういう風の吹き回しか知らないけど、厄介なもんだ」
「からくり手裏剣が見つかったが手前に戻ってるな。となると巨人兵の腕も手に入れるだろう、これは」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
2000年 11月29日 水曜日
「今日はゴールデンスケルトンかー。やっぱり彼は早いなぁ、もはや第2エリアのラストなんだからさ。これもしかして10日以内クリア実現するんじゃない?」
「やるかもね。あれって10日以内にクリアしないと獲得できないし、やり直したらアウトなのよねえ。だからこそ初回攻略で10日以内の人しか貰えないし」
「地味に10000ポイントって多いしね。おっと、サタデーナ○トフィーバー入った」
「ここからどうして黄金聖○士に変わるのか謎なのよね。開発の誰かが好きで捻じ込んだみたいだけど、わざわざ金ピカにしなくてもと思わなくはないわ」
「ブロンズ、シルバー、ゴールド。最初はゴールドって信じられないぐらいに強いって思ってたのに、途中から「アレ?」ってなるんだよね」
「後、ゴールドなのにさ、あからさまに悪役面のヤツが居るのはどうなの? って思った」
「「分かる!」」
「何の話をしてるんだ、お前達は……」




